IBMとソフトバンクロボティクスホールディングスが「Pepper」向けのIBM Watsonを開発

IBMとソフトバンクロボティクスホールディングス株式会社(以下、SBRH)は1月6日、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」向けのIBM Watsonを開発し、世界の企業に提供する計画を発表した。

IBMとSBRHは、ソーシャルメディア、ビデオ、画像およびテキストといった従来のコンピューターでは十分に活用ができないデータに隠された意味をIBM Watson搭載のPepperが把握できるようにするため、「モノのインターネット」で得られる幅広いデータや知識を活用する。IBM Watsonはオープンなコグニティブ・コンピューティング・テクノロジー基盤で、システムの感知、学習、経験を通じて人と同じように言葉の意味を理解する新しいコンピューティング時代を代表するものだ。

開発中のIBM Watsonを搭載したPepperは、基幹機能および開発者や顧客によって双方向の経験をあつらえることができるIBM Watsonのソフトウェア開発キット(SDK)を備えている。IBMは顧客が、さまざまなパーソナルでプロフェッショナルなニーズに対応するように作られた幅広いプリパッケージのAPIへアクセスすることを可能にする。

 

IBMは現在、サービス業や消費財の企業と共にロボット技術を試験中だ。IBM Watsonを搭載したPepperによるソリューションを通じて、企業は顧客がコグニティブ・コンピューティングを体験するさまざまな方法を拡充することができる。現在の小売におけるセルフサービス環境は通常タブレットかキオスク端末によるもので、真にインタラクティブで直感的な顧客体験の範囲は限られている。ロボットの支援により、顧客は自分の言葉や身振り、表情が理解され自然に会話をすることができる。

ロボットは、製造業や自動車産業、家庭での電気掃除機まで広く使われているが、そのようなロボットは機能や相互作用が限定された単一の業務向けの機器であり、特定の仕事を完了するように作られている。IBMとSBRHがコグニティブ・コンピューティングで応用できる分野を広げるために、Pepperのモビリティや機敏性を進化させることで、これまで以上のことができる機会がある。両社は、教室内の教師アシスタントから看護補助まで、IBM Watsonのコグニティブ機能によって補完されたPepper独自の物理的特性を活用して幅広い使用例を研究し、業界の領域全般にわたり新しい方法で人々を支援する。

顧客エンゲージメントを高めることが重視されるにつれ、多くの企業はコグニティブ・システムを、データを理解して得られるつながりの強化に活用している。IBM Watsonのようなコグニティブ・システムは、人に関する新しい情報源から洞察を導き出す。例えば、自分がほしい情報を得るために何がソーシャルメディアでシェアされているか、何が人々にとって重要なのかといったことだ。また、このようなシステムによって、人が好むブランドと関わり方を学習し、企業がその結果を利用して性格を理解し、個人に訴求することが可能になる。

この計画は、日本でIBM Watsonを展開するというIBMとソフトバンク株式会社の戦略的な協業に基づいている。この1年で両社は、IBM Watsonの日本語対応を推進し、IBM Watsonを活用した新しいアプリケーションを構築する開発者やサードパーティーのパートナーによる日本のエコシステム全般にわたりコグニティブなAPIを提供するテクノロジー基盤をローカライズしている。

最近のBI Intelligenceレポートは、「長年産業界や物流界のユーザーが優勢だったロボット工学は、新しい消費者やオフィスでの使用へとシフトし始めています。2019年までに消費者および企業ロボットの市場は150億ドルに成長するでしょう」と述べている。

 

【IBM Watson:新時代のコンピューティングの先駆け】

IBM Watsonは以前のやりとりから時間とともに価値と知識を増して、絶えず学習する。IBM Watsonの支援のもと、組織はコグニティブ・コンピューティングの力を利用して、業界を変革し、専門家の仕事に役立て、重要な課題を解決している。

IBM Watsonを発展させるため、IBMには次の3つのビジネスユニットがある。
「IBM Watson」は、クラウド上で提供するコグニティブ・コンピューティング技術の開発を目的に設置された。
「IBM Watson Health」は、医師、研究者、保険会社、その他の関連する保健組織の能力の向上を図り、データから新たな洞察を得て個別保健医療を提供することを専門としている。
「IBM Watson IoT」は、現在世界で稼動している90億以上のネットに接続された機器に組み込まれたデータを理解することに特化しており、それらの機器は250京バイトの新しいデータを毎日生み出している。このIoTデータ単体を理解することで、2020年には1.7兆ドルに達すると予想されている重要な市場機会を創出する。

 

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