ソニーグループが提供するIoTリカーリングビジネスを支援する新サービス「b-Pass」とは -ソニーネットワークコミュニケーションズ インタビュー

IoTを活用するコトで、ビジネスモデルを転換する例が登場している。例えば、製造業が「売って終わり」ではないサービス業に変わることや、街燈のメンテナンス会社が「メンテナンスして終わり」ではなく、街燈に設置したセンサーで集めたデータを販売する会社へと変化を遂げた事例もある。

これまでのビジネスモデルそのものを変える事例以外にも、IoTスタートアップがスケールするためには、個人や企業にサービスを提供し、課金に関して継続課金を実施するリカーリングやサブスクリプションモデルの導入も考える必要があるだろう。

しかし、課金システムを実際に構築しようとすると、システムが複雑だったり、運用が大変だったりと苦労することが多い。本来やらなければいけない業務に時間を使えないIoTスタートアップや新規事業担当が多いことに目をつけたソニーネットワークコミュニケーションズは、リカーリングビジネス支援サービスを始めたという。

今回、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 法人サービス事業部門 NB推進部 RBS課 課長 三屋 幸久氏と、同社 同部署 チーフ 中川 潤氏に話を伺った。(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)

 
-今回発表されたサービスについて教えてください。

中川氏(以下、中川): 今回、モノのサービス化を実現するための一助なりたいという想いを持って、「b-Pass(ビーパス)」という名称で、リカーリングビジネスを支援させていただくサービスを立ち上げました。

まず初めに、用語の整理なのですが、「リカーリング」と「サブスクリプション」は、いずれも継続課金という意味では同義ととらえています。しかし、唯一違いがあるとすれば、サブスクリプションは期間で契約するもので、リカーリングは電気代やガス代、携帯代など通信費に代表されるように使った分だけ課金 されるもの、と我々解釈しています。

昨今、シェアリングエコノミーを始めとする新しい経済圏が生まれてきていますが、その理由の一つは、顧客のニーズが「所有から利用」へ大きく転換していることがあると思っています。

いわゆるメーカーがモノを売って、ユーザーはモノを所有するという所有権を完全に移転している従来型に対して、例えば最近で、Adobe社はサブスクリプションを取り入れ、ユーザーが所有するのではなく利用する、というモデルへと転換していると認識しています。

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 法人サービス事業部門 NB推進部 RBS課
チーフ 中川 潤氏

ソニーネットワークコミュニケーションズの強み

中川: 顧客のニーズが変わってきている中で、モノのサービス化に向けた一つの手段としてリカーリングビジネスを立ち上げるにあたって、我々は大きく三つのポイントがあると考えます。

1つは、顧客と契約管理を中心とする、ライフサイクルを適切に管理すること。2つ目は、そもそも課金をするという仕組みです。

次の3つ目が、物流や顧客サポートなどのビジネスオペレーションの構築です。この3つ目が、我々が20年間、ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)事業 で培ってきたビジネス基盤を生かし、IoT関連の事業社へ一番バリューを出せるポイントです。

我々の事業基盤を整理してみると、ISPを代表とする会員ビジネスの実績がありますし、お客さまのクレジットカード情報など、大切な機密性の高い情報を扱うことが多いので、第三者の認証機関から然るべき認証を受けて事業を 営んでおります。

今回、モノのサービス化を実現するにあたって、主にご支援できるポイントは、会員管理、サービス管理、確認請求収納管理を始めとしたノウハウや、セキュリティを担保し、多彩な支払い手段に対応したお客さまのサポートです。

所有から利用へ、ソニーグループが提供するIoTリカーリングビジネスを支援する新サービス「b-Pass」とは -ソニーネットワークコミュニケーションズ インタビュー

我々エンドユーザー をサポートする体制や物流など、これらの事業基盤のベースを生かして、IoTまたはシェアリングエコノミー領域に対し何かしらのプレゼンス を確立できるのではないかと考え、全社プロジェクトとしてスタートしました。これが、このサービスを始めるにいたった背景です。

