三菱電機株式会社は、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」の1つである「スマートに学習できるAI」を活用し、対象物の状況の変化を瞬時に把握してリアルタイムに対応できる「器用に制御するAI」を開発したと発表した。
同社は、今回のソリューションを産業用ロボットなどの機器に適用することで、形状が変化する柔軟物や状況が大きく変化する対象物に対しても自動化が実現できるとしている。
「器用に制御するAI」の特長は以下の通りだ。
1.AI技術と複数センサーで、対象物の状況の変化をリアルタイムに把握
従来は、実行時の作業環境を固定していたため、実行中の状況の変化が想定される場合、設計者が事前に状況変化を想定する必要があった。
そのため、例えば柔軟物の把持や複数のロボットが同時に稼働する環境下など、想定や予測が難しい状況変化が発生する場合には対応できないという課題があった。
今回、画像、荷重や電圧値など種類の異なる複数のセンサーから、常時フィードバック情報を受け取り、ディープラーニングでリアルタイムに推論した値を駆動部の制御に使用することを繰り返し、3.5msのスムーズなリアルタイム制御を実現した。
2.AI技術により、制御アルゴリズムをリアルタイムで自律的に再設計が可能
従来の制御では、対象物の形状や位置に応じた複雑な制御設計が必要だったが、AI技術の一つであるディープラーニングを用いることで、前提知識を必要としない高度な推論が可能になるという。
ただしディープラーニングで最適な制御を出力するためには、大量の学習データを用意する必要があり、データ収集のコストが課題となっている。
今回、自ら試行を繰り返し、最適な行動を自律的に探索させる強化学習を組み合わせることにより、制御設計コストとデータ収集コストを下げ、汎用的な制御工程への応用が可能になったということだ。
また、従来の強化学習では多数の試行が必要なため、実機で行う際には学習時間が問題となる。人からの簡易ティーチングによる試行を行うことでAIの自律的な学習を補助し、学習時間の短縮を実現したという。
【関連リンク】
・三菱電機(Mitsubishi Electric)
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