IDCが2016年国内製造業のデジタル化状況を発表、全体的にはまだ紙ベースの情報をデジタル化する取り組み(レベル1)が主軸

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【概要】
■国内におけるデジタルマニュファクチャリングは、主にハイテク産業など組立製造業で比較的進んでおり、全体的にはまだ紙ベースの情報をデジタル化する取り組みが主軸
■今後のエンゲージメントの強化や、データの利活用の実現には、自社を取り巻く市場環境を俯瞰的に捉えた全体最適化のビジョンと強いリーダーシップが重要
■次世代のものづくりと業務変革には、本社と製造現場をつなぐデータプラットフォームや、AI機能を用いた設計ツールなどのIT活用が効果的

IDCがデジタルマニュファクチャリングの背景にある経営課題を調査した結果、2016年度の上位は生産性向上やグローバルビジネスの展開と強化だった。

2017年度はこれに加え、新製品開発やマーケティング強化を重視していることがわかった。その実現に向けたデジタル化の取り組み状況を6段階で調査した結果、2016年度の取り組みは過半数がレベル0からレベル1の段階だった。

「レベル0」とは、デジタル化未着手または検討中であり、「レベル1」は運用ルールなども含む基本的な生産情報を、紙ベースからデジタルデータに置き換える段階だ。

今回の結果を業種別に見ると、電気機器やハイテク関連を始めとする組立製造業におけるデジタル化の取り組みが、プロセス製造業よりも進んでいる傾向が見られた。

多くの国内製造業では、工場のライン制御のシステムが、本社などの基幹系システムとは異なる成り立ちを持っており、別々の最適化を行ってきたケースが多い。

今回の調査で、IoT技術などの活用による生産ラインや製品の品質チェックのモニタリング(可視化)を行う「レベル2」の手前に回答結果が偏ったことは、工場がインターネットや企業ネットワークから分断されていることも影響しているという。

海外で活発化する、本社と工場、あるいは取引先、さらには社員や顧客を対象としたエンゲージメントの強化や、データの利活用の実現には、自社を取り巻く市場環境を俯瞰的に捉えた全体最適化のビジョンと強いリーダーシップが求められる。

しかしながら製造現場では、ボトムアップによる効率化を目指す業務改革が実施され、ギャップが生じている。

この課題をIT技術で支援するベンダーのソリューションが、課題や業種に応じて多彩なラインナップで用意されている。同調査レポートでは、オートデスク、ダッソー・システムズ、東洋ビジネスエンジニアリング、PTCが提供する製品やサービスが紹介されている。

デジタルツインを実現する各種情報のデジタル化を経て、企業全体でのデータ利活用インフラとなるデータプラットフォーム、AI(人工知能)を活用したジェネレーティブデザイン機能などを導入することで、高度な生産と業務変革の早期実現が期待できる。

「国内製造業は、早い段階から機械化と自動化による工場ごとの効率化に努めてきた。しかし、バリューチェーンの構築や、データ利活用に必要なIT化では諸外国に後れを取っている。企業全体で生産性の向上を目指すには、管理が分断されてきた工場も企業ネットワークに取り込む必要がある。次世代のものづくりや顧客サービスの高度化も踏まえ、製造現場のデジタル化とデータの利活用を実行フェーズに移行すべきである」とIDC Japanソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストのもたい洋子氏は述べている。

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