 
-時間をかけて、構想を練られているのですね。

中川: そうですね。新規事業は泥臭く、社内でこのプロジェクト推進していく大変さもありました。

ここから、我々の狙っている対象市場の話に入っていきます。IoTは大手の事業会社も取り組まれていますが、一番活発化しているのはスタートアップだと思っています。

このサービスを始める前に、数十社ほどのスタートアップやVCの方々に、インタビューさせていただいたところ、クラウドファンディングの手段がかなり取り入れられていましたが、そこには問題や課題がありました。

お話を聞くと、「クラウドファンディングで目標額達成をして、ある程度の量産化まで目途が立ったが、その先の継続した安定的な収益を得るためには、どうピボットをすればいいのか」という議論になることが多いそうです。

ケースバイケースですが、ある企業が始めはBtoC向けにリリースしたプロダクトがありましたが、意外とこれはBtoBに応用できるのではないか、ということがありました。例えば介護系のサービスですと、始めはアーリーアダプターの方々に「簡単に介護ができます」という案内をされていたのですが、これは、いわゆる施設、もしくは自治体に、発展できるのではないかというお話が出てきました。

ただ、その応用をするにあたって、ビジネス展開をするリソースの問題や、そもそもこういったビジネスのオペレーションを回す基盤など、少ないリソースでやられているケースが多いと思っています。

我々は、ソフトウェアサービスとしてだけではなく、皆さまが本来のコア業務に集中できるように、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の要素も含めて、サービスをリリースしようと考えています。

少し話が長くなってしまいましたが、スタートアップと一言で言いましても、シード、アーリーと、いろいろステージがあると思いますが、私たちはクラウドファンディングで、目標額を達成できて、そのあとの安定したレベニューをどう取っていくかというスタートアップを狙いたいと考えています。

IoTもしくは、カーシェア、モノのシェア、スペースシェアをはじめとしたシェアリングエコノミー系の「会員ビジネス」に注力して展開をしていこうと考えています。

-なるほど。

所有から利用へ、ソニーグループが提供するIoTリカーリングビジネスを支援する新サービス「b-Pass」とは -ソニーネットワークコミュニケーションズ インタビュー
IoTNEWS代表 小泉耕二

 

中川: ここからサービスの紹介になります。数年前に Business Process as a Service(ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス)という概念が発表されました。それは、いわゆるクラウドサービス+BPOという、我々がやろうとしていることと近いというところがあり、今回、b-Pass という名称にした由来の一つになります。

もう一つの由来としましては、今回、お客さまの新しいチャレンジを応援したいというところがありますので、事業を立ち上げていく際に立ちはだかるトールゲートを通過(Pass)していくというイメージを持って、名称を付けました。

このb-Passを一言で申し上げますと、「我々ISPとして20年培ってきた事業基盤、及びインフラを活用して、認証から始まり、継続的な課金、カスタマーサポートを、end to endでサービスとして提供します」、というものです。BtoB、BtoCいずれのビジネス関係なく、使っていただきたいと思っております。

 

b-Pass サービスラインナップ

b-Pass サービスラインナップ

主なb-Passのサービスのラインナップとしては、上記図の青字部分の6つになります。

まず、「認証」ですが、各企業が独自で、認証情報を持ってやられていたりするので「そこはあまり制限なく使いたい」ということでした。それは、その通りですよね。

ですので、独自ID という表現をしているのですが、そのサービス事業者が、もうすでに運用されている自社のIDを使っていただいても可能ですし、OpenID と言われるFacebook、Twitter等、を活用されている場合であっても、いわゆる認証は問いませんと、いうところが一つ特徴です。

次に「課金」ですが、主にサブスクリプションと言われる定期的な定額課金があります。

さらに都度課金ですね、こちらはIoTプレイヤーさんがよく使われていますが、ベースとなるサービスは定額課金で、オプショナルな、何かしらのそのアクセサリーなどキットみたいなものを提供したい場合の、定額プラス都度という合わせ技で、こちらもご対応いたします。

