ルネサス、産業・農業・ヘルスケア分野で使用される小型センサ用ハブ向けマイコン「RL78/G11」を発売

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、センサ応用システム、なかでも複数のセンサにつながり、センサの出力信号をデジタルデータに変換するセンサ・ハブと呼ばれる機器向けに小型パッケージのローエンド汎用マイコン「RL78/G11」を開発し、本年10月よりサンプル出荷を開始する。

新製品は、産業分野ではデータセンタの熱対策に向けたコンピュータの稼働環境モニタ、ヘルスケア分野では健康管理のウェアラブル機器、農業分野ではビニールハウスや植物工場の環境センサなど、さまざまな分野で使用される小型のセンサ・ハブに向けて開発されたもので、パッケージの端子数が24ピン以下のマイコンであり、最大13個のセンサに対応する。手軽な開発環境の提供し、試作および評価の期間を短縮、といった特長がある。

新製品のサンプル価格は、例えば20ピンLSSOPパッケージ・民生機器向けの「R5F1056AASP」が120円/個(税別)となる。量産は本年12月より開始し、2018年には月産50万個を計画しており、評価ボード、開発ツール、ソフトウェアなども順次提供する計画だ。

近年、電子機器の自動化・センサ機能強化により、新しい需要の創出が期待されており、産業分野では、データセンタでのコンピュータや基幹通信機器の稼働環境のモニタリングによる冷房・空調の効率化、稼働データの蓄積・分析による故障予知が進められている。またヘルスケア分野では、ウェアラブル機器により血圧・脈拍数などのデータを蓄積・分析し、毎日の健康管理や病気の早期発見につなげる試みが始まっている。さらに農業分野では、作物の生育環境/状況を環境センサで測定し、肥料・光熱費の節約や、作物の品質改善という試みがある。

このような技術の発展には、センシングの高度化やセンサの増加が不可欠だが、これによる消費電力の増加は特にバッテリ搭載機器で大きな課題となっている。

また、3Dプリンタの活用などにより、機器の試作・開発期間は短くなる傾向にあり、マイコンの開発環境にも、より簡単に短期間での試作・開発に対応する工夫が求められている。

新製品はこのような市場ニーズに応えるため開発されたもので、センサ・ハブやセンサ応用システムの小型化、省電力化、バッテリ長寿命化や、ユーザの試作・開発期間の短縮に貢献するという。

新製品の特長

24ピン小型パッケージで、最大13個のセンサに対応

新製品は、端子数24ピン/25ピン製品ではアナログ入力11チャネル・シリアル通信6チャネルを搭載。小型パッケージながら最大で13センサからの信号入力に対応している。センサからの信号入力は、スタンバイ状態でも動作する内蔵アナログ機能、シリアル通信(受信)機能での処理により、複数センサのシステムでも省電力な制御が可能。さらにスタンバイ状態からCPU動作へ4μs(マイクロ秒)での高速ウェイクアップおよびCPU動作状態を最適化するフラッシュ動作モード遷移など、省電力に貢献する機能を有している。また、電源電圧1.8Vから動作する内蔵の定電圧を基準に、バッテリ電圧の計測・センシングが可能。これらの活用により、間欠動作(注1)の消費電力を削減し、センサ・ハブやセンサ応用システムの省電力化・バッテリの長寿命化に貢献する。

手軽な開発環境で試作・評価の期間を短縮

ルネサスは新製品の開発環境として、ルネサス製16ビットマイコン「RL78ファミリ」の標準的な開発環境に加え、超小型のプロモーション・ボードや、お手軽プログラミング・ツールも開発中。

プロモーション・ボードは、ボードひとつで、プログラムのデバッグ・書込みに対応し、ブレッド・ボードや導電性インクペンを用いた試作にも対応できる。

お手軽プログラミング・ツールは、GUI操作のみでマイコンのプログラム開発ができ、特にスタンバイ機能を用いた間欠動作にも対応する。従来は1週間かかるところ、1日で試作と評価を実現する、手軽な開発環境の整備を進めているという。

新製品はこの他にも、相補型PWM出力/強制遮断に対応するタイマ機能、ハードウェアの不正動作を検知・診断する安全機能、多チャネルのシリアル通信機能、フライバック制御に対応するタイマ機能、割込み信号を外部端子に直接出力するINTFO(注4)など、民生・産業機器で役立つ多くの機能・特長を有している。

注 1 スタンバイ→CPU 動作→スタンバイの遷移を繰返す、省電力化の手法。CPU 動作の時間を短く、
スタンバイの時間を長くすることで、消費電流(平均)をスタンバイ時の消費電流に近づけることができる。
注 2 16 ビット・タイマ KB0 の PWM 出力機能および、強制出力停止機能。
注 3 タイマ・アレイ・ユニット(TAU)の、2 入力式ワンショット・パルス出力としての動作。
注 4 タイマやデータ演算回路(DOC)などで発生した割込みフラグを端子に直接出力する機能。

【関係リンク】
ルネサス(Renesas)

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