IoTで今後重要となる通信レイヤーのキーワード、「LPWA」という言葉を知っているだろうか?
Low Power Wide Area Networkの略で、無線通信規格の一つだ。
無線LANやキャリアのネットワークを使ったモバイル通信はなじみが深いと思うが、こういった通信を自由に扱うには認可が必要だったり、電力消費が大きいということからIoT向きの通信でもっと良いのがあるのではないかという議論があった。
「もっと良い」というのは、
・少量データの通信ができる
・飛距離がでる
・低消費電力で利用できる
といったところが話題になることが多い。なぜかというと、IoTではセンサーが取得する、温度や、湿度、振動、傾きなどのちょっとした数字のデータが送れればよいという場合があるからだ。この対極にあるのが、みなさんがなじみの深いスマートフォンなどで利用する通信で、Youtubeをはじめとする、動画のコンテンツなどの視聴にも耐えるものだ。
実は、世界では「LoRA」「SigFox」「HaLow」と呼ばれる、こういった特徴を持つ通信規格がいくつか存在していているのだ。
そんな中、株式会社ソラコムは、株式会社M2B通信企画に出資、戦略的提携をするということで、株式会社ソラコム 代表取締役社長の玉川氏と、株式会社M2B通信企画の田中氏、渡辺氏にお話を伺った。
M2B通信企画社は、日本でいち早くLPWAのネットワークである、LoRa WANに取り組んでいる企業で、世界の業界団体である「LoRa Alliance」における日本のコントリビュータとして日本規格の策定にも関わっている。
そもそも、LoRaとは、IBMと半導体ベンチャーのセムテックが開発したIoT向けの無線技術で、920GHzの無線技術の中でも、オープンな仕様ということでマーケットからは有望視されている。
今回の発表では、ソラコムはM2Bと戦略的業務提携をすることで、LPWAネットワーク事業に参入するというのだ。
なぜ、ソラコムはLoRa WANを取り込もうと思ったのか
玉川氏によると、「道路や橋といったインフラの管理、電気、水道、ガスといったユーティリティ、ウェアラブル、VR、AR、農業・漁業など郊外でネットワークがないところや製造業といったところで利用が可能と考えている。LoRaは、仕様がオープンな一方で、プライベートネットワークが自分で作れるので期待している」ということだ。
また、今後、電力会社や自動販売機などと連携することも想定しているという。
実際に使ってみたいと思った場合、開発キットのとして、LoRa ゲートウェイとLoRaモジュールの準備を想定しており、ゲートウェイにSORACOM SIMを刺すことで簡単に利用することができるということだ。
ArduinoにLoRaモジュールをつけるための開発もすすめているということだ。このモジュールは単三電池2本で2~3年はもつということだ。
飛距離がでるというLoRaだが、実際に八王子市の山手線くらいの広さがある敷地内で、実証実験たところ、たった5個ででこのエリアをカバーできたということだ。
実際にこのエリアで自転車を走らせながら、LoRaを使って位置情報を配信してみたところ、山間部を含むほとんどの場所で通信をすることができたというのだ。
これまでのMVNOでの通信(SORACOM Air)はどうするのか?という筆者の問いに対して、「直接SIMを入れたほうが良いケースや、Wifi,BLEが良いケースなど様々だ。利用シーンに応じていろんな通信をつかっていくべきだ。」と述べた。(玉川氏)
詳細の仕様などは、7月13日に開かれるソラコムのカンファレンス、Discoveryで発表されるということだ。
SORACOM Conference “Discovery”の詳細はこちらから
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