米ロッキード・マーティン社は、NECのAI技術であるインバリアント分析技術を衛星・宇宙航空分野に活用すると発表した。
AI解析エンジンであるインバリアント分析技術は、コンピュータシステムの他、発電所、工場、ビル等に設置された多数のセンサーから収集されるデータから、システムの振る舞いを学習・監視することで、システム自体が挙動の不整合を自動的に検知し、早期対処を可能にするものだ。
両社は、NECが持つAIとロッキード・マーティン社が持つ宇宙分野の専門的な知見を、衛星や宇宙船の運用に独自の分析を組み込む新たな機会として活かす考えだ。
宇宙の気候が電子機器に与える影響など、宇宙環境や機器性能の変化を迅速に把握することで、運用者は製品の性能やライフサイクル効率を改善することが期待される。
今回の強化について、ロッキード・マーティン・スペースシステム社副社長のカール・マルケット氏は次のように述べている。
「ロッキード・マーティンとNECはそれぞれ衛星・宇宙航空分野とシステム設計のエキスパートであり、AIが宇宙飛行士と地上側の人々のための宇宙関連製品をどのように改善できるかを探求するのにふさわしい組合せと考えています。
火星やその先への有人任務を含む、軌道航行と深宇宙探査の両方において、AIは我々が宇宙から得られる情報の利用方法に変革をもたらすことができます。」
また、NEC執行役員の西村知泰氏は次のように述べている。
「NECが開発した革新的なインバリアント分析技術は、ロッキード・マーティンが衛星・宇宙航空分野で直面する課題の解決に、大きく貢献すると確信しています。
将来的には、同様の課題解決策の提供を強化し続け、幅広い分野における安全性、セキュリティ、効率的な運用をグローバルでサポートしていきます。」
さらに、NECアメリカ社の社長兼CEOの池野昌宏氏は次のように述べている。
「アメリカの衛星・宇宙航空分野における革新者であるロッキード・マーティンが、NECのインバリアント分析技術を採用したことを、たいへん光栄に思います。
我々は、インバリアント分析技術の能力が衛星・宇宙航空分野でロッキード・マーティンが提供する信頼性、安心、安全に貢献できると確信しています。」
【関連リンク】
・NECのAI技術群「NEC the WISE」
・インバリアント分析技術
・ロッキード・マーティン(LMT)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。