そして、使用量に応じて課金をする従量課金、この主な三つのベースとなる課金パターンがあります。

また会員ビジネスとなってきますと、いかに会員を獲得して離脱を防ぐか、という話になってくると思いますが、まず「獲得」というところにおいては、割引などのサービスも対応いたします。つまり、ベースとなる課金パターンがあって、割引という応用技もご対応できるのではないかと考えています。

この認証課金部分はソフトウェアサービス的な要素でして、「実際にエンドユーザーさまに認証していただいて、そのサービス管理を行って、このエンドユーザーさまに、今月いくら請求課金します」、というところまでが今までの話だとしますと、そのあとの「請求する」という業務を我々お受けいたします。

単純に請求書発行の代行サービスを提供する会社もありますが、例えば入金消込など、経理の方や管理の方がやられるような、細々した部分を、少ないリソースで運営されているケースが多いと思いますので、そこをご支援させていただきます。

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-お金回りだけやる会社や、請求だけやる会社などはあって、それぞれを繋ごうとするとエクセルで対応しなければいけないことなどがあります。それを、ID管理から、物流、請求まで一括でやっていただけるとなると、事業者側からすると会員IDだけ見てればいいという話で、かなり楽ですよね。

中川: そうなのです。今回、すでに某メーカー様とのカーシェアの取り組みを実施しているのですが、大手企業でも新規事業となりますと、リソースを一気にかけるケースというのはあまり多くありません。

 
-大工事過ぎて、既存のシステムに組み込めないですよね。ERPもいじれないし、入金する口もありません。

中川: エンドユーザーさまから見るフロントエンドまでを、我々のシステムインテグレーションを組み合わせて実装させていただいています。

始めるにあたって、スタートアップをインタビューさせていただいたと申し上げましたが、打ち合わせ中に「すいません、ちょっと時間ください」と、様々な雑務をやられていました。ファウンダーの方がご自身で。それは大事な業務ではありますけど、本来は、そうではなくて、と感じます。どのスタートアップも大変そうでした。

 
-お金の事だから、どうしても責任がある人が対応する必要があります。

三屋氏(以下、三屋): 主な機能として、ダッシュボードも提供しています。ダッシュボードがハブになり、例えばサポートの状況を確認したり、事業者の業務とのつなぎこみの連携をしやすくしたりすることで、データが相互流通できます。

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ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 法人サービス事業部門 NB推進部 RBS課 課長 三屋 幸久氏

 
-総合CRMダッシュボードになっていく、と。

三屋: CRM自体もお客さまが選んだものをお使いいただいて、我々は、そことも連携していきます。ただ、あまり踏み込むと複雑になってしまいますので、連携を中心にご支援させていただければと考えています。

中川: ウフルIoTイノベーションセンターの皆さんとも相談させていただいたところ、「一社で閉じるのではなく、他社とも連携していく」共創というテーマに共感したことがきっかけです。

 
-IoTの世界、素晴らしいです。どういう課金体制なのでしょうか。

三屋: 各社料率は違いますが、ビジネスの規模に応じて、使われた分に対する変動手数料を基本としています。

ISPの事業基盤を利用することで安心を提供

 
-あまり売れていない場合、御社的には体制だけ整えなければいけない状態になりませんか。

中川: 我々はこのサービス用に、これまで20年やってきたISPの事業基盤を利用しています。

三屋: 我々の人財が持っているノウハウがないと、回せないところがありますので、安心を感じていただければ、長いお取引ができるかと思っています。

 
-インターネットサービスでも使えるのでしょうか。決済サービスを月額払いにするのは、システム開発やブラックリストチェックなどの敷居が高いのですが、そこをやるために、人を雇うほどのボリュームでもない、ということは多々あると思います。さらに、クレジットカード期限切れによる洗い替え対応などの運用も大変です。

中川: 毎月請求するサービスは様々な業種があります。インターネットサービスでも使っていただく分には全然かまわないと思っていますが、元々の構想の起点となった部分が、やはりIoTなどのシェアリングビジネスを始められるところの困りごとにフォーカスしたので、そこから始めさせていただいたという背景があります。

今回、b-Passをリリースして、私たちは黒子としてIoTのPoCを超えるマネタイズのご支援を推進させていただきたいと思っています。

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-本日はありがとうございました。

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