経産省、DXレポート作成の背景と政策展開について講演 ―eSOL Technology Forum 2019レポート①

DXレポート作成の背景

DXの定義に続き、和泉氏は経産省がDXレポートをまとめた背景を説明した。

実感のないクラウド化の加速

レポート作成の背景を説明する前に、和泉氏はまずデジタル競争の世界において、日本企業には実感しづらい変化が起きている例を挙げた。その例がクラウド化の加速である。

和泉氏によると国内データセンター業は年間平均成長率約8%と急速に伸びているとのこと。ところが、国内のサーバーの出荷量は前年から7.8%減少しているという。

経産省、DXレポート作成の背景と政策展開について講演 ―eSOL Technology Forum 2019レポート①
データセンター業の推移とサーバーの出荷量

データセンターが伸びているのにセンターに設置するサーバーが増えていない、という一見矛盾した推移について、和泉氏は「海外メガクラウドベンダーの国内進出の数値が、サーバー出荷量に含まれていない」ことを要因として挙げた。

これを和泉氏は「厳しい事実」と言い表した上で、「クラウドコンピューティング事情は変わってきているのに、なかなか実感がない。どんどんクラウドで出来ること、エッジで出来ることが変化して、日本の企業は追いつけなくなってしまうのではないか」という意見を述べた。

自覚できないレガシーの問題

上記のような実感のない変化を紹介した上で、和泉氏は経産省がDXレポートをまとめた背景について説明する。和泉氏によればDXレポートの目的は「個社単位の変革に対する足かせを除去すること」であり、個社の変革を進める上での課題が「2025年の崖」であるという。

「2025年の崖」という言葉が表す意味について「軽減税率対応やサマータイム対応など目先のことばかりに囚われてしまい、既存の技術やビジネスモデルを維持することに固執することで、ビジネスそのものを変えるチャンスを失ってしまう」ことだと、和泉氏は要約する。

この「既存のビジネスを維持する」ことについては「日本企業のIT投資のほぼ80%がランザビジネス、つまり現行システムの維持管理に使われていて、回収部分はたかだか20%である」と、和泉氏は詳細な説明を加えた。

さらに既存の技術が維持されること、すなわちレガシー化することについては「生活習慣病のように企業が自覚できていない」ことが課題であることも和泉氏は指摘した。

つまり既存のシステムが不具合を起こさないので日常的には困らず、新しい技術を入れることに対しての理解を経営陣から得られない事が「2025年の崖」問題をより難解なものにしているというのだ。

こうした「DXを推進するための体制やシステム構築ができていない」ことに対応し、「2025年の崖」を克服しようという意図がDXレポート作成の背景にあるという。

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