DNP、学校の日常テストをクラウド上で自動分析し、児童・生徒の能力特性に合った個別教材を提供する学習モデルの運用を開始

大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、小学校で月1~2回の頻度で実施している日常のテスト(単元/期末テスト(※1))において、クラウド上のシステムでテスト結果を自動的に分析し、児童・生徒の能力特性に合った個別教材を提供するサービスを2017年9月より開始する。同サービスの開始に先駆けて、奈良県奈良市の全市立小学校にあたる43校の4年生の授業で採用が決定した。

同サービスを開始する背景として、現在、小学校で実施されている日常のテストの多くが基礎・基本を重視した取り組みやすい問題を中心に作成されており、児童・生徒の能力特性を計測することが困難だったこと、また若手教員に対する支援と指導力の向上策が求められていたことがあったという。

これらの課題に対し、DNPは評価と指導の一体化に力点を置き、月1~2回のテスト実施後に、クラウド上のシステムでテストの回答内容を自動的に分析し、個々の児童・生徒の能力特性に合った個別教材を短期間(3日程度)で提供するサービスを開始する。

近年、教育現場では、児童・生徒1人ひとりの習熟度に基づき、最適な学習を提供する適応学習(アダプティブラーニング)の導入が進んでいるという。アダプティブラーニングの教材の多くはタブレットPCなどを使用したものだが、DNPはICT整備の進捗にあわせ、テストおよび能力特性別の復習教材をすべて「紙」と「デジタル」の両方で運用する。

同サービスでは、テスト採点後にテスト用紙をスキャニングし、そのデータをDNPのクラウドサーバーに送付すると、結果を自動的に分析できる。各問の正誤データから個々の児童・生徒の能力特性を詳細に分析できるため、通常は1回のテストで数段階の復習教材を用意するのが限界だったのに対し、算数では1回のテストにつき最大約6万通りの能力特性に合わせた個別教材を提供できるようになるという。

同サービスの特徴として以下があげられる。

  • 単元・期末テストに現代テスト理論(※2)を活用している。クラウド上のシステムにAIによる分析手法を取り入れた統計処理により、単元/期末テストを分析し、個人の能力特性に合った個別教材を提供する。(※3)
    また同サービスは学習管理機能として、学校/クラス毎の平均正答率、個別問題の配布・活用状況、能力特性分布、児童・生徒が回答までに至った過程(不注意/勘違い/偶然による正答の可能性)を確認することができるため、教員は児童・生徒の学習におけるモチベーションを高めつつ、より適切な指導を行うことができるという。
  • 能力特性別復習教材は、国策で進むタブレット端末の導入と学校現場の実態を考慮し、紙教材またはタブレット端末向けのデジタル教材のいずれかを選択できる。紙教材を提供する際は、個別に指定された問題シートを児童・生徒ごとに冊子にして学校に届けるサービスにより、教員のプリント・帳合の手間を省くことにもつなげる。
  • 自治体は各学校の学力状況の確認を、通常年間1~2回実施しているが、同サービスを活用することで月1~2回の頻度で確認できる。
  • テスト、能力特性別個別教材、分析方法は、47都道府県に学習塾を展開する株式会社ワオ・コーポレーションと共同で開発された。ワオ・コーポレーションが持つ指導ノウハウをベースに、2016年9月から奈良市と共同で検証(単元テスト10回/期末テスト2回)を行い、児童・生徒への励まし/保護者への説明/欠席者への対応など、現場の運用に考慮した教材サービスに仕上げたという。
  • 個別教材を提供し、指導に役立てることができる同学習モデル全体は、日本テスト学会理事の服部環教授が監修する。

DNPは今年度に奈良市以外の自治体での導入に向けた実証、タブレット端末向けのデジタル復習教材を提供する実証も計画している。また、単元/期末テストの結果だけではなく、授業や宿題などへの取り組み状況といった情報もデータとして蓄積し、同システムで分析することで、学習指導への活用を目指していく意向だ。

※1 教科書の単元終了後や学期末に実施される評価教材
※2 高大接続改革(大学入試制度改革)で採用予定。応答能力特性の測定を可能にした理論で、小問毎の正誤情報を統計的に処理することで問題の難易度を客観的に設定でき、個人の能力特性を可視化する。
※3 同サービスで使用するデータは、「DNP柏データセンター」で管理・運用する。同データセンターは、ICカードや生体認証による入退室の管理、監視カメラや24時間有人監視などによる外部侵入の阻止など、生活者や顧客企業の大切な情報を預かるためのセキュリティ対策を施している。

【関連リンク】
大日本印刷(DNP)
ワオ(WAO)

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