アクセンチュアの調査結果、5Gの可能性を日本の経営層の約7割が理解していないことが判明

アクセンチュアの第5世代移動通信システム(以下、5G)の調査によると、世界の企業経営層および技術担当幹部は、5G技術によるネットワークの速度向上や容量拡大によってもたらされる創造的破壊の可能性をまだ十分に理解していないことが明らかとなった。

同調査は、2018年12月から2019年1月にかけて日本、米国、英国、スペイン、ドイツ、フランス、イタリア、シンガポール、アラブ首長国連邦、オーストラリアの世界10カ国、12の業種に所属する915人の技術担当幹部および913人の経営層にオンラインで実施された。

同調査結果によると、「5Gについて何を知らないかについてもわからない」との認識を示した経営層はグローバル全体では60%であり、日本では68%と10カ国の中で最も高い水準を占めた。一方、日本を含む世界の経営層の大半が「5G関連技術が今後、競争上の重要な意味を持つようになる」との認識を示すなど、5Gがもたらす可能性には漠然とした期待を抱いていることも浮き彫りになった。

また、グローバル全体では回答者の60%が「5Gの人口カバー率は2022年までにほぼ100%になる」と考え、70%は「5Gの活用が営業上の競争優位につながる」と確信していることが明らかになった。このほか、回答者の約4割が「5Gが通信速度と容量に多大な影響をもたらす」と期待している。

アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部でネットワーク部門のグローバルリードであるジョージ・ナチ(George Nazi)氏は「5Gは今後、現実の世界で通信環境に大きな変革をもたらし、イノベーションを起こしながら商業的、経済的な発展を遂げる新たな次元を切り拓いていくでしょう。」と述べている。

続けて、「5Gの活用により、3D映像や拡張現実技術が搭載されたテレビ、自動運転車、スマートシティにおけるインフラといった飛躍的な発展がもたらされ、現時点では想像することすら難しいさまざまな変革の機会が新たに生まれるでしょう。通信事業者は、こうした世界を実現する上で重要な役割を果たしていくことが期待されています。」と述べた。

経営層の72%が「5Gがもたらす将来の可能性と有効な実用例を見極めるには支援が必要」と回答しており、回答者の40%が「企業が5Gへの移行を計画する上で通信事業者は主要な提携先の1つである」と認識している。その一方、経営層の多くが5G関連技術をいかにイノベーションに活用できるかといった課題を抱える中、「通信事業者は自社の属する業界の課題を十分に理解していない」と回答した経営層は、グローバル平均で60%を占めた結果となった。

このほか、5G導入に向けた主要な障壁としては、「先行投資」(回答者の36%)、「セキュリティ」(同32%)、「従業員の理解」(同29%)が挙げられている。特にセキュリティに関しては、経営層の78%は「自社における5Gの活用により事業のセキュリティが向上する」と期待を示した一方、32%が5Gのセキュリティに懸念を抱いている結果となった。

アクセンチュア 通信・メディア・ハイテク本部で欧州の通信・メディア部門を統括するアンダーシュ・リンドブラッド(Anders Lindblad)氏は「それぞれの理解度にはばらつきがあるにもかかわらず、企業の経営層は5Gがもたらし得る価値に対して大きな期待を抱いています。」と述べた。

さらに「5Gをめぐっては現時点ではリスクや不確実性が懸念されていますが、企業は顧客ニーズを理解し、導入への障壁を克服し、パートナー企業との連携を促進できれば、5Gがもたらす潜在価値を引き出すことができるでしょう。」と続けた。

また、同調査では、5Gに対する理解度は業界によってばらつきがあり、例えば、エネルギー業界の経営層の過半数(53%)は「5Gは遠隔地や荒れ地など、従来の通信環境では十分にカバーされなかったエリアもカバーすることで業界に革命的な影響をもたらす」と考えていることが明らかとなった。

一方、この期待を示した回答者は全体では41%に留まった。行政・公共分野は5Gに対する理解度が最も低く、「5Gの通信速度が4Gの10倍に達する」と認識している回答者は59%と、全体の回答率67%よりも低かった。さらに、「5Gの使用により業務上のセキュリティが向上する」と回答した行政機関の幹部は66%で、同じく全体の78%を下回った結果となった。

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