見えてきた、拡張拡張現実(AR)の限界と課題

拡張現実(AR)を活用した取り組みが増えてきている。

そもそも拡張現実(AR)の意味は、「現実世界にデジタル世界を重ね合わせること」で、現実世界にはないものを、デジタル技術を使ってあたかもそこに何かがあるかのように表現する技術だ。

わかりやすい例としては、自宅の部屋にソファーを買いたいとする。実際にソファーを買ってみたら、案外大きくて圧迫感があった、といったことが起きないよう、たいていの人は部屋のサイズを測ってインテリアショップに行く。

しかし、インテリアショップで、気になるソファーを見つけて、サイズがあっていても、いざ部屋に入れてみると他のインテリアと合わないなどということも起きる。正直これでは意味がないだろう。

拡張現実(AR)を使う意味

そこで、現実世界(部屋)にデジタル技術を使ってソファーを配置してみるのだ。

具体的には、誰もが持っているスマートフォンのカメラで現実世界の部屋を撮影しようとする。

その状態でデジタル技術を使ってソファーを現実世界に重ね合わせて配置してみるということができるのだ。

この例の場合、部屋にデジタル技術を使って配置したソファーの色や質感などを変えてみて、どのタイプが部屋に合うのかを確認することができる。

また、カメラを動かしてもソファーの位置が固定されていていろんな角度から見ることも可能だ。

次の動画は、Amazonがアマゾンショッピングのスマートフォンアプリとして提供している「AR VIEW」(トップ画像)というものだ。実際のイメージを試して見て欲しい。

Amazon AR View: See it in your home

これを見てもわかるように、特にECのような現物が見れないサービスでの商品販売には、こういったサービスが使われる方向だといえる。

IKEAの拡張現実(AR)アプリ、「IKEA Place」

IKEA Place(IKEAのARアプリ)
IKEA Place(IKEAのARアプリ) source: vrscout.com

しかし、この3D映像、もう少しリアルでないとイメージがわきづらいなと感じた読者もいるだろう。家に置く大きなものをこれだけで買うことは現実的ではないのか、あまりこのアプリを活用している人を見かけない。

もう一押しともいえるコンシューマ向け拡張現実(AR)の世界、5Gが普及すればこういった問題も解決するのかもしれない。

[参考記事] 5Gを見据え、国内キャリアがGAFAに急接近、何が起きるのか

Google Glassにみる、拡張現実(AR)を活用したメガネの進化系

googleglass

2019年5月にGoogleは、これまでの拡張現実(AR)機能をさらに進化させたメガネである、Google Glassの法人向けモデル、「Glass Enterprise Edition 2」を、その価格約11万円で発表した。

2017年に「Glass Enterprise Edition」が発表されて以来、アップデートが止まっていたGoogleの拡張現実(AR)対応メガネ。用途としては、工場や倉庫、医療現場、などでの活用が期待されるだろう。

仕組みは、Google glassの本体にはカメラが搭載されていて、現実世界を取得する。そして、適切な情報をメガネにつけられた透明なディスプレイ上に表示するという方式になる。

つまり、これは厳密には拡張現実とは言えないのかもしれない。

産業用途に活用され始めたAR

AmazonやIKEAのようなおなじみの店舗が、皆が持っているスマートフォンを活用したAR利用を行っているのに対し、Google glassのように新たなデバイスを購入する必要があるものに関しては、法人利用の可能性が模索され始めている。

製造業向けにARのソリューションを提供するPTCでは、作業上のミスを防ぐために拡張現実を活用している。

PTC LIVEWORX2019
PLMで管理されているデータが、作業者に様々な情報をリアルタイムに教えてくれる

PTC LIVEWORX2019

この例では、現実世界にある物体の状態をIoTで取得してそのデータを仮想空間上でまとめ、仮想現実(AR)の技術を使って現実世界と重ね合わせているのだ。

こうすることで、数字だけ見ていても具体的に理解しづらいような内容も、視覚的に理解できるようになるのだ。

産業用途にも課題が

最近産業用途で売れている拡張現実(AR)対応のデバイスは、防水や防汚対策が十分とられているものだという。というのも、工場や倉庫などの現場は油や水で汚れていたりする場合があるからだ。

realware
防水、防塵、2mの高さから落としても大丈夫な、Real Wearのヘッドマウントディスプレイ source: Real Wear

また、電池も長時間もつものでないと実用性がないといわれている。

法人向けの拡張現実は、実はこういった利用シーンを意識した対策が始まっており、特に製造業や物流業などの分野だけでなく、高所作業など特殊な環境下での作業時に現場で情報を取り出したい、現場のモノと情報を重ね合わせたい、といったニーズにこたえていくものから普及していきそうだ。

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