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VUCA時代を生き抜くための、デジタルトランスフォーメーションとIoT

VUCAとは、「Volatility(変動性・不安定さ)」「Uncertainty(不確実性・不確定さ)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性・不明確さ)」の頭文字をつなぎ合わせたもので、もともとは1990年代後半のアメリカの軍事用語だ。

最近では、「この不確実な時代をどう乗り切っていくのか?」という文脈でよく「VUCA」というキーワードが使われる。

リーマンショック以来、度重なる自然災害や、コロナ禍と、不確実性が高まる中、VUCA時代を生き抜くために、デジタルトランスフォーメーションをどう活用すれば良いのかについて解説する。

VUCA時代を生き抜くDX
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これまでの経営戦略

これまでの経営戦略論は、「戦略を立て」「アプローチを決める」という手順だった。このやり方は、変化があまりない右肩上がりの経済成長を遂げていた時代ではよかった。

業界内の強いプレーヤーが明確で、競合の関係もシンプルだった。新規参入者に対する参入障壁も高かった。

しかし、現在は状況が異なる。色んなプレーヤーが業界に参入していて、新規参入者も多い。ユニコーンと呼ばれる短期間でグローバルシェアをとっていくような企業もたくさん登場してきている。

そんな中、既存のやり方では、行き詰まり感が出てきている。これには色んな原因があると言える。

例えば、先ほど述べたような、地震や新型コロナウイルスなど、予測不可能な事態が起きていることがある。他にも、GoogleやFacebook、Amazonをはじめとした、デジタルネイティブな企業が作った、インターネットという新しい経済圏が突如現れ、これまでのやり方が通用しなくなってきているというのもある。

さらに、大量データやAIなどの新しいデジタル技術ありきで、これでの産業のあり方を大きく変えるような、動きも出てきている。

これらの変化は、スマートフォンの登場後、わずか10年くらいの変化なので、それまで、「五カ年計画」「中長期計画」などを当たり前のように立てていた、事業者からすると何が起こったのかわからないという状況であるはずだ。

社会の様子が変わったからと言って放置していては、置いてきぼりを食うだけであり、わからないなどという言い訳は通用しない。

我々は、社会の変化を見直し、デジタルのトレンドを知った上で、必要な手当をしていくしか道はないともいえるのだ。

VUCA時代のDX経営戦略、OODAループ

通常、経営戦略を立案する際、「ビジョニング」を行い、「ミッション」を定義し、実行する、という流れになるが、何をするにもまずは環境分析をしなければならない。

しかし、前述したとおり、この環境分析がとても難しいのだ。

なぜなら、突発的に起こることを予測することはできない。環境分析できないので戦略も立てられない。その結果、後続の意思決定や行動もできなくなってしまうのだ。

そこで、OODA(ウーダ)ループという考え方が登場した。

VUCA時代のDX経営戦略、OODAループ

OODAとは、「Observe (観察)」「Orient (情勢への適応)」「Decide(意思決定)」「Act (実行)」の頭文字をとったものだ。実際、OODAはシリコンバレーをはじめとした、昨今勢いのある会社がよく取り入れてい考え方でもある。

この場合、重要なことは、3年、5年などの長期計画を立てるのではなく、じっと世の中を観察して、情勢が変化していることをなるべく早く察知して、適応していくということになる。そして、これをひたすら繰り返すことも必須となる。

例を挙げると、Googleマップがある。

Googleマップにみる、OODAループの重要性

Googleマップは、当初ただの地図だった。

日本に上陸した際、地図業者は戦々恐々としつつも、地図の精度が低いと胸をなでおろしていた。

そして、不正確な箇所については、Googleは国内企業に提携を求めてきた。

しかし、その後、「Googleカー」と呼ばれる、地図のための測位を行うクルマを全国に走らせ、地図の精度をあげていく。

さらに、地図上に飲食店情報を掲載したり、交通情報を掲載することで、GPSで現在地がわかるという「単なる地図」から脱却し、デジタルでないとできない付加価値をどんどん搭載しだしたのだ。

