スマートシティのフォーマットを、島根県益田市から -IoT益田同盟による、市民/在県企業向けIoTサービスレポート

先日、地方創生IoTスマートシティの『共築』 というテーマで、アーキテクトグランドデザイン株式会社がシンポジウムを開催した。

同シンポジウムで、島根県益田市でのスマートシティの取り組みとなる、「IoT益田同盟」について発表があった。

アーキテクトグランドデザインの豊崎氏によると、いきなり100万都市、1,000万都市でスマートシティを作るのは問題が出すぎる可能性があるので、5万都市くらいのサイズで初めてフォーマットを作っていくのがよいのだという。

例えば東京オリンピック時にテロ対策としてマンホール内にサブギガ通信ができるセンサーをいれていく構想が東京では行われている。実際、地方では無線の干渉問題も起きづらいといわれているが、台数が増えてくると具体的な問題は起きるだろう。

そういったことも具体的に検証していくのだという。

また、センサー類や通信の検証だけでなく、セキュリティ対策として、ホワイトハッカーによる攻撃もやりながらサービス運営を行っていく構想だと述べた。

運営組織については、地域内の企業が中心となっていき、サービスを前提としたジョイントベンチャーの設立も視野にいれているのだということだ。

益田同盟のサービス

IoT益田同盟

IoT益田同盟のサービスとしては、「エネルギーの見える化」「スマート家電サービス」「高齢者の見守りや介護支援」「安全運転促進」「バスロケーションサービス」「防災支援」「交通系・農業系サービス」といった、いわゆるスマートシティという文脈で語られる多くのサービスが構想されている。

これらを、LPWAを活用したネットワークのもと、データ収集や活用を行っていくというのだ。
IoT益田同盟

LPWAとエッジコンピューティングを組み合わせたプラットフォーム、IoT PLANET HIGHWAY

IoTPlanetHighway

また、これに関連して、アーキテクトグランドデザイン、オムロン、慶応義塾大学の三者で、LPWAとエッジコンピューティングを組み合わせたIoTプラットフォームの実証実験も行ったということだ。

居住地域が分散した地方都市において、各地域の温度や湿度など様々な環境データを安定的に取得することにより、異常気象による災害から住民や農産物、社会インフラなどの見守りに役立てていくという構想を持つ実験となる。

具体的には、IoTの進展に伴い、センサーによって収集されるデータが増え続けているが、その結果、無線でクラウドに直接伝送されるデータの量や通信頻度が膨大となり、ネットワークの信頼性や安定性を損なうことが課題となる。

そこで、センサー側でのエッジコンピューティング技術を用い、通信やクラウドの負荷を下げることで、離れた拠点から信頼性の高いデータ収集を実現することを検証するということだ。

実験は、慶應義塾大学のキャンパスと周辺施設で実施される。

まず日吉キャンパスにマルチホップ・ネットワークを敷設し、日吉キャンパスの周辺施設の間の数km を LPWA 技術で結ぶ。日吉キャンパスに敷設したネットワークの各ノードには環境センサーを取り付ける。

これらのセンサーから取得されるセンシングデータは、日吉キャンパスに設置されたエッジサーバーに一度集約され、その後にコアサーバーに LPWA 技術を介して無線伝送する仕組みだ。

日本発のスマートシティプラットフォームは可能か

IoT益田同盟
左より、ハイテク軍師 豊崎氏、シマネ益田電子 平谷氏、オムロン 湯上氏

豊崎氏によると、現在リージョンリサーチをしており、日本の環境はアジアにも適用できるのだという。いかに、クラウドに意識を持っていき、ぷらっとフォーマーになれるかが実現のポイントだと述べた。

また、益田市に地盤を置く、シマネ益田電子 株式会社 取締役副社長 平谷氏は、「地方行政はどんどん小さくなっていて、市民サービスが落ちて行っている。市民にいかに安定したサービスを提供できるか、という点でIoTを活用して実現していきたい。」と述べた。

IoT益田同盟
左より、ユニバーサルエデュケーション 竹村氏、ウフル 八子氏、D4DR 蔵元氏

長野県伊那市でLPWAの実証実験を行っている、株式会社ウフル 専務執行役員IoTイノベーションエンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子氏によると、「その地域にいる住民だけで解決せず、周りも巻き込むべきだ。実際、ハッカソン中に訪れる方による経済効果も無視できない。困っている度合いの高い地域はなんでもよいから情報が欲しいといわれる状況なので、なにもしない地域には外部支援も少ないだろう。」とした。

また、オムロン株式会社 事業開発部 マイクロデバイス事業推進部 営業推進部 部長 湯上氏は、「スマートシティの構想は多くあるが、資金が枯渇すると乗り切れなくなる。当事者が意識をもって対応すべきだ。」とした。

株式会社Universal Education 代表取締役 竹村氏は、「日本は超高齢化社会ということで、海外から研究されている。研究の対象は、障害者だ。障害者は、高齢者のケーススタディとなっていて、パーツパーツで障害があるが、社会の中で生きている。
この障害者の課題が高齢者の課題となるとされているのだ。」とし、高齢者問題を解決する先進国にもなりえるのだと述べた。

様々な国・地域でスマートシティ構想が立ち上がる中、デバイス、通信、クラウドをつないだ、具体的なサービスにまで落とし込んだフレームワークの誕生が待たれる。