IDC、2016年版 世界と国内のIT市場に関する予測を発表

企業:

【概要】

■デジタルトランスフォーメーション(DX): 2017年末、G2000企業のCEOの3分の2が、DXを企業戦略の中心に据えるようになる

■第3のプラットフォームIT: 2017年には国内企業のIT支出額の33%以上が第3のプラットフォーム技術、ソリューション、サービスに費やされ、2020年には45%を超える

■クラウドコア: 2017年までに、国内IT支出の20%以上はクラウド関連となり、2020年にはITインフラストラクチャ支出の30%以上、ソフトウェアおよびサービス支出の40%以上となる

■イノベーションキャパシティ: 2018年には世界中のDX戦略を追求する企業で、ソフトウェア開発能力が今の2倍以上に伸び、コーダー(ソフトウェアプログラマー)の3分の2が、戦略的DXアプリケーションおよびサービスを手掛ける

■社内外の「データパイプライン」: 2018年、戦略的なDXイニシアティブを実施する全世界の企業では、外部から社内へのデータソースの数が今の3~5倍以上に増加し、市場へのデータの配信量は、100倍以上に増加する

■インテリジェントエッジ: 2018年にはIoTデバイスの設置台数が国内市場で9億台となり、20万以上の新しいIoTアプリケーションおよびサービスの開発につながる

■あらゆるものの認知: 2018年には世界の50%以上の開発チームが、何らかの認知サービスをアプリケーションに埋め込むようになる(現在1%未満)。2020年には、認知システムによって米国企業にもたらされる生産性向上効果は、年間600億ドル以上になる

■産業特化型クラウドプラットフォームおよびコミュニティ: 2018年には世界の50%以上の大企業が、自社のイノベーションの流通、他社のイノベーションの調達に役立つ、産業特化型クラウドプラットフォームを開発するか導入する

■大規模な親顧客戦略: 2018年には世界のB2C企業の80%、B2B企業の60%が、「デジタルフロントドア」を抜本的に再構築し、今より1,000~1万倍も多い顧客および顧客接点をサポートするようになる

■サプライヤーとパートナーの再選別: 2020年には、今日存在している全世界のITベンダーの30%以上が姿を消す。そのため、優先すべきベンダー関係を慎重に見直す必要がある

 

IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、今後3年間における世界と国内のIT市場の動向を特徴付ける技術や市場トレンド、企業の動きなどに関する予測と提言を、前年の「Japan IT Market 2015 Top 10 Predictions」の後継であるIDC FutureScapeレポートとして発表した。

 

IDCは2007年以来、IT業界におけるイノベーションと成長を促す第3のプラットフォームの出現を予測してきた。そして、昨年のPredictionsレポートでは第3のプラットフォームがITプラットフォームのみならずビジネスプラットフォームになると予測した。

実際に、IT技術の規模拡大により、エンドユーザー企業のビジネス構造が大きく変化していることが、Uber、Airbnb、Alibabaなどの第3のプラットフォームネイティブな企業の出現により、誰の目にも明らかになりつつある。

 

ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることを、2004年に当時スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授はデジタルトランスフォーメーションと名づけた。今日では、第3のプラットフォームが実現するデジタルトランスフォーメーション(以下DX)により、すべての業界の企業に影響が出始めている状況を目の当たりにしている。

 

IDCではDXを、企業が第3のプラットフォーム技術を利用し新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立することと解釈している。昨年のPredictionsでは、第3のプラットフォームが開発者中心の「イノベーションステージ」に向けて速いペースで動き始めていることを指摘した。

2016年に、ドラマの次なるステージを目撃することになる。企業が「DXエコノミー」におけるリーダーの地位を確立するために、DXと第3のプラットフォームの採用に向けて、今までにないペースで規模の拡大を求めて活動を迫られる「スケールアップステージ」が海外市場で始まる。顧客数、販売地域、商品・サービス出荷量などの事業軸での規模の牽引がDX活動のアウトプットとして求められる。

 

以上を背景として、以下に「IDC FutureScape: 世界と国内のIT市場 2016 Predictions」の概要を提示する。

 

1. デジタルトランスフォーメーション(DX):

今後2年間にわたり、Global 2000企業のCEO(Chief Executive Officer)の3分の2が、企業戦略の中心にデジタルトランスフォーメーション(DX)を据え、DXエコノミーにおけるリーダーシップ獲得を狙うDXイニシアティブを立ち上げると予測される。高度なDXビジネス戦略を掲げて実践する企業の割合は、今後3~5年で2倍以上に増えると予測される。こうしたデジタルなビジネス戦略の拡大が、企業のIT投資に関わるすべての決定を左右することになる。

