スマートシティの重要課題である水の管理にIoTを活用、世界有数のポンプメーカー、グルンドフォスの挑戦

今日、世界の都市には40億人以上が暮らしている。さらに2050年までには都市人口が今よりもさらに25億人増加し、人類の人口に占める割合の68％に達すると予測されている。

歴史が始まって以来、都市は私たちの身近な場所に存在し続けているが、現代の都市はこれまでに経験したことのない大きな課題に直面している。こうした状況において、「スマートシティ」はもはや宣伝文句ではない。都市はこれまでにも増して“スマート”になる必要があるのだ。

一般的に「スマート化」とは、業務効率改善のためのICT（情報通信技術）の活用を指す。したがって、「スマートシティ」の主な目的は、ICT技術やデータ分析を応用し、住民の生活の質の改善を図りながら、都市機能の最適化と持続可能な経済成長を推進するということになる。

日本においても水の管理は今後の課題に

意外なことに、「スマートシティ」における大きな課題の１つは「水」の管理である。いかなる都市でも、水の供給・分配・処理は非常に悩ましい問題なのだ。

現在、世界では浄水場から供給される水のうち30％が蛇口にたどりつくことなく失われている。この数字は都市ではさらに上がり、高いところではその量は全体の60％にも上る。原因は漏水や盗難のほか、単に計測されていないこともその理由とされている。

こうした水管理の問題は途上国だけにとどまらない。日本ではきれいな水にアクセスできるのは当然のことのように思えるが、日本のように蛇口の水をそのまま飲める国は世界的にもそう多くはない。その一方で、日本の上下水道を取り巻く状況は年々深刻化している。

日本における家庭用上下水道施設はほとんどが1960〜70年代の高度成長期に整備されたものだ。近年、そうした水道施設が老朽化し、年間２万件以上の漏水・破損事故が発生している。

効率の悪い水管理は、サステナビリティにも影響する。電気ポンプによるエネルギー消費量は大きく、世界の電力消費量の約10％を占めている。つまり、水管理の問題は環境問題でもあり、実に世界の排水の80％が浄化処理されずに自然に返されているのである。

ポンプにコネクティビティを導入するメリット

デンマークに本拠を置く世界有数のポンプメーカーであるグルンドフォスは、水管理の効率改善のためにIoTを導入している。現在同社では55カ国以上の顧客に対して、毎年約1,800万台のポンプを提供している。

グルンドフォスは、スウェーデンに本社を置くIoT 専門会社Telenor Connexion（テレノールコネクション）とパートナーシップを結んだ。各種センサーやその連携データによるIoTテクノロジーを活用して、水管理システムの改善とエネルギー消費量の削減を推進しているのである。

各種センサーでは、ポンプ性能に関するデータを把握することが可能だ。そうしたデータを使うことにより、グルンドフォスは自社製品をより適切に制御することができる上、予測メンテナンス、状態監視、需要主導型配分などの新サービスを開始することもできる。

すでに商業的にスタートした事例としては、グルンドフォスがコネクティビティを導入したデンマークの排水網（Waste Water Network Connect）がある。排水網にセンサーを導入することで、実際の流量と予測流量を比較分析し、漏洩などの問題箇所を特定することが可能になった。

ポンプにコネクティビティを導入することにはさまざまなメリットがある。加えて、それぞれのポンプの利用状況や効率的な利用方法についての詳細なデータを得られるため、グルンドフォスの顧客のコスト削減にも役立つ。

例えば、ポンプの性能監視に基づく予測メンテナンスを行ったり、問題が発生する前に事前に対処したりすることができれば、施設稼働時間の延長や修理保全のための給水停止回数の削減につながるだけでなく、需要主導型配分やエネルギー消費量の最適化、コスト抑制も図れる。

ポンプ、コントローラなどを含むグルンドフォスの圧力ブースタシステムHydro MPC（Metering Pump Controller）

広いカバレッジと長期保証を備えたコネクティビティサービス

グルンドフォスのポンプは、商業利用が始まれば現場で何年にもわたり使用されることになる。そのため、コネクティビティの選択にあたっては、広いカバレッジと長期保証を備えたサービスを選ぶことが重要であった。

新規のサービスやデバイスは柔軟な接続オプションを提供する一方、多くの市場ではLTE-Mがネットワーク技術として選択される傾向にある。これは、2Gもしくは3Gネットワークが一部の市場において将来的に廃止される予定になっていることに備えたものだ。LTE-Mならあらゆるデータ通信に十分な帯域幅を確保できるだけでなく、ポンプの将来性を見据えた幅広い可用性とグローバルなカバレッジを獲得できる。

LTE-MはLong Term Evolution（4G）のカテゴリーM1の略であり、IoTデバイスがゲートウェイやバッテリーなしで4Gネットワークに直接接続できる無線技術規格である。低コストと低データレートを特徴とし、長時間のバッテリー寿命や通信困難な場所での動作が求められるIoTアプリケーションに特に適している。

2G（GPRS）はバックアップ技術として機能し、国や地域、大陸をつなぐ物流に欠かせない国際的なカバレッジを実現する。LTE-Mはモノを接続するために特別に開発された新世代の接続性ネットワーク技術である。4G技術をもとに構築され、業界組織であるGSMAによって支えられた5Gファミリーの一部だ。

IoT接続、AI、センシング機能を利用することで、通常のポンプをデジタルポンプに変えることができる

Telenor Connexionをパートナーに選んだ理由

Telenor Connexionは世界の主要モバイル事業者の１つであるTelenorグループに属するIoT専門会社。20年以上の実績に基づき、カスタムメイドのサービスやより高度なサポートを必要とする大規模なグローバル企業に対しIoTソリューションを提供している。

Telenor Connexionは企業に対し、複数の国におけるIoT接続を手軽に管理できる方法を提供している。各国のローカルネットワーク事業との統合は種々の商業的・技術的課題を伴う非常に複雑なプロセスだ。標準化されたSIM１枚で利用でき、窓口も１つのTelenor Connexionのコネクティビティサービスなら、コネクティビティに特化した専門家によるサポートのもと、グルンドフォスの事例のように「事業展開する市場の現地事業者からそれぞれ異なるIoT SIMを購入し、管理する」といった負担を回避することができる。

グルンドフォスでは熟慮の末、世界各国で広範囲なコネクティビティを提供し、IoT専門家によるグローバルなカスタマーサポートを備えているTelenor Connexionを選択した。合わせて、将来性の高いIoTコネクティビティ技術（グルンドフォスの場合はLTE-M）を保有するサプライヤーであることも、同社がTelenor Connexionを選んだ重要なポイントとなった。

グルンドフォスによるIoTを活用した水管理の改善事例の詳細についてはこちらをご参照ください。

Telenor Connexion について

Telenor Connexionは世界の主要モバイル事業者の1つであるTelenorグループに属するIoT専門会社。20年以上の実績に基づき、コネクティビティ導入機器を大量に保有する企業やサードパーティのサービスプロバイダーに対し、グローバルなIoT 接続とクラウドサービスを提供している。

ボルボ、スカニア、日立建機、Verisure Securitas Direct、ハスクバーナなどのグローバル企業を顧客とし、190を超える国々で1,000万台以上のコネクティビティ導入機器を管理。スウェーデンに本社と技術センターを置き、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリア、南アフリカ、シンガポール、韓国、中国、日本に営業拠点を展開している。
Telenor Connexion（日本語ウェブサイト）
sales@telenorconnexion.com