AIoT のパワーを解き放て―― AIとIoTを統合したAIoTを今すぐ導入すべき理由とは?

MaaSを8人が語る。Mobility大航海時代の到来 〜八子クラウド座談会レポート(前編)

最前線の当事者が語るMaaSのトレンドと取り組み方 ー株式会社ヴァル研究所 事業統括本部 プロデューサー 篠原徳隆氏

株式会社ヴァル研究所 事業統括本部 プロデューサー 篠原徳隆氏
株式会社ヴァル研究所 事業統括本部 プロデューサー 篠原徳隆氏

株式会社ヴァル研究所(以下、ヴァル研究所)は、1988年に乗換案内ソフト「駅すぱあと」を開発し、近年では法人向けに「駅すぱあと」機能を提供するAPIなどのサービスを展開している。当ソフトウェアは、2018年に、「LONG LIFE DESIGN 2018賞」を受賞した。

移動におけるシームレスとはなにか

シームレスに移動すると言うと何を想像するだろうか。

たとえば、乗り物の乗り降りにおいてバリアフリーであるという物理的な条件。たとえば、スムーズな待ち時間なしの乗り継ぎであったり、また電車の混雑時に、事前にその情報を入手し回避することに加え最適な代替ルートを提示してもらえること。また、乗り換え時に迷うことなく、乗り換えの乗り場に到着ができる。そして、別会社の別路線に乗り換えたとしても切符の購入や手配の必要がなく、決済における手間がかからないといったことが考えられるのではないだろうか、と篠原氏は述べた。

MaaSにおけるレベル定義は5段階に定義されている
MaaSにおけるレベル定義は5段階に定義されている

MaaSにおけるレベル定義は5段階に定義されている。
移動におけるシームレスを実現するためには、その「Maasのレベル1を進化させる」ことが必要ではないかと篠原氏たちは仮定し、取り組んでいるとのことだ。

経路検索のシステムのイメージは、駅と駅を結ぶネットワーク上に、時刻表という静的なデータを乗せるというものだ。とはいうものの、実際にはダイヤの乱れ(人身事故や、混雑における遅延)が現実世界では常におきている。そのため、リアルをつなげて初めてモビリティ全体の価値を高められるのではないかと篠原氏は述べている。

マルチモーダルな経路案内とは

リアルは常に定めた予定通りには進んでおらず、様々な要因によって状況は刻一刻と変化していく。今、どのように移動するのがベストかということもその要因よって変化していくはずだ。実際にリアルをつなげるために、必要な考え方のヒントとして2点解説があった。

MaaSレベル1の進化にむけて

MaaSLv.1を進化させるためポイントについての解説
MaaSLv.1を進化させるためポイントについての解説

では進化させる、と一言で言ってもなにを考えるべきなのだろうか。
そもそもリアルタイムデータへの取り組みが前提となってくるはもちろんのこと「予定」(時刻表)ではなく、「今」(運行状況)を発信することが必要となる。ただし、「今」だけを発信すればよいわけではなく、「予定」との組み合わせがあって初めて現実世界がシームレスであるといえる。

情報をリアルタイム化し、さらにそれを連動して初めて真の価値が得られるというわけだ。例えば、バスから電車乗り換えする予定の場合、電車だけ動いていないということが実体験上でないだろうか。こうした2種類の交通手段を連動させることで、はじめてその交通手段が最適かどうかということが判断できると篠原氏は言った。

リアルタイムにするのはなにも情報だけではない、と篠原氏は続けた。飲食店超直前予約サービス「トレタnow」を事例にあげ、「目的」もリアルタイム化する必要があるのではないかという問いかけもあった。

「トレタnow」は、現在地から徒歩約10分圏内のエリアで、最短で10分後に入れる飲食店を予約できるサービスだ。アプリを立ち上げて、人数を選択し「近くのお店を探す」をタップすれば、入店可能な飲食店の情報が表示される。

様々な飲食店予約サービスは、店側がテーブルの空き状況を把握し更新する必要があったため、リアルタイム性がなくまた予約サービスを併用している場合の連携はされていない。そのため、「食べたいとき・飲みたいときにすぐ店に入りたい」といったニーズに素早く応えることができていなかった。

こうした「目的」でさえもリアルタイム性をもたせることで、目指すべきシームレスを実現する可能性は広がる。これからは、商業施設、病院、区役所などでもMaaSが世界のインフラになりえる時代がやってこようとしている。

加えて、API化推進にも触れられていた。WEB連携であったりアプリ間での連携を行うといったことは、シームレスとは言いにくい。本来はAPIを使用して、自動化・半自動化を実現してしまうことがより良いシームレス化であるといえる。APIを公開することのメリットとは何かというと、外部の様々なサービスが繋がることができ、そこからさらに、チャネル獲得や新しい価値の創造が可能となるところにある。変化に対応できる動的、そしてつながる世界を作り出すことがこれからの課題であり目指すべきポイントだ。

パーソナライズのためのビヘイビア分析

ビヘイビアの分析とは、ユーザーの行動(いつ、どんな、どこへ)を分析するものだ。
ユーザーデモグラフィック(性別、年代、地域、仕事など)という軸で分析するのではなく、ユーザーの使い方であったり頻度といった行動要素で分析し、そして新しさを加えた経路の価値を示すことが必要があると篠原氏は提言する。

なかでも、特に必要ではないかと提言があったのが「楽」の再定義だ。

楽しい、なにも考えなくてよい、安全であるといった要素の再定義と価値を示すことが重要となってくるとのこと。そのためには、経路の検索結果に興味をもってもらう必要がある。もちろん人それぞれに価値観は違うため、ここでパーソナライズさせる必要がでてくるのだ。

ただ、そのためにはその構造を分析するデータが必要となってくる。Online merge Offlineといわれるオンラインとオフラインが融合するというマーケティングの概念があるが、移動・決済等の行動が行われれば、オンライン上で行動データが収集され蓄積される。そして、それがパーソナライズの元となるデータとなるいうわけだ。

その他、2019年のヴァル研究所が取り組み事例として、JR東日本や、静岡市、そしてIzukoという経路検索から予約と決済が完結する伊豆エリアのアプリについて紹介があった。

次は、成迫剛志氏による「MaaS

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