具体的なテストベットで見るIoT ウフルIoTパートナー・コミュニティ・フォーラム レポート

WG6 大手飲料メーカー向けWG ニフティ 米田氏

ウフル IoTパートナーコミュニティ

大手飲料メーカー向けWGでは、今後、IoTの世界で流通や小売店、飲食店での販路に関してどういう変化が起きるのかを検討すしたということだ。

IoT時代では、卸や小売を通り越し、メーカーは顧客と新たなコミュニケーションが実現できると考えた。一般消費財メーカーでは、流通・小売を通じた商品提供のため、最終消費者との接点が作りにくい、店頭販促に頼らざるをえないという課題があった。

そこで、店頭販促に頼らないユーザ・エンゲージメントを高めるIoTを活用して実現するということを検討したということだ。

具体的には、「美味しいビールxIoT」をメインテーマとしたという。

飲料メーカーにおける、製造から消費者の手元に届くまでのプロセスにおいて、調達から販売までのプロセスはメーカーでコントロールされている一方で、卸から小売、自動販売機に入った後については、メーカーからは見えにくい領域となっている。

一方で、IoTによって、メーカー、店舗、エンドユーザの三者がトリプルウィンの関係になるモデルが構築可能だという。

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・ビールサーバの状態の可視化
サーバの樽生ビールからビールサーバまでの間のチューブの温度が常温であるため、不味くなるという事象が起きる。そこでセンサーをおき、洗浄状態を可視化するというのだ。

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・店舗内サーバ管理オペレーション
・店舗内のグラスの洗浄・管理フロー
・店舗スタッフの技術習熟度

また、タップ部分に加速度センサーをつけることで、上手い人と下手な人の差がわかり、上手い人が誰なのかを特定することができると考えたということだ。

現状、IoTを活用した満足度向上に一定のニーズがあることが分かったもの、今後飲料メーカーに限定せず、店舗オペレーションのデジタル化や消費者行動の変容のアプローチも加えたいと述べた。

店舗の洗浄オペレーションがうまくいっていないと、ビールサーバを提供しているビール会社としても、ビールの味に問題があると感じてしまう顧客がでることは機会損失につながる。常にベストの状態で提供して欲しいと思うはずだ。この取り組みがうまくいき、人による洗浄やオペレーションのムラがなくなれば、サービス改善施策としてはかなり具体的に機能するといえるだろう。

WG6 ブロックチェーンWG GMOグローバルサイン 乾氏

ウフル IoTパートナーコミュニティ

なにかと話題のブロックチェーンだが、実際に実装まで踏み込んだテストベットはあまりみかけない。今回、WG6では、ブロックチェーンを活用したIoTインフラでの、「本人でしか受け取れない」サービス開発をおこなったということだ。

これまでのやり方として本人情報をデータベースへの書き込み、管理するというやりかたも、もちろんできるが、ブロックチェーンでやることで、「誰がいつ、どこで、なにをしたか、ということを”証明”」することができるところがポイントとなるということだ。

具体的なデモとしては、スマートフォンと宅配ボックスにブロックチェーンの鍵をいれ、宅配ボックスにRaspberry Piを活用した制御プログラムを導入し、BLEを使ってスマートフォンを使った宅配ボックスの開閉を行える仕組みを構築したということだ。

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宅配業者AがビルのBOX01、BOX02にいれると、本人しか開けられない。宅配業社しか閉めることができないボックスの「鍵を閉める権利」があるかどうかをブロックチェーンをつかって確認する。鍵を開ける側としても、部屋番号に応じたボックスしか開けることができないというデモになる。

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ブロックチェーン上には部屋番号となる「101号室」というデータはなく、データストア内に入っているということだ。実際のブロクチェーンには「101号室というデータに対するハッシュ値」が格納されており、宅配業者が見るブロックチェーンには、データストアの内容を見る「権限がある」という情報が入っているということだ。つまり、ブロックチェーン上での認証サービスブロクチェーンのアドレスを投げると、法人番号が帰ってくるというプログラムも作ったということだ。

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今後、より精度の高いトレーサビリティの仕組みや、課金、個人認証、インフラ提供企業との連携などを視野に入れて活動をしていくということだ。

ブロックチェーンの実装事例としては、とてもわかりやすい。IoTが我々の生活に入ってくる中で、様々な重要情報のやり取りが行われるが、何かあった時のトレーサビリティがあるという点では、ブロックチェーンの優位性はこの事例をみるとよく分かる。数年後、必ず必要となる技術だと言える。

WG5 セキュリティWG セゾン情報システム 加藤氏

ウフル IoTパートナーコミュニティ

世界レベルの課題となった、IoTマルウェア「Mirai」の被害は、過去最大級のDDoS攻撃となった。この攻撃は実はIoT機器が乗っ取られることによって発せられているのだ。

