NTTデータ、デジタルビジネスプラットフォームに関する調査で金融・保険分野機関の6割が垂直統合型ビジネスモデルから脱却傾向にあると発表

株式会社NTTデータは、金融・保険分野の機関を対象にグローバル規模でデジタルビジネスプラットフォーム(以下、DBP)に関する調査を実施した。

調査では、新しいデジタル技術の台頭や激化する競争環境、顧客からの期待の変化を背景に、金融・保険分野の61%の機関が、自社開発サービスを提供する従来の垂直統合型ビジネスモデル(※1)から脱却する傾向にあるということが判明した。

また、グローバル環境の下で顧客に独自の価値を提供するためにFinTech企業やInsurTech企業と連携したデジタルビジネスプラットフォームの構築に動き出すなど、約90%の機関が「革新的なデジタル変革が必要」と考えていることが判明した。

DBPに関する調査の主な結果は以下の通りだ。

  1. 金融・保険分野への影響
  2. 53%の機関が、「今後1~3年間に金融・保険分野に最も大きな影響をもたらす要素はAIやブロックチェーンなどの新技術である」と回答し、84%の機関が「マーケットの方向性に多大な影響を与えるのは、金融・保険分野そのものではなく、それ以外の分野である」と回答した。

    また、「AmazonやApple等の新規参入は金融商品の大きな競合相手になり得る」と回答した機関は83%にのぼり、これらのプラットフォーマーが金融・保険分野の幹部たちにとって多大なる懸案事項であることも判明した。

  3. 市場環境の変化
  4. Amazon、Google、Netflix等のプラットフォーマーが、金融・保険分野に対する市場の期待自体を変化させつつある。

    このようなプラットフォーマーが展開するビジネスモデルでは、DBPは既存顧客のデータを活用しつつ、新たなデジタルサービスを競争力のある価格でスピーディーに提供することが期待される。

    こうした市場環境の変化に対して、85%の機関が「DBPは競争力のあるポジショニングを再構築する機会になる」と考え、83%が「従来型基幹システムのDBPへの統合が今後3~5年における競争力確保にとって重要である」と回答した。

  5. 金融・保険分野におけるビジネスモデルの転換
  6. 保険会社の52%が「従来のフル・サービス・モデルを継続予定」と回答する一方、21%は「最良な商品を開発する方向性に転換する」と回答。

    銀行の16%は「プラットフォーム構築を検討」し、20%は「オンラインマーケットプレイスへの移行」を計画していると回答した。

    その他金融機関(金融仲介業、キャピタルマーケット、資産運用会社など)の20%は「最良のサービス開発」に、同じく20%は「最良のCX(カスタマーエクスペリエンス)の提供に注力する予定」と回答した。

  7. 金融・保険分野におけるDBPの成熟度
  8. 現在、DBPを既に保有し活用開始している企業は23%、立ち上げ段階または未着手と回答している機関は77%という結果より、DBPの成熟度という点ではまだ初期段階にあると判明した。

  9. 金融・保険分野のDBP対応状況比較
  10. DBP構築済みの機関は、保険分野では32%、銀行では23%、その他金融機関(金融仲介業、キャピタルマーケット、資産運用会社など)では19%となり、金融分野よりも保険分野が先行している結果となった。

  11. 各国のDBP導入状況
  12. PSD2(EU決済サービス指令)規制(※2)の効果で、DBP構築においては欧州が先行していることがわかった。

    成熟度の高いDBPを導入している国別のランキングは、1位がイタリアで43%、続いて2位ドイツ 38%、3位がスペイン 23%、と続き、4位が日本 22%。5位イギリス 18%、6位アメリカ 8%であった。

  13. DBP活用による効果
  14. 金融・保険分野においては、DBPに対する投資により多大な事業メリットが期待される。

    すでにDBPを活用している企業の23%が実感した効果として、「顧客サービスレベルの向上」「市場ニーズへのスピーディーな対応」「売上拡大」「顧客定着率の向上」の4つの項目で半数の企業が効果を実感しているという結果となった。

  15. FinTech企業、InsurTech企業とのパートナー提携戦略
  16. 84%が「FinTech企業やInsurTech企業との連携が増える中で、新しいパートナー提携が可能になりつつある」と認識していると回答した。また、金融・保険分野が連携する販売パートナーや代理店において、FinTech企業、InsurTech企業を含む新興企業が占める割合は66%であった。さらに53%の企業が、第三者機関のサービスをDBPに統合することを想定していると回答した。

また、DBPの導入により、従来の基幹システムを置き換えることなく、1つの枠組み上で複数のビジネスモデルを構築しサポートすることが期待される。

金融・保険分野の機関は、FinTech企業やInsurTech企業と連携することで新しいデジタル技術を取り入れたり、API経由でデータの共有ができる。

デジタル化を推進している金融・保険分野の機関は、DBPをそのデジタル特性や機能を活用して従来の基幹システムを効果的に改修するための道筋と捉えている。

DBPを活用することで、従来の垂直統合型ビジネスも、プラットフォームやデジタル・エコシステムに支えられた新しい時代に存在感を発揮することが期待される。

以下、同調査概要である。

  • 調査時期:2019年当初。NTTデータが海外グループ会社と連携し行った。
  • 調査対象:日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・スペイン・イタリアにおける金融・保険等(証券、資産運用、カード決済を含む)分野のシニアエグゼクティブ471名、調査は調査会社を通じて実施された。
  • 回答者の内50%は年間売上規模100億ドルを超える金融機関に属する人、また、その内55%は経営に関わる幹部であった。

※1 垂直統合型ビジネスモデル:技術開発、生産、販売、サービス提供などの異なった業務を単一の企業(グループ)がすべて担うビジネスモデル。
※2 PSD2規制:EUにおける決済サービス指令(PSD:Payment Services Directive)の改正版であり、決済の安全性・安定性の向上、利用者保護、決済サービス市場の効率化、フィンテック企業も含めたレベル・プレイング・フィールド(競争上の公平性)の確保等の観点で枠組みが整理されたもの。

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