沖電気工業株式会社(以下、OKI)は、人と自然な対話を実現するAI対話エンジン「Ladadie(ラダディ)」の提供を開始した。
「Ladadie」は、ユーザー自身では気付かなかった真のニーズを引き出すコンサルタントのラダリング技法(※1)を用いた対話や、キーワードの掘り下げでFAQを効率的に検索するための対話など、性質の異なる対話を同一エンジンで行うことができる。また、LINEやFacebookなどに代表されるSNS上のテキストチャットによる対話や、コンタクトセンターなどで利用されている音声認識エンジンとの連携による音声対話にも対応することが可能だという。
少子高齢化による労働人口減少は、対話を必要とする窓口業務などの人材確保が困難な状況を生み始めている。一方で、顧客接点の拡大による商品PRやロイヤリティー向上で売上げ拡大を目指す動きが活発化しており、様々な場面でAI(人工知能)の活用が期待されている。OKIは、コンタクトセンター、営業店窓口端末、ATMや情報KIOSK端末などの従来からの顧客接点に加え、SNSといった新たなツールのサポートに着目し、実績のあるエンジン(※2)を核として「対話」という新たなユーザーインターフェースを提供するAI対話エンジン「Ladadie」を開発した。
「Ladadie」は、発話内容からユーザーの意図を解析し、推論ルールにより潜在的なニーズなどを推論する。その結果を元に、深掘り・言い換え・要約・情報提供といったラダリング技法を用い、納得感・安心感を与えながら対話を行う。また、企業の基幹システムやインターネットサービスなどの外部システムからリアルタイムに情報を取得し、対話に活用できるという。
「Ladadie」は業務規定、マニュアルやFAQなどの情報を構造化知識辞書(多次元オントロジー ※3)に保有する。対話シナリオもオントロジーに保有することにより、プログラミング無しで対話シナリオの記述が行えるため、高い記述性・保守性を保有している。特に、FAQへの対応においてはオントロジーの自動構築・半自動構築が行えるようになるという。
OKIは今後、労働集約型の業務を中心にさまざまな顧客接点へ「Ladadie」の適用を拡大していき、人材不足の課題を抱える企業の競争力向上への貢献を目指すとした。
主な特長は以下の通り。
- コンサルティング的対話と一問一答型対話(FAQなど)の両方に対応
- 対話中にリアルタイムで外部サービスとの連携が可能
- 知識辞書(オントロジー)によるシナリオなどの高い記述性、保守性を実現
AI対話エンジン「Ladadie」の適用例は以下の通り。
- チャットシステム
テキストチャットやSNSメッセージを用いて「Ladadie」と対話が可能。企業の顧客向けや社内向けのFAQを、ユーザーとチャットしながら自動検索することができる。また、製品に対する問い合わせなどへの自動応答が可能。営業店の受付や相談窓口では、顧客の要望などを「Ladadie」がヒアリングし、対話のサマリーをコンサルタントが引き継ぐことにより、効率的な対応が可能だという。 - 専用端末組込システム
駅のチケット発券機や、宿泊施設・行楽地における情報KIOSK端末において、「Ladadie」のガイドで機器の操作支援や情報提供を行い、顧客の満足度向上とともに、窓口の混雑緩和が図れる。 - コンタクトセンターシステム
音声対話ではOKIのコンタクトセンターシステム「CTstage」と連携し、顧客の一次対応を「Ladadie」にて実施し、複雑な対話の展開になると判断された段階でオペレーターに引き継ぐなどの対応が可能。
導入価格例:
バーチャルオペレーター10名を配置するアプリケーションシステムの場合
パッケージ費11百万円(内訳)+SI費(個別見積り)
(内訳)
基本パッケージ 8百万円(税別)
同時対話ライセンス 3百万円(30万円×10名、税別)
※1 ラダリング技法:ユーザーの発話に対して、深掘り・言い換え・要約・情報提供を段階的に繰り返しながら、ユーザーが自分自身では気付かなかった真のニーズや原因などを明らかにする対話技法。
※2 実績のあるエンジン:経済産業省「情報大航海プロジェクト」においてリクルート社と共同開発を行った対話エンジン「ラダサーチ」。
※3 多次元オントロジー:オントロジーはコンピューターで知識処理(対話など)を行うために、ドメイン内の概念と概念間の関係を形式的に表現した構造化知識辞書。多次元オントロジーは、対話を進める中で蓄積したユーザーの情報(文脈)に応じて、使用する知識をダイナミックに変化させる技術。同社にて日米特許取得済み。
【関連リンク】
・沖電気(OKI)
・AI対話エンジン「Ladadie」
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