 

2. 第3のプラットフォームIT:

DXのために必要な技術要素である、第3のプラットフォーム技術およびソリューションは、今後24か月で、国内企業のIT支出に占める割合が33%以上になり、2020年には45%を超える見通しである。第3のプラットフォーム技術に熟達することが、DXイニシアティブの実施を成功させる上で不可欠となる。

 

3. クラウドコア:

2017年には、国内企業のITインフラストラクチャおよびソフトウェア投資額の20%以上がクラウドベースになり、2020年には30~40%に達すると予測される。クラウドのIT基盤を欠いたままDXイニシアティブを追求することは、まったく不可能になる。

 

4. イノベーションキャパシティ:

DXイニシアティブを追求する企業では、ソフトウェア開発チームの規模が、2018年には全世界で今の2倍以上になり、開発チームは、ほぼ全面的にDXイニシアティブに重点を置くことになると予測される。どの業界でも競争優位性を築くための基本的な(そして最も展開の速い)手段が、ソフトウェアコード開発となるであろう。

 

5. 社内外の「データパイプライン」:

戦略的なDXイニシアティブを実施する企業において、社内にインテリジェンスを行き渡らせるために使用する外部の「データパイプライン」の数は、2018年までに全世界で少なくとも今の3~5倍となり、これらの企業が持つ収益化可能なデータの市場への配信量は、100倍以上に増える見通しである。企業のイノベーション能力は、データの供給量に比例する形で拡大(および縮小)する。

 

6. インテリジェントエッジ:

2018年には、世界市場でIoTデバイスの数が2倍以上に増加し、IoTデバイスの設置台数が国内市場で9億台となる。IoTを活用する20万種以上のアプリケーションやソリューションが、新たに出現すると予測される。2020年には、デバイス台数は3倍となり、アプリケーションの数は25万を超える見通しである。IoTの戦略やインフラストラクチャを持たない企業は、ライトを点けずに夜道を走る車のように、自社の立ち位置が分からず、目標も見失ってしまうであろう。

 

7. あらゆるものの認知:

2018年には、開発されるアプリケーションの半分以上に、認知サービスが組み込まれるようになるであろう。リアルタイムの認知情報を提供することが、多くのソリューションで標準になり、それによって生産性は、世界市場で見ると数百億ドル規模で増大する。

 

8. 産業特化型クラウドプラットフォームおよびコミュニティ:

2018年には、業界内または異業種間におけるデジタルなサプライチェーンと流通ネットワークを大幅にスケールアップするための戦略的ハブである、産業特化型クラウドプラットフォーム(Industry Cloud Platforms)の数が全世界で5倍に増えると予測される。大企業の半数以上が導入し、リーダー企業はこれらのプラットフォームを利用して、サプライ/流通ネットワークを今の100~1,000倍に拡大するであろう。このような、規模が拡大するデジタルのコミュニティと接点のない企業は、市場の急成長領域から締め出されることになる。

 

9. 大規模な親顧客戦略:

2018年には、世界の大多数のB2B企業(60%)およびB2C企業(80%)が、顧客エンゲージメントシステムを抜本的に再構築し、今よりも1,000~1万倍の大量の顧客および顧客接点をサポートするようになると予測される。顧客規模が水準に満たない企業は、DXエコノミーにおける成長が著しく阻害されることになる。

 

10. サプライヤーとパートナーの再選別:

今後数年間で、全世界の第3のプラットフォームとDXの規模は劇的に拡大するため、あるサプライヤーは「その規模を生かして勝者となる」一方で、別のサプライヤーは「その規模によって敗者となる」であろう。2020年になると、現在のITサプライヤーの30%は、(買収、合併、ダウンサイジング、大幅な方向転換などにより)姿を消すと予測される。そのため、企業はITサプライヤーとの関係を抜本的に見直し、再調整する必要に迫られる。サプライヤーやパートナーの選び方を間違うと、今後のDXエコノミーにおける企業競争力が損なわれる恐れがある。

 

IDC Japan リサーチバイスプレジデントの中村智明は「ITのイノベーションはすべての企業の行動基準をDXの実現に向かわせる。事業と顧客数の爆発的な増大を実現する第3のプラットフォームが実用化レベルに入った今、DXイニシアティブがすべてのCEOにとって最重要課題となった。本調査レポートでIDCが示す提言に沿った行動の一日も早い実行が望まれる」と述べている。

 

・レポート概要はこちら IDC FutureScape:世界と国内のIT市場 2016 Predictions―デジタルトランスフォーメーションの規模拡大を牽引せよ

 

【関連リンク】
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