ウフル IoTパートナーコミュニティ

実際の課題としては、ハードのセキュリティとソフトのセキュリティの2つの面で見る必要がある。そこで、今後IoTのセキュリテイ上必要な対策について検討したということだ。

検討した結果、IoTを始めるときに考えないといけない、セキュリティに関する課題を明確にするという取り組みとなったということだ。

そこで、このワーキンググループでは、マルウエアMiraiや、コンテクテッドかーJeepチェロキーのハッキング、スタックスネットといった事例を取り上げ資料化しているということだ。

資料化を進める中で、IoT機器のセキュリティを向上させるには、

・初期設定をそのまま使わず、確認/変更を行う
・セキュリティアップデートを頻繁に行う
・不要なサービス/機能/環境をりようしない

ということで回避できることは多いと述べた。

インターネットに接続することを前提としていない機器メーカーが、急にインターネット対応機器の製造を迫られている局面ではある。知識不足のケースでは、機器へのログインがOSのデフォルトとなっているケースも多いという。その結果、簡単にインターネット対応デバイスが乗っ取られ、攻撃の踏み台になるというのだ。こういった問題を解決するには、まずもって、セキュリティの知識をデバイスメーカーが持つことだろう。その上で、様々なソフトウエアなどでの対策を講じていく必要がある。

WG4 スマートビルディングWG レンジャーシステムズ 木村氏

ウフル IoTパートナーコミュニティ

スマートビルディングというと、ビルの電力マネージメントというテーマが多いが、今回は他のことを可視化しようという取り組みだという。

実際に、ミューザ川崎という川崎にある商業ビルで検証を行ったということだ。

実施内容としては、以下のとおりだ。

1) 加速度センサーによる振動検知
2) 電流値の変動による異常検知

ウフル IoTパートナーコミュニティ

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地下フロアにある、温水ポンプのモーターを検証の対象とし、電流と振動を測定したということだ。11/9より2週間測定を行い、しばらくメンテナンスしていない冷温水ポンプモーターと、最近メンテナンスしたモータを比較した。

ウフル IoTパートナーコミュニティ

ウフル IoTパートナーコミュニティ

センサーは、沖電気製とレンジャーシステム製で細かさが異なる。(図が間違い300msecごと)

ウフル IoTパートナーコミュニティ
レンジャーシステム製のセンサー
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沖電気製のセンサー

レンジャーシステム製でみると、上がメンテナンスしていない側の図だ。横軸が周期、縦軸が振動となる。上は周波数の分布に対して振幅の変動が見れるのがわかる。一方、最近メンテナンスしたものは振幅の変動が小さいことがわかる。

センシングの周期を10ヘルツという短いスパンでとったのでわかりずらいが、次に沖電気の精度の高いセンサーでとった場合の違いだ。こちらでみても、周波数のばらつきに対して、振幅の変化が大きいことがわかるだろう。

さらに、電流値の測定では、あたりまえだが、モーターが動き出すと電流値があがるということが分かった。

今後検討すべき課題としては、

・みだれ=故障とは言えないので、そこをどうするのか?
・センサー側の適正なスペックがなにか(特にサンプリング周期や無線種別をどう考えるか)
・920MHz帯はとれていたが、BLEはデータの欠損も多く出た

安いセンサーだからといっても、取得できるデータは多い。簡易モーターの監視ソリューションをサービス化していきたいと述べた。

センサーの精度をどの程度求めるかは、実際のIoTのセンサー設置の現場ではよく聞く課題だ。精度が荒いものは、それだけ安くつくし、細かいものはセンサー自体が高い場合が多い。また、詳細のセンサーデータを取得する場合は、そのデータの電装経路や処理するコンピュータの性能も求めまれる。とにかくセンサーでデータをとるということを言う人もいるようだが、こういったノウハウは実際に対応したことがある企業でないとわからない部分が多いことも考慮しておく必要があるのだ。

パートナーコミュニティの総括

ウフル IoTパートナーコミュニティ

ウフルの八子氏は、総括として、「日本で最もスピーディーかつ、現実的なIoT検討コミュニティとなっている」と述べた。

こういったコミュニティが数ある中で、半年でアウトプットの事例が出ているということも稀だと言えよう。できた事例も参加企業で横展開も可能となる。WG別・事例別に標準プラットフォーム化していくため無駄もない。

今後、稼げるビジネスモデルの構築も継続サポートしていき、各WGの相互連携による複合的なモデルを実現したいと述べた。

日本固有の課題も日本の中で解決すると、それをソリューション化すれば海外輸出も可能となる。

最後に、「お客様・パートナー企業と新しい価値を共創したい」と述べた。