マイクロソフト、さらにインテリジェントなアプリ開発を容易にする新しいAIとAzureのサービスを発表

マイクロソフト コーポレーションの開発者向け年次カンファレンスBuild 2017において、サティア ナデラ (Satya Nadella)、スコット ガスリー (Scott Guthrie)、ハリー シャム (Harry Shum) が数千人の開発者を歓迎した。最初の基調講演において、ナデラはWindows 10の月間アクティブデバイス数が5億台に達したこと、そして、Windows、Microsoft Office 、Microsoft Azureが開発者にイノベーションとマイクロソフトの顧客をつなぐ十億以上の機会をもたらしていることを発表した。

また、Azureの新しいデータとクラウドのサービスが、既存アプリの迅速なモダナイゼーションにより開発者を支援していること、そして、新しいAIとAzureのサービスが、ユーザーとの自然な対話機能により、さらにインテリジェントなアプリの開発を容易にし、新しいデータ、IoTエッジ、そして、AI関連のサービスが、インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジの未来を築いていくことを示した。

世界では毎分のように増加する情報が過剰に溢れている。しかし、この情報やデータは豊富な機会と洞察も提供してくれる。顧客によるこれらの機会の活用を支援するために、マイクロソフトは、あらゆる組織と人々がより多くのことを達成できるよう支援する新たなイノベーションの一部を紹介した。このビジョンに沿い、マイクロソフトは以下を発表した。

  • クラウドコンピューティングのインテリジェンスなどの利点をエッジデバイスにも拡張するテクノロジである「Azure IoT Edge」のプレビュー版
  • 仕事の世界の洞察をデバイスの世界の洞察と組み合わせ物理的世界の状況を認識できるようにする「Microsoft Graph」
  • データを安全に保持しつつ生産性を向上するための、デジタルの世界と同じように現実世界をサーチできるテクノロジ

マイクロソフトは、Microsoft AzureとVisual Studioの新たなサービスとツールにより、既存のアプリのモダナイゼーション、そして、すべての主要プラットフォーム向けのインテリジェントなアプリの迅速な構築を支援することで、開発者の声に応え、成功のための援助を行っていることを示した。

  • 「Azure Cosmos DB」は、IoT、AI、モバイルといった地球規模のクラウドサービスとデータ集約型アプリケーションをサポートするために一から設計されたデータベース。驚異的なパフォーマンスと耐障害性を備えており、グラフを含むあらゆるデータタイプをサポートしている。グローバルに分散したマルチモデルのデータベースサービスであり、保証されたアップタイム、スループット、データ一貫性、そして、99パーセントの処理において 10ミリ秒以下のレイテンシーを実現できる水平スケーラビリティを提供する。

    開発者は、明確に定義された5種類のデータ一貫性と一般的なNoSQL APIをサポートしつつ、全てのデータに自動的にインデックスを付与できる唯一のスキーマフリーのデータベースサービスによって、開発者は驚異的な柔軟性を獲得することが可能になるという。

  • 新たに「MySQLとPostgreSQLのマネージドサービス」がAzure SQL Databaseに追加される。最小化されたダウンタイムおよびデータ維持と回復機能を提供する高い可用性とスケーラビリティを備えたサービスプラットフォーム。これにより開発者の選択肢がより豊富になる。
  • マイクロソフトの新しい「データベース移行サービス」の初期プレビュー版により、OracleとSQL Serverの顧客はデータをより容易に移行し、アプリのモダナイゼーションを行える。
  • 「Azure SQL Database の機能向上」
    ・新しい「Managed Instance プライベートプレビュー」が顧客にSQL Serverのインスタンスレベルの互換性を提供。これにより、SQL Serverと連携した既存アプリケーションからAzure SQL Databaseへの移行することがさらに容易になる。
    ・「Threat Detection」の一般提供開始と「Graph」プレビュー版
  • 「Visual Studio 2017 for Mac」の一般提供開始により、開発者はWindows環境とMac環境を横断してシームレスに作業し、モバイル、ウェブ、クラウドのワークロードをフルサポート、そして、Dockerツール、Azure Functions、Xamarin.IoTサポートのプレビューが得られる。
  • 「Azure Service Fabric内のWindows Server Containerサポート」の一般提供開始により、ほぼすべてのタイプのコンテナが、すべてのプラットフォーム上でサポートされ、Visual Studioツールと「Docker Compose のService Fabricのサポート」のプレビュー版により、Service Fabric にコンテナ化されたアプリを展開すること可能になり、開発者がミッションクリティカルでスケーラブルなアプリやサービスを提供可能になる。
  • 「DocuSign」は、188カ国の30万社の2億人以上の急速に拡大しつつある顧客ベースをサポート。同社は、カナダから始まるグローバルな拡張の基盤としてMicrosoft Azureを採用することを発表した。DocuSignは、大量のデジタルトランザクション処理のためにAzure SQL Databaseを使用している。