現在、カーナビとしても使えるが、Goolgeマップのカーナビは、あるとき突発的に交通事故が起きると、数分から数十分という短い時間で、その道で交通渋滞が起こると予想し、迂回路が提案される。

これは多くの生活者がGoogleマップをカーナビとして使っているため、その位置情報データを収集することで、渋滞を予測し、迂回路を示すサービスなのだ。

その結果、通常のカーナビゲーションシステムを搭載したクルマより、正確に渋滞予測と迂回路の提案を行うことができるようになり、利用者はよりGoogleマップを使うようになる。

このように、生活者の悩みに寄り添い、「こういう機能があったら嬉しいだろうな」ということを見つけ出し、一つ一つ実現していく。

そういう積み重ねによって、多くの利用者に支持され、Googleマップなしでは生活できないという環境を作り上げていったのだ。

VUCAの時代では、不確実であるが故に、大きな方向性を打ち出すのが難しい。

また、モノが溢れている時代に、何かを量産すれば飛ぶように売れるということを期待するのも困難だ。

そこで、このように、顧客となりうる人々を観察し、気づきを得たら、必要なサービスを形にしていく。そして、またフィードバックを受け改善する。ということの積み重ねを行うことが重要なのだ。

VUCA時代のデジタルトランスフォーメーションとIoT

では、このOODAループが、デジタルトランスフォーメーションやIoTとどういう関係にあるのかを解説する。

まず、IoTは現実世界をデジタル空間上へのコピーするものだ。一箇所だけの温度を計測したりするのではなく、社会全体をデジタル空間上にコピーするのだ。

Googleマップの世界で言えば、道路の状態、クルマの位置情報、他の交通機関の状況などさまざまな情報をIoTやデータ連携によって取得することができるが、こう言った情報をデジタル空間上にコピーするのだ。

こうすることで、デジタル空間上では未来の予測が可能になる。

現実世界で道路の場所を動かすことができなくても、デジタル上では簡単だ。

クルマが一台もいない状況だって生み出せる。

こうやって、デジタル空間上にコピーされた現実をつかって、状況の変化に対する課題を早期に発見し、一番有効な手立てがなんであるかを探し当てるのだ。

VUCAとOODA、IoT/DXの関係

OODAループに当てはめると、まず 「O(観察)」では、これまでのGoogleマップの利用状況や利用者の声を観察する。

そして、「O(データ収集)」のところでは位置情報を用いて、クルマや人の位置情報を取得する。これを現実世界全体でやるので、デジタル空間上にコピーができる。

「D(意思決定)」では、小さな意思決定を行うのだ。例えば、駅の位置情報に、出口を作ろうとか、飲食店の位置情報に営業時間を入れてみようとかだ。

そして「A(実行)」では、実際に機能に搭載してみる。そして、その機能を使った利用者をまた観察する、という流れになる。

小さな意思決定というところも重要だ。なぜなら、いきなりビジネスモデルを変えることができないとしても、ビジネスを実現するための手段は無限の選択肢があるからだ。

DXでは、「ビジネスプロセスをデジタルありきで再構成する」という意味がある。

これを実際にやる場合、現状のビジネスプロセスを可視化するわけだが、これがデジタル空間上にコピーされていれば、小さい意思決定をよりやりやすくなるはずだ。

なぜなら、デジタル空間上にコピーされたビジネスプロセスは、簡単に未来をシミュレーションすることが可能になるからだ。

コロナ禍で、中国からの部品供給が止まり、困った企業は多い。

困ったという内容を掘り下げていくと、実は下請け構造が明確になっていなかったため、中国からの輸入が止まった時、国内のサプライヤーからの供給でどこまで生産が持ち堪えられるのかが不明だったのだという。

こういう事例を見ていると、自社のビジネスプロセスをデジタル上で可視化することができていれば、もっと早く手が打てた企業も多かったはずだ。

コロナ禍の経験を生かし、VUCAの時代を乗り切るためには、まずは自社のビジネスプロセスをデジタル上で可視化することから始めるとよい。

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