聖路加国際病院では、組織内の医療の質を評価するQI(※)を測定・公表し、業務改善や医療安全、医療の質の向上に努めている。そのQIの指標の一つとして「手指衛生実施率」を掲げている。手指衛生実施率は、病棟内に設置されたサーベイランスカメラで撮影した映像から、手指衛生の実施状況を直接観察法でモニタリングすることにより算出する。また、実施率を組織内にフィードバックして手指衛生実施率の向上を目指す。
直接観察法には、手指衛生を行ったかどうかだけでなく、手指衛生を要するタイミングおよび推奨される方法で実施されたかどうかを判断することができるメリットがある反面、モニタリングを実施する人員や時間を確保しなければいけないなどのデメリットがある。
このほど、学校法人聖路加国際大学と株式会社オプティムは、聖路加国際病院を研究の場として、オプティムが提供する「OPTiM AI Camera」を用いた手指衛生モニタリング手法の評価を行う共同研究を開始した。
「OPTiM AI Camera」とは、店鋪や施設など業界別・利用目的別に設置されたさまざまな種類のカメラからデータを収集し、学習済みモデルを活用して画像解析を行うことでマーケティング、セキュリティー、業務効率などの領域を支援するパッケージサービスだ。
同研究では、聖路加国際病院で取り組んでいる、サーベイランスカメラを用いた直接観察法による手指衛生モニタリングで、モニタリング対象区間をAIにより自動抽出する機能を併用した場合、手指衛生実施率、観察される手指衛生機会数、モニタリングの所要時間がどのような影響を受けるのかを評価する。
具体的には、聖路加国際病院の2病棟を対象に、半年間、「OPTiM AI Camera」を活用したモニタリングと従来の方法によるモニタリングを並行して行う。病棟毎に手指衛生実施率を算出し、従来法でモニタリングを実施した場合と、AIを活用したモニタリングを行った場合の実施率、観察された手指衛生機会数、所要時間等の違いについて、時系列分析を用いて評価を行う。
同共同研究は、2020年1月31日まで行われる予定だ。
※ Quality Indicatorの略称。医療の質の評価指標。
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