普及するEV・PHEV車を支えるバッテリー生産者

ものづくり白書2019では、日本の製造業が生み出してきた様々な製品群がどれだけの世界の市場でどれだけのシェアを獲得してきたかが公開されている。

ものづくり白書2010データ

ご覧の通り巨大なバルーンを形成しているのは、自動車のみで世界シェアは23.3%、売上額は63兆円ある。つまり日本の製造業はほとんど自動車に依存しているという実態がある。

また、完成品メーカーとして、大きなバルーンを形成できているのは、自動車のみという現状だ。

しかし、御存知の通り、ガゾリンや軽油といった燃料から、電気や水素を使ったクリーンなエネルギーを使用する次世代自動車への移行が世界的に進んでいる。

次世代自動車とは、EV(電気のみで走行する車)、PHV(電気とガソリンで走行する車)、HV(ガソリンと、走行し余った力で作った電気で走行する車)、FCV(水素と酸素で作った電気で走行する車)などがある。

なぜ、次世代自動車への移行が進んでいるかというと、世界的に環境規制が強まっているからだ。

例えば、アメリカのカリフォルニア州ではZEV(Zero Emission Vehicle)といって、州内で一定台数以上の自動車を販売するのであれば、一定比率以上はEV、PHV、HV、FCVも販売しなければならないという規制がある。

このような世界的な動きから、今後、次世代自動車が普及していくという見通しが立っており、とりわけEV・PHV・HVが普及していく可能性が示唆されている。

では、EV・PHV・HVが普及するのであれば、必然的にバッテリーの市場も広がっていくと考えられる。

そこで、本記事では、エネルギーの観点から世界的の車産業の動向を確認し、EV・PHV・HVのバッテリーの動向についても触れていきたい。

世界の車の動力源の8割はガソリン

冒頭に環境規制を話題に上げたが、世界的には、まだガソリン車が乗られているというのが実態だ。

では、次世代自動車の「波」はいつ訪れるのだろうか。

国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、純粋ガソリン車は2030年までには減少に転じ、以降はEV・PHV・HVが徐々にシェアを広げていく見通しだ。

新時代自動車戦略データ

EV・PHV・HVの世界市場

2019年8月に富士経済が発表した調査によると、EV・PHV・HVのなかでも、長期的にシェアを伸ばし続けると予測されているのがEVだ。

確かに富士経済の調査によると2017年のEVの乗用車・新車販売台数は76万台だったが、2018年においては130万台となっており、1年間で71.1%増加している。

なぜ71%も伸長したのだろうか。

環境規制はもちろん、国の補助金などの政策によって消費者の購買意欲が刺激されたことや、バッテリーの性能が上がって1度の充電でより長く走行できるようになったことが挙げられている。

また、2018年以降はバッテリーの性能がさらに向上し走行距離が伸びること、量産効果によってEV部品・材料価格が減っていくことにより、EVは他の次世代自動車と比較して増産され続ける見通しだ。

その結果、2035年には、EVは2,202万台まで市場規模が拡大する。
※PHVは1,103台、HVは785万台。

いま売れているEV車はなにか

兵庫三菱自動車がまとめている資料によると、2018年に世界全体のモデル別(EV/PHV=PHEV)で最も売れたのはテスラ(アメリカ)の「Tesla Model 3(14万台)」だという。

そのあと、BAIC(中国)の「EC-series(9万台)」、NISSAN(日本)の「Leaf(8.7万台)」が続く。

2018年モデル別生産量

加えて4番目、5番目には「Tesla Model S(5万台)」「Tesla Model X(4.9万台)」となっているので、2018年においては、テスラのEV市場シェアは群を抜いている。

しかし、ローランド・ベルガーの分析によると中国のEVメーカーの急速な成長により、2021年においては、EV/PHV(=PHEV)新車販売台数は中国がトップになり、アメリカ、ドイツが続く。

生産国

バッテリーのメーカー

2021年においては、EV/PHV(=PHEV)新車販売台数は中国がトップと予測されていたが、2021年におけるEV/PHV(=PHEV)向けバッテリー市場シェアはどのような見通しか。

ローランド・ベルガーが分析している。

バッテリー生産状況
左:メーカー別シェア 右:国別バッテリー生産量

やはりバッテリー生産量においても中国が首位に立ち、韓国、日本が続く。

メーカー別シェアでは、LG Chemical(韓)、CATL(中国)、Panasonic(日本)の順になっている。

なお、中国のメーカーはCATL以外にも2社が、それぞれ4番目と5番目に位置をつけているため、生産量としては中国が首位に立つという結果だ。

しかし、ここでふと疑問に感じるのは、新車販売台数は中国、アメリカ、ドイツという順番ではなかったか、ということだ。

対してバッテリーの生産量については、中国、韓国、日本という順番だった。

これは完成品メーカーは欧米、部品(バッテリー)メーカーはアジアという棲み分けになるということだろうか。

冒頭、日本の製造業が大きく自動車に依存しており、完成品メーカーとしても自動車しか市場を獲れていないと記載したが、EV・PHV・HVが普及していった先の世界で、日本がどのようなポジションになっているかは不透明だ。

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