2020年にはICT人材が約37万人不足、第4次産業革命の進展によって減少する仕事と増加する仕事 ─経済産業省「第13回新産業構造部会」

2017年2月13日に経済産業省にて産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)が行われた。本部会では今回、第四次産業革命下での雇用・労働・教育のあり方がテーマとなっていた。本記事では本部会の討議資料についてまとめている。

第四次産業革命による就業構造の変化

AIやロボット技術が発展することで、単純作業に加えて非定型労働においても省人化が進められつつあり、人手不足の解消につながる反面、バックオフィス業務等、日本の多くを占める従来型のミドルスキルのホワイトカラーの仕事は、大きく減少していく可能性が高い。

一方、第4次産業革命によるビジネスプロセスの変化は、データサイエンティストなどのハイスキル、それをサポートするミドルスキルも含めて新たな雇用ニーズを生み出していくため、日本でもこうした就業構造の転換に対応した人材育成や、成長分野への労働移動の促進を行うことが必要である。

ドイツ連邦労働社会省による労働市場の変化予測

デジタル化促進シナリオ

「デジタル化促進シナリオ」を採用した場合のドイツの2030年実質GDPは、「デジタル化促進シナリオ」なしの場合よりも4%多く、1人あたり所得も4%多くなり、平均年間経済成長を0.3%加速すると予想。雇用については、IT業務、経営企画・マーケティング業務などが増加、生産加工、営業・販売、バックオフィス業務などが減少し、差し引きでは約25万人の雇用増との予想を出している。

デジタル化≠仕事の終焉

デジタル化は所得・雇用の増加、生産性の向上につながる。大規模な技術的失業の波が来るという危惧には根拠がない

デジタル技術の活用がうまく行けば労働市場は二極化しない

デジタル技術を適切に活用すれば中間層ではなく、低技能・単純労働を代替し、より高度な仕事はより複雑な職務分野へと展開させる。

構造転換の加速

デジタル化が加速した場合、大卒者の需要が増大し、職業教育を受けていない労働者の需要が減少する。セーフティネットを拡充し解雇規制を緩める「フレキシキュリティ政策」の策定と、さらに発展した社会福祉国家の構築が重要。

2030年代に向けて目指すべき日本の将来像

企業が行うべきこと

競争力のコアが「産業」「企業」から「人材」に移行したとの認識に立ち、多様な能力・スキルを持った人材を惹きつけ、プロジェクト・ベースで付加価値を生み出すシステムを企業活動の中心に据えていく必要がある。そのために、人材のニーズに応じて場所・時間・契約形態等にとらわれない柔軟かつ多様な「働き方」を取り入れるとともに、職務内容を明確化し、「仕事の内容」や「成果」に応じた評価・処遇を徹底する。

人事システムにおいて、人工知能やビッグデータ等の活用により、「個々の特性に応じた能力開発」「③人事管理/人材運用の最適化」を実現し、各企業が職務内容を明確化し、これまで以上に「スキル」と「ジョブ」を重視する人事システムへと転換していく。

国が行うべきこと

「人材」を獲得・育成・最適配置するエコシステムを、国全体として構築する。企業が人材教育や保障の多くを提供していた時代が現実には過去のものとなる中、影の側面を最小化させるためにも、社会保障制度等の社会システムの刷新が必要。

第4次産業革命による先進的ITを活用し、変革へのブレーキとなりかねない日本型雇用システム(職務「無限定」で長時間労働、自前主義「労働時間、在勤年数」に基づく評価など)の改革

第4次産業革命による技術の進展が、働き方改革における諸課題を解決する鍵となるよう官民で協力して技術開発・情報インフラ整備を行っていく。

出典:産業構造審議会 新産業構造部会(第13回)配布資料を加工して作成

【関連リンク】
経済産業省

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