「Office 365」は、1億人以上の月間アクティブビジネスユーザーを擁している。マイクロソフトは、世界中のOffice 365の顧客と開発者をより強く結び付けるための計画を発表した。

  • 開発者は、Office 365の新しいチャットベースのワークスペースである「Microsoft Teams」に向けてアプリを公開することができるようになった。まもなく エンドユーザーは「新しい機能により」Teams 内のアプリを容易に見つけることができるようになる。また、開発者は、アクティビティフィード、Compose Extensions、Actionable Messagesにおける第三者の通知などTeamsアプリに新しい機能を追加可能になる。
  • また、開発者が「新しいMicrosoft Graph API」を利用することが可能になった。これには、SharePointとPlannerからのAPIも含まれる。Microsoft Graphは、開発者にOffice 365のデータとインテリジェンスへのアクセスを提供し、人々、会話、プロジェクト、スケジュール、プロセス、コンテンツの連携を行う。これらの洞察により開発者はさらにスマートなアプリを構築し、スマートなワークスタイルを実現できる。
  • 本番向けSaaSアプリケーションをMicrosoft Azure上でホストし、Azureウェブサイトからサインアップしている開発者やISVはPowerAppsとMicrosoft Flowの標準コネクターを経由して、アプリのデータやワークフローを自動的に承認された Office 365 ユーザーに拡張することができるようになった。ISV のビジネスの拡大をさらに支援するために、一部のSaaSアプリケーションやサービスのエンタープライズ顧客への共同セールスに対して販売部隊に追加のインセンティブを提供している。

また、マイクロソフトは、人間の創造力をインテリジェントテクノロジで強化し、クラウドとAIのユニークな組み合わせを通じて、すべての開発者にAIを提供するというビジョンも公表した。新しいコグニティブサービス、Microsoft Bot Frameworkにおけるプラットフォームのイノベーション、ディープラーニングツールの進化、製品やサービスへのAIの継続的組み込み、そして、Microsoft Graphが提供するインテリジェントな洞察が開発者に膨大な機会を提供し、ビジネスに新たな成長シナリオをもたらすという。新たな発表内容は以下の通り。

  • 業界で最も広範なコグニティブサービスに新たなサービスが追加され、ユニークなカスタマイズオプションを備えた合計29種のコグニティブサービスが開発者に提供されるようになった。これにより、開発者は、画像認識、音声認識、言語、知識、サーチといった既成またはカスタムのインテリジェンス機能をアプリやあらゆるシナリオのボット体験に組み込むことができる。

    この新しいサービスには、「Bing Custom Search」、「Custom Vision Service」、「Custom Decision Service」、「Video Indexer」がある。マイクロソフトのTranslation APIを活用したPowerPointの新しいアドイン「Presentation Translator」によりあらゆるプレゼンテーションにおいて、複数言語のリアルタイムの翻訳が可能になる。

    また、「新しい Cognitive Services Labs」も立ち上げられ、開発者は、まだ開発の初期段階にある「Gesture API」などの新サービスを実験できるようになった。

  • 「Microsoft Bot Framework がサポートする新しいアダプティブカード」を使用して開発者は複数のアプリやプラットフォームを通じて見栄えがよいカードを作成できる。また、Bot Frameworkを使用して、開発者は、Bing、Cortana、Skype for Businessなどの新しいチャネルを通じてアプリを公開でき、迅速で容易な決済を実現するためにマイクロソフトのペイメントリクエスト APIを利用できる。
  • 「Azure Batch AI Training」は、プライベートプレビューとして提供された新しいAzureのサービスであり、開発者とデータサイエンティストがパラメーターにより環境の構成を設定し、複数のCPU、複数のGPU、そして、最終的にはFPGAに対してモデルを実行できる。
  • Cortanaを搭載したHarman Kardon Invokeインテリジェントスピーカーに加えたCortana対応デバイスの提供のためにデバイスに関する HPとの、そして、参照プラットフォームに関する Intel とのパートナーシップが締結された。
  • Cortana Skills Kit がパブリックプレビューとなった。
    開発者は、ボットを作るとCortanaにも対応することができ、Bot Frameworkの新しいCortanaチャンネルで公開できる。この機能はWindows 10、Android、iOS、そして、Cortana 搭載の新製品である Harman Kardon Invokeスピーカーに共通で利用可能。Cortana Skills Kitは現時点では米国でのみの提供となる。
  • 本年後半に予定されているDynamics 365、Office 365、Microsoft Teams、Cortana Skills、Microsoft Graph、Sentiment Analysisといった複数のマイクロソフト製品とサービスと、任意の接続デバイスをAIを備えた仮想セールスアシスタントに変革するセールスエクスペリエンスプラットフォームTactとの統合のデモが公開された。

【関連リンク】
マイクロソフト(Microsoft)

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