ローム、京都大学、NextDrive、日新システムズ、国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した小型IoT用ゲートウェイの開発

京都大学 大学院情報学研究科 原田博司教授の研究グループ、ローム株式会社、NextDrive 株式会社、日新システムズ株式会社は共同で、国際無線通信規格Wi-SUN FAN(※1)を搭載したIoT用ゲートウェイの開発に成功した。

今回開発されたIoT用ゲートウェイは、NextDriveが開発した最小クラスIoT用ゲートウェイに、京都大学、ローム、日新システムズが開発した Wi-SUN FAN対応の無線通信モジュールを搭載したもの。従来のIoT用ゲートウェイは、Webカメラ、温湿度センサー等との組み合わせで、ホームセキュリティ、介護、環境計測等のために必要となる情報を収集し、携帯電話系、Wi-Fiによりクラウドに伝送することが可能だった。

今回新たにWi-SUN FANに対応したことで、IoT用ゲートウェイ同士が多段中継伝送するマルチホップ機能により、収集したデータを別のIoT用ゲートウェイに多段中継する形での伝送が可能になり、通信エリアの面的カバー率が大幅に向上するという。また、Wi-SUN FANはWi-Fiと異なる周波数を用いているため、Wi-Fiとの干渉もなく、堅牢性の高いIoTネットワーク構築が可能になるという。これに加え、Bluetooth Low Energy (BLE)搭載のセンサーデバイスをWi-SUN FANに変換し、伝送することも可能だとしている。

昨今、家庭内にWebカメラやセンサー等を設置し、その計測結果をクラウド等に蓄積させ、ホームセキュリティ、遠隔医療、遠隔介護支援を行う家庭内IoTシステムの開発が盛んに行われている。

NextDrive株式会社は、Webカメラ、温湿度センサー等との組み合わせで、ホームセキュリティ、介護、環境計測等のために必要となる情報を収集し、携帯電話系、Wi-Fiによりクラウドに伝送する小型IoT用ゲートウェイ「Cube」を開発し、商用化していた。しかし、IoT用ゲートウェイ同士は親機と子機の関係があれば通信はできたが、子機から別の子機に多段中継伝送するマルチホップ機能が搭載されていなかった。

一方で、京都大学、ローム株式会社、株式会社日新システムズは、IP通信によるマルチホップ機能を搭載し、長距離伝送性、耐干渉性に優れた Wi-SUN FAN無線通信モジュールの研究開発を行ってきた。この Wi-SUN FANは、IEEE 802.15.4g(※3)無線通信規格による無線機器間での最大1km 程度の伝送距離、10段以上のマルチホップ機能による多段中継機能を実現し、さらにセキュリティ等をWi-Fiと同等にすることにより、Wi-Fi と同等の使いやすさを実現できる機能があった。しかし、IoT用の実システムへの応用はまだ十分行われていなかった。

今回開発されたIoT用ゲートウェイは、NextDrive株式会社が開発した小型IoT用ゲートウェイ「Cube J」(図1,※2)に、京都大学、ローム株式会社、株式会社日新システムズが開発してきたローム製無線モジュールを用いたWi-SUN FAN無線通信モジュール(図1)を搭載したもの。

サイズ 47×47×38 mmの筐体にWi-SUN FAN無線通信モジュールを搭載することで、自身が収集したデータを別のIoT用ゲートウェイにWi-SUN FANよる多段中継で伝送することが可能になり、宅内での面的なカバー率が向上するという。この中継段数は10段以上も可能であり、大規模施設においてもこのIoT用ゲートウェイを利用できることになる。

また、Wi-SUN FANは Wi-Fi(2.4GHz 帯、5GHz 帯)と異なる周波数(920MHz 帯)を用いているため、Wi-Fiとの干渉もなく、堅牢性の高いIoT 用ネットワーク構築が可能になるという。また、長距離伝送特性を有するWi-SUN FAN搭載のセンサー、メーター、モニター機器との接続も期待できるとしている。

