KDDI総合研究所、エッジコンピュータを活用した大容量データの通信制御機能の実証実験

株式会社KDDI総合研究所は、今後普及が想定されるコネクティッドカーからの大容量データの優先度をエッジコンピュータ(MEC)(※1)で判断して通信制御する機能を開発し、運転支援に関わる優先度の高いデータをリアルタイムにクラウドへ送信する実験に成功したと発表した。

同実験は、ETSI ISG MEC(※2)における標準化活動の一環で、その公式PoC(※3)として進めており、MECの標準化API(※4)がコネクティッドカー分野においても有用であることを実証するものだという。

背景

近年、IT技術の進化と共に、生活の利便性向上の為、身近な機器がネットワークへ接続されてきている。

自動車についても、運転支援や車両メンテナンス情報の受配信、車内でのエンタテイメント利用など、モバイルネットワークに常時接続した“コネクティッドカー”が普及していくと考えられている。

更に、将来のコネクティッドカー時代において、車両内の各種センサデータやLiDAR(※6)で取得した点群データ、車載カメラ画像等のデータが、モバイルネットワークを通じて、クラウド側へ送信され、運転支援等に必要なデータとして使われることが想定される。

このようなコネクティッドカーが増加すると、車両が渋滞するのと同様にモバイルネットワーク内も通信量の増加によって、渋滞の様な状況が発生し、その結果、運転支援等に関わり、優先度が高くリアルタイム性が要求されるデータの送信遅れを引き起こす可能性がある。

今回の成果

今回、KDDI総合研究所は、コネクティッドカーからの大容量データをMECで判断して通信制御する機能を開発し、日本ヒューレット・パッカード株式会社のサーバとSaguna Networks Ltd.(※7)のMECプラットフォーム上に実装して、優先度の高いデータをリアルタイムに送信可能とする実験に成功したという。

同機能の実装では、同プラットフォームに実装されているETSI ISG MECの標準化APIにより、モバイルネットワークの通信の利用状況を把握し、その先に発生するネットワークの負荷を高精度に予測することに成功した。

この予測結果に基づき、開発したMECの通信制御機能がコネクティッドカーからのデータの送信可否を判定し、優先度の高いデータはリアルタイムに送信させ、優先度の低いデータは送信を遅らせるようにするという。

これに加え、交通工学の考え方を取り入れ、個々の車両だけでなく、複数の車両を一つの集団(車群)として捉え、車群内で冗長なデータ送信を抑制する通信制御機能を考案した。

これらの制御機能により、車群の先頭車両を判定し、前方の道路状況の画像データなどについては、先頭車両からの送信のみ優先させることによって、実験では8割のデータ通信量が抑制され、リアルタイム性の必要なデータ送信は性能を維持できることを確認したということだ(※8)。

(※1)MEC(Multi-access Edge Computing):ユーザに近いモバイルネットワーク内でデータ処理等をする技術
(※2)ETSI(European Telecommunications Standards Institute):欧州電気通信標準化機構
(※3)公式PoCの詳細
(※4)API(Application Programming Interface):ソフトウェア間でデータ等をやり取りする際の取決め
(※5)Hewlett Packard Enterprise社ブースの詳細
(※6)LiDAR(Light Detection and Ranging):レーザ光を用いて物体までの距離等を測定する技術
(※7)Saguna Networks Ltd.:イスラエルを拠点とするMEC技術に特化したベンダー
(※8)実験では、車両からアップロードされるデータ通信量について、「車群判定の処理をしなかった場合」と「車群判定の処理をした場合」の比較を行い、「車群判定の処理をしなかった場合」に比べて、「車群判定の処理をした場合」にデータ通信量が8割抑制されることを確認

【関連リンク】
KDDI総合研究所(KDDI Research)
ヒューレット・パッカード(HP)
Saguna Networks

Previous

日産とDeNA、無人運転車両を活用した交通サービス「Easy Ride」の実証実験を開始

メンター、クラウドベンダ非依存の組込みIoTフレームワークをリリース

Next