NEC、数万人規模の混雑度と人の流れをリアルタイムかつ高精度に予測する技術を開発

NECは、同社の最先端AI技術群「NEC the WISE」(注1)の「群衆行動解析技術(注2)」を強化し、防犯カメラを活用して、大規模な群衆の混雑度と流れをリアルタイムかつ高精度に推定・予測する技術を開発・追加した。

今回開発された技術は、防犯カメラの映像解析により、大型施設やイベント会場における数万人規模の混雑環境下(注3)で群衆の混雑度と流れを定量的に把握し正確にデータ化する。さらに、追従や衝突回避など混雑環境での人特有の挙動を再現可能なNEC独自の群衆モデルを用いて、分析粒度を最適化することで、高精度かつリアルタイムな推定・予測を実現した。

NECは、同技術を大規模スポーツイベント(注4)で実証し、リアルタイムな群衆誘導に必要な10分先の混雑状況を、20%以内の誤差で予測できることを確認したという。

同技術の活用により、大型施設や各種イベント会場などでの警備において、事故や犯罪を誘発する危険な混雑状態の発生を予測することで、混雑を防止する誘導プランをリアルタイムに提示することが可能となる。開発された技術の特長は以下のとおり。

防犯カメラの映像解析で、混雑環境でも群衆の混雑度と流れを定量把握

今回、これまでに有していた防犯カメラの映像から群衆の混雑度を高精度に可視化する技術と、映像から動きを抽出する技術を組み合わせることにより、数百人が往来する路上のある地点での、人の密度と個々の向き情報を算出し、方向別に進む人数を定量的に把握できる「群衆流量推定」を開発した。重なり合う人の塊を選択的に検出した上で、それらの動きを統合して分析することで、カメラ画角内の群衆の混雑度と流れの分布を高精度に推定可能。これにより、人が重なって見える非常に混雑した環境でも、滞在人数や方向別の通過人数を定量的に把握できる。

複数の地点で得た群衆の混雑度と流れの情報に基づき、数分から数十分後の混雑状況を予測

各地点の群衆の混雑度や流れの情報を、人の移動を模倣するプログラム(エージェント)の集合で表して分析することで、大規模な人の流れをリアルタイムかつ正確に推定・予測できる「リアルタイム人流予測」を開発。このようなエージェントを用いた従来の推定・予測では、混雑環境での人の流れを正確に再現することが難しく、人の流れの高精度な予測は困難だった。

今回、NECは混雑環境での人特有の挙動を表現する「群衆モデル」を開発し、エージェントひとつひとつについて、周辺の人への追従、衝突回避、空いているスペースへのすり抜けなどの動きを精密に表現することで、より実際に近い混雑状況を再現できるという。

一方で、エージェントの動きを精密に表現すると計算量は増大するが、今回、エージェント間の関係に着目し、密度や相対的な動きに基づいて、計算対象を人流に強く影響を与えるエージェントのみに絞ることで、全体の計算量を大幅に削減したという。

(注1)「NEC the WISE」(エヌイーシー ザ ワイズ)は、NECの最先端AI技術群の名称。
(注2) 群衆行動解析技術:NEC独自技術。ディープラーニング技術を用いて数百万枚の群衆画像と人数を事前に学習させ、実際の映像から切り出した人の“塊”の画像と付き合わせることで、映像内の混雑度合や人数を高精度に推定する技術。
(注3) 混雑環境:人の密度について、歩行空間においては、人が普通に歩行できる限界密度とされている2人/㎡、滞留空間においては、人が安全に滞留していられる限界密度とされている4人/㎡を超える環境。
(注4) 大規模イベント:スタジアムで開催された観客数数万人規模のスポーツの試合。

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日本電気(NEC)

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