NEC、FIWAREを活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」を販売開始

NECは、EUの次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP、※1)で開発・実装された基盤ソフトウェア「FIWARE」(ファイウェア、※2)を活用したスマートシティ向け「データ利活用基盤サービス」を自治体やエリア開発事業者向けに2018年4月から販売開始する。

同サービスは、地域の活性化や安全など、都市における課題解決に向けて、都市や地域に分散して存在する様々な分野・領域のデータ(防災、観光、交通、エネルギー、環境など)やIoT技術などを活用して収集したデータをクラウド上で蓄積し、共有・分析・加工して提供するサービスだ。

なお、同サービスはデジタルトランスフォーメーションを支えるNEC the WISE IoT Platformの統合IoT基盤の1つとして提供される。

NECは、同サービスを用いた都市に関わるデータの統合的な活用により、都市における課題を可視化・把握し、行政サービスの最適化や新たなサービスによる価値の創出など、魅力的な街づくりを支援するとしている。

なお、同サービスは先行して、高松市(香川県)で本日から、加古川市(兵庫県)で3月からそれぞれ運用が開始される。

同サービスを用いることにより、高松市では防災・観光分野、加古川市では安全・安心分野における課題解決に取り組み、都市におけるデータを利活用したスマートシティの実現を推進するとしている。

背景

昨年、官民データ活用推進基本法(※3)が施行され、官民データ活用がIT政策の軸となり、都市の課題解決の手段として期待されている。

こうした中、様々な分野・領域のデータ(防災、観光、交通、エネルギー、環境など)を、地域の複数のステークホルダー間で共有・利用するニーズが高まっている。

これには、データを一括管理・運用し、利活用を促進するデータ流通の仕組みが必要だ。

実際に欧州では、公共サービスを提供する自治体や企業等の業種を越えたデータ利活用やサービス連携を促すため、上記特長を有する「FIWARE」が開発・実装され、現在、欧州以外の地域にも広く普及している。

NECはこの「FIWARE」の開発に2011年から携わっており、今回販売開始する「データ利活用基盤サービス」は、FIWAREを基に、その品質を独自に検証し、セキュリティを強化するなど、都市経営やビジネスに利用可能な基盤としてサービス提供する。

「データ利活用基盤サービス」の特長

都市のデータを同サービスに統合して収集・蓄積し、データを相互共有することで、分野を横断した新しいサービスの創出を実現する。

これにより、収集したデータを一覧化するデータ公開サイトや都市の見える化に必要な地理情報など、スマートシティの実現に必要な各種機能を標準サービスとして提供する。

分野・領域や地域を横断したデータの蓄積と連携による新サービスの構築

同サービスでは多様なデータの相互運用の実現に向けて、データ形式を揃えるための”標準データモデル”を規定し、さらにNGSI(※4)を含むグローバル標準のオープンAPIを準備している。

これらにより、分野・領域、地域間で収集したデータの統合・蓄積・加工をスムーズに行うことができ、地域課題に応じた新たなサービスの構築が可能となる。

データ利活用に不可欠な強固なセキュリティとワンストップサポートの提供

同サービスは、NECのクラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」上に搭載され、NECの強みを持つAIやセキュリティ等のサービスと組み合わせることにより、データ利活用の更なる高度化や安全・安心な環境を提供する。

さらにNECの持つOSS(Open Source Software)の知見を活かし、オープン性を確保しながら、多くのOSSの組み合わせ検証を行う。これにより、同サービスに採用しているOSSをNECがワンストップでサポートする。

提供される機能

  • データ公開サイト:データ利活用者向けに、基盤に収集・蓄積されているデータの種類を一覧化し、そのデータへのアクセス方法を公開するポータルサイト
  • 地理情報システム:アプリケーションへ地理情報を提供する機能
  • リアルタイム分析:収集データをリアルタイム分析し、結果を出力する機能
  • コンテキスト管理:都市に存在するモノ・コトをデータ(コンテキスト情報)として統合管理し、データ提供者、データ利用者へオープンAPIを提供する機能
  • 履歴データストレージ:コンテキスト情報の履歴を蓄積・参照する機能
  • バイナリデータストレージ:画像・動画などのバイナリデータを管理するストレージ機能
  • API管理:Web APIの管理機能、セキュリティプロキシ機能
  • ID管理(認証・認可):管理機能やAPIへのアクセス権限をユーザID単位で制御する認証・認可機能

※1 次世代インターネット官民連携プログラム(FI-PPP):
EUの第7次研究枠組計画におけるICTプロジェクトとして、3億ユーロの予算の下、2011年から5年計画で次世代インターネット官民連携(FI-PPP)プログラムを実施。

※2 FIWARE:
FI(Future Internet)WARE(次世代インターネット基盤ソフトウェア)。FI-PPPが次世代インターネット技術における欧州の競争力強化と、社会・公共分野のスマートアプリケーション開発を支援するために、開発した基盤ソフトウェア。

FIWAREの仕様はオープンかつロイヤルティフリーで、オープンソースソフトウェアによるリファレンス実装と、オープンAPIを持つ。

FIWAREが実装するオープンAPIは、「NGSI」のコンテキスト管理に係るインタフェース「NGSI-9/10」で、データ流通やデータモデルなどの仕組みを標準化したベンダーニュートラルな仕様であり、既存の各種IoT基盤と並立して業種を超えたデータの相互利活用を促すもの。

※3 官民データ活用推進基本法:
自立的で個性豊かな地域社会の形成、新事業の創出、国際競争力の強化等を目的とし、国・自治体・民間企業が保有するデータの適正かつ効果的な活用を推進するために平成28年12月7日に成立した。

※4 NGSI:
Next Generation Service Interfacesの略。Open Mobile Allianceが仕様策定した次世代サービスインタフェース。FIWAREはデータ流通に関わるコンテキスト管理に係るインタフェース(NGSI-9, NGSI-10)を採用している。

【関連リンク】
NEC the WISE IoT Platform

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