機械学習やAIの導入は行政機関の人材獲得に不可欠-アクセンチュア最新調査

アクセンチュアの最新調査によると、行政機関が民間企業との人材獲得競争に勝ち、スキル格差の拡大に対処するためには、デジタル技術に精通した若い人材の獲得・定着に向けて、機械学習や人工知能(AI)、生体認証など先進技術の導入が不可欠であることが明らかになった。

アクセンチュアの最新調査レポート「Emerging Technologies in Public Service(行政機関におけるデジタル技術導入)」では、福祉サービス、警察・司法、税務、出入国管理、行政、年金・社会保障といった、市民の暮らしに直接かかわる様々な機関におけるデジタル技術の導入状況が報告されている。

アクセンチュアでは同レポート作成にあたり、日本を含む世界9カ国の行政機関に在籍する約800名の技術担当者を対象にアンケートを実施し、デジタル技術の導入および試験導入の状況を調査。デジタル技術には高度なアナリティクスおよび予測モデリング、IoT、インテリジェント・プロセスオートメーション、動画アナリティクス、生体認証/アイデンティティ・アナリティクス、機械学習、自然言語処理/生成が含まれる。

同レポートによると、職員の高年齢化にしたがって、行政機関内の知識・知見が失われる危機にさらされており、最新のデジタル技術に精通した人材の確保が喫緊の課題として挙げられている。先進技術の専門家など、必要なスキルを持つ人材の確保と能力開発は今や、様々な国や業界に共通する最重要課題の一つと言える。

働きやすくなることはあっても、仕事が減ることはない

調査回答者は、「デジタル技術は既存の仕事をより充実させこそするが、取って代わることはない」と答えており、AIや機械学習など先進技術の導入によって仕事の自動化が進めば、職員は市民のニーズに寄り添った、より付加価値の高い仕事ができるようになることを示唆している。実際、回答者の10人に8人が、「デジタル技術を導入し、特定の反復作業の自動化を図れば、市民のニーズに直結するような仕事に注力できるようになるため、仕事の満足度が高まり、職員の定着が促進される」と答えている。

また、先進的なデジタル技術の導入は、既存の職員に新しいスキルと新しい仕事の機会をもたらし、優秀な人材の定着率を高める。実際、回答者の58%が、「デジタル技術によって、組織に関連するスキルの種類が増える」と答えている。

同レポートによると、行政機関のサービス向上に対する市民の期待が高まる中、行政機関の技術責任者は「市民、顧客、スタッフのエクスペリエンスの向上」をデジタル技術導入の主要目的に掲げている。

熾烈なスキル争奪戦

今回の調査回答者の60%近くが、「先進技術を活用したプロジェクトを実行するには、既存の職員の再教育に多額の投資が必要」と答えている。

同レポートによると、研究・開発を担当する職員がこれらのプロジェクトの価値を最大限引き出すと考えられている。一方で、採用の優先度はデータ・サイエンティストやソフトウェア・エンジニア、デジタル開発者/設計者で高くなっており、世界中で人材獲得競争が激化しているのが現状。
機械学習やAIの導入は行政機関の人材獲得に不可欠-アクセンチュア最新調査
ましてや、先進的な技術スキルと公共機関/市民ニーズに関する知識をあわせ持つ職員の確保は、さらに厳しいと言えるという。回答者の半数(51%)が、「先進技術を活用したプロジェクトを立ち上げる際には、まず主に民間企業の中から雇用する人材を探す」と答えている。

技術スキルやデータスキルの不足に対応するために求められる技術として、もっとも多くの回答者が挙げたのが、インテリジェント・プロセスオートメーション(60%)だ。採用と能力開発の課題において、最もニーズが高かったのは、フィンランドとオーストラリアで生体認証/アイデンティティ・アナリティクスの専門家で、ノルウェーでは、自然言語処理/生成の専門家の採用が最優先に挙げられている(40%)。

デジタル先進国であるシンガポールでは、IoT(21%)、動画アナリティクス(29%)、生体認証/アイデンティティ・アナリティクス(21%)の採用ニーズが高くなっている。

アクセンチュアの公共サービス・医療健康本部で官公庁向けアナリティクス・インサイトの責任者を務めるテリー・ヘムケン氏(Terry Hemken)は、「部下がデジタル技術の進歩に取り残されないよう、変化に適応する能力を身に付けさせることに注力してこそ、対応力に優れた、責任感の強いリーダーと言えるでしょう。未来の労働力を育てることは今や、組織のトップリーダーが果たすべき責任の一つです。新しい技術を学ぶ機会を提供することで、デジタル技術に精通した若い人材を獲得できるだけでなく、既存の優秀な人材を職場につなぎとめることができます」と指摘している。

【関連リンク】
アクセンチュア株式会社
アクセンチュア(Accenture)

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