日立造船とJASRI、SPring-8の制御フレームワーク「MADOCAⅡ」を活用したごみ焼却発電プラントにおけるビッグデータ管理システムを共同開発

日立造船株式会社と公益財団法人高輝度光科学研究センター(以下、JASRI)は、このほど、大型放射光施設SPring-8を運転するために開発された制御フレームワーク「MADOCAⅡ※1」をごみ焼却発電プラントのビッグデータ管理に適用するため、共同研究・開発を開始した。なお、同開発はMADOCAⅡの産業利用に向けた初めての取組となる。

 

日立造船のごみ焼却発電プラントの運転管理では、数千点のセンサーにより温度、圧力など運転データの収集を行い、焼却炉の燃焼制御や遠隔監視などにこれらの運転データを活用しているが、近年では運転員の技術に依存しない最適な運転管理システムの構築が求められており、ビッグデータの活用が急務となっている。

同プラントでビッグデータの特性を活かすためには、従来の数十倍にあたる数万点のセンサーからビッグデータの収集を行い、これをもとにした運転管理技術の開発が必要となる。しかし、従来のデータベースシステムでは収集可能なデータ処理性能に限界があるため、JASRIが開発したMADOCAⅡを活用することとなった。

 

MADOCAⅡは世界最大級の放射光施設SPring-8を安定的に運転するための制御フレームワークであり、データベース基幹部は、わずか12台のエントリークラスのサーバー計算機で構成されているが、1秒間に100万点以上のデータ収集を実現している。これは従来の方式である1台の高性能サーバー計算機でデータ収集する方式と比べて100倍の性能を発揮している。

これを利用して、SPring-8を制御する数百台ものコンピューターから排出されるビッグデータを収集している。

また、SPring-8は年間約5,000時間の運転を行うが、MADOCAⅡを原因とした運転停止はなく、安定的に動作をすることが実証されている。また、JASRIは得られたビックデータを活用して、より高品質で安定した放射光が提供できるようにSPring-8の高度化を進めています。

 

日立造船は、MADOCAⅡを活用した、数万点の大容量のデータを高速に収集できる技術の開発を行い、来年度中にremonシステム※2のデータシステムを置き換える予定だ。将来的には、インターネットを通じて、複数の施設のプラントや機械・設備メーカーなどの様々なビッグデータを集約し、運転員の判断を必要としないごみ焼却発電プラントの設計を目指す。

日立造船は、国内において約65プラントの運転及び20プラント以上の施設運営を行っているが、プラントの最適運転管理による売電コストパフォーマンスの向上や省人化を図り、従来の遠隔監視・管理から遠隔操作・運転自動化に向けて取り組んでいる。今後は、環境ソリューション事業での更なる効率化を進めていくと共に、舶用ディーゼルエンジンや橋梁、シールド掘進機など他の分野にもICTやビッグデータを活用していく。

※1 MADOCAⅡ ( (Message And Database Oriented Control Architecture Ⅱ)とは、SPring-8 における加速器及びビームラインの制御のためにJASRIが開発したシステム。

※2 remonシステム(remote monitoring system:レモンシステム)とは、ごみ焼却施設の運転状況を同社の遠隔監視センターが遠隔監視し、設計検証や経年変化の確認、運転アドバイス、トラブル発生時の技術支援を行うために日立造船が開発したシステム。

 

【関連リンク】
日立造船
公益財団法人高輝度光科学研究センター

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