今回は、Webカメラで取得した画像をUSB経由で、また、温湿度センサー(NextDrive製 Thermo Pixi)で取得したデータをBluetooth Low Energy (BLE) 経由でIoT用ゲートウェイに伝送し、Wi-SUN FAN搭載のIoT用ゲートウェイ間で多段中継伝送をした後に、親となるIoT用ゲートウェイまで伝送、端末で表示するデモンストレーションを行い、良好な伝送特性を得られることを実証したという(図2、3)。
ローム、京都大学、NextDrive、日新システムズ、国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した小型IoT用ゲートウェイの開発

ローム、京都大学、NextDrive、日新システムズ、国際無線通信規格Wi-SUN FANを搭載した小型IoT用ゲートウェイの開発

今後、4者は今回開発したWi-SUN FAN搭載のIoT用ゲートウェイを商用化するために、Wi-SUNアライアンスと共同で開発を行っていく予定。

※1 Wi-SUN FAN (Field Area Network)
Wi-SUNアライアンスが制定するスマートメータリング、配電自動化を実現するスマートグリッド及び、インフラ管理、高度道路交通システム、スマート照明に代表されるスマートシティを無線で実現するためのセンサー、メーターに搭載するIPv6で多段中継(マルチホップ)可能な通信仕様。2016年5月16日にバージョン1が制定。Wi-SUN FANワーキンググループで制定。物理層部にIEEE 802.15.4g、データリンク層にIEEE 802.15.4/4e、アダプテーション層にIETF 6LowPANそしてネットワーク層部にIPv6,ICMPv6、トランスポート層に UDP、そして認証方式としてIEEE 802.1xを採用している。また製造ベンダー間の相互接続性を担保するための試験仕様等も提供されている。京都大学、ローム株式会社、株式会社日新システムズは2016年11月にWi-SUN FAN搭載の無線機の開発に成功している。

※2 IoT 用ゲートウェイ「Cube J
NextDrive 株式会社が開発した小型・軽量IoT用ゲートウェイ。本体をそのままコンセントに差し込むだけで設置することが可能な電気プラグ型の形状を取っており、IoT用のゲートウェイとして必要な、無線通信「Wi-Fi」「Bluetooth」「Wi-SUN」に対応している。多様なアクセサリ(モーションセンサー、温湿度センサー、Web カメラ、赤外線リモコン及びスマートプラグなど)を用意。アクセサリは、本体に対し積み木のように重ねるだけで取得した情報を「Wi-Fi」「Bluetooth」「Wi-SUN」により伝送することができる。設定は全てスマートフォンで行うため、簡単に扱うことが可能。

※3 IEEE 802.15.4g
屋外で利用可能なセンサー、メーター等に搭載し、エネルギーマネージメント等を行うために必要となる無線通信伝送部(物理層)の国際標準規格。1ホップ最大1km程度の伝送が都市部でも実現でき、低消費電力にIPv6等の情報を伝送できる特長を有する。米国IEEE802.15委員会で制定。京都大学 原田博司は、この標準化委員会の副議長であり、フレーム同期部コードが強制規格に採用される等技術的なメジャーコントリビュータである。

※4 Wi-SUN アライアンス
IEEE 802.15.4g規格をベースにエネルギーマネージメント、防災、工場等の各種アプリケーションを実現するために他のオープンな国際標準規格と融合させ、製造メーカー間で相互接続可能な国際無線通信規格「Wi-SUN Profile」を制定する任意団体。現在会員企業は全世界に100社以上。スマートメーターと宅内エネルギー管理システム(HEMS)との間の通信規格「Wi-SUN ECHONET」は全国の電力会社に採用。現在すでに当該仕様が搭載されているスマートメーターは1000万台以上出荷。今後は東京電力管内で2000万台以上出荷される予定。

【関連リンク】
京都大学(Kyoto University)
ローム(ROHM)
ネクストドライブ(NextDrive)
日新システムズ(NISSIN SYSTEMS)

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