京都大学・ローム・日新システムズ、手軽にIoTが実現できるマルチホップ通信規格Wi-SUN FANに対応した無線機の基礎開発に成功

京都大学 大学院情報学研究科の原田教授の研究グループは、ローム株式会社、株式会社日新システムズと共同で IoT向け新国際無線通信規格 Wi-SUN FAN(Field Area Network)(※1)に対応した無線機の基礎開発に成功した。

Wi-SUN FANは、IoT構築に最適な国際無線通信規格「Wi-SUN」の新規格で、電気・ガス・水道のメータリングのほか、インフラストラクチャ、高度道路交通システムなど、スマートシティ、スマートグリッドを構築する様々なアプリケーションにおいて、相互運用可能な通信ネットワーク技術として期待されている。今回開発された無線機は、国際無線標準規格IEEE802.15.4/4g/4e技術を核に、WiFiTMシステムで導入実績のあるインターネット接続用国際規格を利用しているため、アプリケーション開発が非常に容易になり、マルチホップを利用したIoTがより促進されることになるという。

スマートシティやスマートグリッドなど、屋外での通信ネットワーク実現のためには、高品質で長距離かつ安全なネットワーク技術が必要となる。こうした中、IoT用の無線通信規格および技術適合性・相互接続性認証を行うWi-SUNアライアンスでは、2016年5月16日に新国際無線通信規格Wi-SUN FANの仕様書を発表した。

これは電気・ガス・水道のメータリングのほか、インフラストラクチャ、高度道路交通システムなど、スマートシティ、スマートグリッドを構築する様々なアプリケーションにおいて、相互運用可能な通信ネットワーク技術として期待されている(図1)。しかし新規格に対応した無線機の基礎開発はまだ十分行われておらず、その有用性を広く伝えることができていなかった。

今回、Wi-SUN FAN に対応した基礎無線機(図2)を開発し、同無線機を複数台用いて、マルチホップを利用した IP 通信を行う基礎実験に成功(図3)。この無線機は、Wi-SUN FAN仕様書に記載の以下の機能を有す。

  • 日本で運用上必要となる IEEE 802.15.4/4g/4e に対応した物理層、MAC 層
  • 6LowPAN、IPv6 に代表される IETF(※2)制定のアダプテーション層、ネットワーク層、トランスポート層
  • RPL を用いたマルチホップ通信方式

京都大学・ローム・日新システムズ、手軽にIoTが実現できるマルチホップ通信規格Wi-SUN FANに対応した無線機の基礎開発に成功

京都大学・ローム・日新システムズ、手軽にIoTが実現できるマルチホップ通信規格Wi-SUN FANに対応した無線機の基礎開発に成功

同無線機は、IEEE802.15.4/4g/4e技術を核に、WiFiTMシステムで導入実績のあるインターネット接続用国際規格、及び IP をベースに無線機間の多段中継を実現するマルチホップ国際規格を統合した機能を搭載しており、スマートシティ、スマートメータリングを構成する各種センサー、メーター、モニターを手軽にインターネットに接続することが可能になる。

なお、同成果は、IEEE 802.15.4/4g/4e の標準化・開発実績のある京都大学原田研究室、同標準化に対応した通信モジュールを開発するローム、Wi-SUN 対応の通信ミドルウェアの商用化を行う日新システムズという京都に本拠をもつ3者が、産学連携の共同コンソーシアム「次世代 Wi-SUN 共同研究コンソーシアム・京都」を組み、内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の中で行われたもの。

今後、3者はWi-SUNアライアンスが主催する相互接続性仕様検証イベントに参加し、Wi-SUN FAN規格の技術適合性・相互接続性認証仕様作成に貢献するとともに、同無線機を仕様に完全準拠するための開発を京都における産学連携プロジェクトとして推進していくという。

(※1)Wi-SUN FAN (Field Area Network)
Wi-SUN アライアンス(※3)が制定するスマートメータリング、配電自動化を実現するスマートグリッド及び、インフラ管理、高度道路交通システム、スマート照明に代表されるスマートシティを無線で実現するためのセンサー、メーターに搭載する IPv6 で多段中継(マルチホップ)可能な通信仕様。2016 年 5 月 16 日にバージョン1が制定。Wi-SUN FAN ワーキンググループで制定。物理層部に IEEE 802.15.4g(※4)、データリンク層に IEEE 802.15.4/4e、アダプテーション層に IETF 6LowPAN そしてネットワーク層部に IPv6,ICMPv6、トランスポート層に UDP、そして認証方式として IEEE 802.1x を採用している。また製造ベンダー間の相互接続性を担保するための試験仕様等も提供されている。

(※2)IETF:インターネット技術の標準化を推進する任意団体。 コンピュータシステムを相互接続するため、 共通の技術仕様策定を議論するグループから発展したもの。

(※3)Wi-SUN アライアンス
IEEE 802.15.4g 規格をベースにエネルギーマネージメント、防災、工場等の各種アプリケーションを実現するために他のオープンな国際標準規格と融合させ、製造メーカー間で相互接続可能な国際無線通信規格「Wi-SUN Profile」を制定する任意団体。現在会員企業は全世界に100社以上。スマートメーターと宅内エネルギー管理システム(HEMS)との間の通信規格「Wi-SUN ECHONET」は全国の電力会社に採用。現在すでに当該仕様が搭載されているスマートメーターは700万台以上出荷。今後は東京電力管内で2000万台以上出荷される予定。

(※4)IEEE 802.15.4g
屋外で利用可能なセンサー、メーター等に搭載し、エネルギーマネージメント等を行うために必要となる無線通信伝送部(物理層)の国際標準規格。1ホップ最大1km程度の伝送が都市部でも実現でき、低消費電力にIPv6等の情報を伝送できる特長を有する。米国IEEE802.15委員会で制定。京都大学 原田博司は、この標準化委員会の副議長であり、フレーム同期部コードが強制規格に採用される等技術的なメジャーコントリビュータである。

【関連リンク】
京都大学(Kyoto University)
ローム(ROHM)
日新システムズ(NISSIN SYSTEMS)
Wi-SUN Alliance

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