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ルネサス、自動運転の開発を加速する「HAD(高度自動運転)ソリューションキット」を開発

ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下、ルネサス)は、自動運転システムの開発を加速する「HAD(高度自動運転:Highly Automated Driving)ソリューションキット」を新たに開発した。2017年2月から発売を開始する予定で、価格は未定だという。

このソリューションキットは、高いコンピューティング性能を実現するハイエンドSoC「R-Car H3」を搭載した車載用開発キット「R-Car スタータキット Premier」2セットと、高い安全性を実現するシャシー制御用ハイエンドマイコン「RH850/P1H-C」を搭載し、自動運転で求められる性能と安全性を両立したシステム構成で、自動運転の実車搭載に向けた開発を加速させることができるという。

自動運転は現在注目され期待されている技術であり、早期の実用化に向けて技術開発が急速に進展している。レベル3(注1)以上の自動運転の実現には、かつてない計算能力が求められている一方で、高い安全性の確保、品質の確保を同時に実現することが大きな課題だ。また、自動車向けのソフトウェア開発では、パソコン等を用いて開発するソフトウェアをいかに効率よく車載向けのハードウェア上で実現できるかが重要で、日進月歩で進化する自動運転においては、そのスピードの重要性がさらに増している。

「HAD(高度自動運転:Highly Automated Drivingソリューションキット」の特長の詳細は以下のとおり。

高度な自動運転車の量産を見据えたソフトウェア開発が可能

同ソリューションキットは、高いコンピューティング性能を実現する車載用開発キット 「R-CarスタータキットPremier」が2セットと、シャシー制御用マイコン「RH850/P1H-C」1セットが、イーサネットスイッチを介して接続されており、自動運転に求められる高い計算能力と、高い安全性の確保、品質の確保を同時に実現するシステム構成である。キットを利用して開発、評価を行うことで、ソフトウェア開発のために大規模なハードウェア開発をする必要がなくなる。

また、ソリューションキットは実車に搭載して研究開発や評価が出来るように、放熱対策や各種インタフェースを搭載し、堅牢なケースに収納。実車評価を繰り返すことにより、実用化する際のソフトウェアの改定を軽減でき、自動運転車の量産を見据えたスムーズな開発が可能。

高いコンピューティング性能を持つ「R-Car H3」とシャシー制御用マイコン「RH850 P1H-C」を搭載

HADソリューションキットに2セット搭載されている「R-Carスタータキット Premier」は、車載用ハイエンドSoC「R-Car H3」を搭載している。「R-Car H3」は、自動運転時代の車載コンピューティング・プラットフォームとして、ARMの64ビットアーキテクチャCPUコア「ARM Cortex-A57/A53コア」を採用し、40,000DMIPS(Dhrystone Million Per Second)(注3)以上の処理性能を実現。

また、グラフィックスコアにイマジネーションテクノロジーズの「PowerVR GX6650」を搭載、さらに画像処理やディープラーニング処理等に最適な構造を持つルネサス独自の並列プログラマブルコア「IMP-X5」が搭載されており、自動運転に求められる高度な計算処理の実現が可能。ASIL Bにも対応可能である。

また、同キットに搭載されるシャシー制御用ハイエンドマイコン「RH850/P1H-C」は、機能安全(ISO26262)の最高レベルASIL Dに対応可能であり、外部からのハッキングに耐え得る高い堅牢性やセキュリティ対策を実現するためにハードウェアセキュリティモジュールを搭載。また、大容量メモリ、動作周波数240MHzで動作する高性能CPUを2つ搭載し、ネットワークニーズに対応した豊富な通信機能を1チップで実現し、高い安全性の確保と、品質の確保が可能。

自動運転の開発に必要な各種インタフェース、データロギング機能を搭載

自動運転向けの開発では各種センサと接続した環境で、試験データの収集、解析の作業を繰り返すことになる。そのため、ソリューションキットには、5×100MB(メガビット)のイーサネットBroadR-Reach(ブローダーリーチ)ポート、1GB(ギガビット)のイーサネット、フレキシブルなデータレートを実現する車載コントローラエリアネットワーク(CAN-FD)、さらにはFlexRayを搭載。また、ミリ波レーダ、レーザーレーダ、超音波センサなど各種センサ情報の入力、さらには最大16チャンネルのカメラ入力が可能であり、自動運転の開発に求められる各種インタフェースを搭載している。

データのロギングにはSSDをサポートしており、開発に必須となる外部モニタとのインタフェースにはHDMI出力もサポートしている。なお、HADソリューションキットに搭載される「R-Car H3」はLinux Yocto、「RH850/P1H-C」はルネサス標準ソフトウェアパッケージに対応しています。順次、ルネサスパートナーから追加ソフトウェアが提供される見込みだという。

ルネサス、自動運転の開発を加速する「HAD(高度自動運転)ソリューションキット」を開発

(注1)自動運転のレベルには、例えば米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)ではレベル0からレベル4まであり、レベル3とはクルマの加速・操舵・制動全てをシステムが行う状態で、システムが要請した時はドライバーが対応すること。レベル4は、完全自動走行システムと呼ばれ、ドライバーが走行に全く関与しない。
(注2)ASIL(Automotive Safety Integrity Level)は機能安全規格ISO26262で定義される自動車用安全水準であり、QM (Quality Management)、A、B、C、Dで水準が示される。ASIL Dが最も高い安全度水準。
(注3)DMIPS(Dhrystone Million Instructions Per Second)とは、Dhrystoneベンチマークプログラムを実行して算出した、コンピュータの性能指標の1つ。

【関連リンク】
ルネサス(Renesas)
ARM

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