ルネサスとTTTech、自動運転の量産向け開発を加速するソフトウェア搭載 「HAD(高度自動運転)プラットフォーム」を共同開発

ルネサス エレクトロニクス株式会社とTTTech Computertechnik AG(以下TTTech)は、自動運転車の開発に向け、車載制御ユニット(Electronic Control Unit、以下ECU)のプロトタイプの開発期間を短縮する、「HAD(Highly Automated Driving: 高度自動運転)プラットフォーム」を共同開発した。

自動運転車は2020年の市場投入にむけて各社が開発を加速化させており、カメラ、レーダなどの複数のセンサーによるセンシング処理、経路計算、制御など大規模で複雑なソフトウェア開発が必要になる。そのため、ソフトウェアは複数のチームによって並行して開発されるようになっている。この時、それぞれのソフトウェアがCPU、ハードウェアアクセラレータ、ネットワークといったハードウェアのリソースの競合なくシステム統合されることが求められる。

この新プラットフォームは、並行して開発された複数のソフトウェアを統合して実車で動作検証できるよう、ルネサスの車載コンピューティング用SoC「R-Car H3」と車載制御用マイコン「RH850/P1H-C」を採用したハードウェアキットに、TTTechのADAS(Advanced Driving Assistance Systems)向けソフトウェアプラットフォーム「TTIntegration」を搭載した。これにより、OEM、Tier1メーカは、自動運転用ECUのプロトタイプの開発期間を短縮可能。

本製品の価格、販売時期は未定で、TTTechからの販売を予定している。

今回発表するHADプラットフォームは 2016年10月広報発表したルネサスの「HADソリューションキット」の拡張展開として、複数のソフトウェアを統合して実車評価できるよう、TTTechの専用ハードウェアに、ソフトウェアプラットフォーム「TTIntegration」を搭載した。HADプラットフォームはASIL D(注1)への対応を想定した開発プラットフォーム。OEM、Tier1メーカは、HADプラットフォームを利用することにより、自動運転向けたECU開発をさらに加速させることが可能となる。

新製品「HADプラットフォーム」の特長は以下の通り。

(1)複数のソフトウェアを統合可能なソフトウェア「TTIntegration」搭載により、開発効率を向上

日進月歩の自動運転の開発においては、センサー処理、経路計算、制御など複数のソフトウェアのシームレスなインテグレーション環境を用いてステップバイステップの開発が求められている。TTTechのTTIntegrationは、複数の制御用マイコン、高性能SoC上で、複数のソフトウェアを統合できるうえ、高い性能と安全性を実現できるソフトウェアプラットフォームなので、高いセーフティ機能が求められるアプリケーションも、同時動作する複数のアプリケーションを変更することなく実装ができる。パソコンでのシミュレーションツール環境を用いて、HADプラットフォームとパソコン間でのシームレスなデータ共有が可能であり、ひとつのECUを複数のチームで並行開発する環境構築が可能となり、自動運転の量産に向けて開発期間短縮に貢献する。

(2)プロトタイプECUの開発評価を、実車で実施可能のため、自動運転向けECUの早期開発が可能

HADプラットフォームのハードウェアは、筐体がIP51(注2)のプロテクションレベルを実現するアルミニウム製を採用しており、量産への移行に際に求められる放熱、振動対策も実施済み。動作温度は‐40度から85度、車載向け電源もダイレクトに接続が可能。搭載されるLSIは、ルネサスの高い性能と機能安全でASIL Bを実現する車載コンピューティング用ハイエンドSoC「R-Car H3」と、ASIL Dの高い安全性を実現するシャシー制御用ハイエンドマイコン「RH850/P1H-C」を搭載。これらにより、プロトタイプECUの開発評価を、実車で実施可能のため、自動運転向けECUの早期開発が可能。

ASIL D:ASILは機能安全規格ISO26262で定義される自動車用安全度水準であり、QM (Quality Management)、A、B、C、Dで水準が示されます。HADプラットフォームに搭載されるASIL Dの高い安全性を実現するシャシー制御用ハイエンドマイコン「RH850/P1H-C」と、セーフティOSであるAUTOSAR、TTIntegration ソフトウェアプラットフォームを用いることにより、ASIL Dをターゲットとしたシステムの開発環境を実現することが可能です。また、HADプラットフォームにはASIL Bに対応する高い性能のハイエンドSoC「R-Car H3」も搭載されている。

(注2)IP51:国際標準IEC 60529で定められる保護等級のグレード。IP 51は、動作に影響が発生するほどの粉塵が中に入らない防塵および、鉛直から落ちてくる水滴による影響がない防滴を表す。

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