インターネットは、そういう意味で全く新しいインフラであり、その上には我々にとって必要なものはまだ何もなかったため、そこを早く作り込んだ企業が勝者となっていった。
そんな中、勝者にはなれなかったが、マーケットが広がったことによる恩恵を受けていたインターネット企業は、IoTというキーワードのおかげで次の食いぶちができたと言わんばかりに、こぞって「IoTプラットフォーム」なるものを作ることとなる。しかし、実態はモノが「あれば」、簡単にクラウドに接続できて、可視化に使えます。というモノばかりだった。
当然だが、IoTが「あたりまえ」になるのがこれからなので、何百万個のモノを接続した経験など誰もなく、要件の考慮不足をはじめとして、セキュリティや、パフォーマンス的にも問題があるものも見受けられた。
堅調に効果を出し始めているB2B向けのIoT
IoTの事例というと数年前からコマツのスマートコンストラクションやランドログを例にあげる有識者が多い。
コマツの例がこれほどまでにもてはやされる意味は、建機メーカーであったコマツが、顧客のビジネスプロセス全体の効率化に着目し、自社の業界の常識を超えて、顧客の課題を解決しようとしたことにある。
IoTによって、これまで分断されていた業務プロセス間を繋げて評価することができるようになったので、ビジネスプロセス全体を横串にした効率化を可能としたのだ。
もちろんこれ以外にも多くの企業がこれまでやってこなかったクラウド接続にトライしている。
工場間やビル間など、距離的に離れたファシリティを共通基盤で管理するようなものや、物流網におけるトラックや営業車の位置情報や利用状況を可視化して、効率化を図る取り組みなど、様々な取り組みが行われ、主に生産性改善という文脈で効果を創出している。
こういった、B2Bの取り組みに関しては、取り組みが進んできているといえるだろう。
では、コンシューマIoTやスマートプロダクトに関してはどうだろう。
Amazon Echoですらマーケットを取れていない現状
冒頭述べた通りの状況で、数百万台出荷したと言われているAmazon Echoですら、先日IoTNEWS生活環境創造室で行った調査によると、マーケットが取れている状態とは言えない。
鳴り物入りで登場した、多くの米国スタートアップも、前述したとおり、クラウドファンディングで資金調達だけして焦げ付いたものや、多くの投資を集めたにも関わらず事業停止に追い込まれたモノなど、枚挙に遑(いとま)がない。
インターネット空間内の世界とは違い、現実世界では、クルマや家、家電など、長い年月をかけて人にとって必要なモノが登場して、利用されている。
そこにインターネットを掛け算したからといって、簡単にはマーケットは反応しない。
一方で、2005年に創業したDJIのような中国企業は、ドローン業界としては後発にも関わらず、マーケットシェアは世界一になっている。無人で自動飛行するモノがまだそれほど一般的ではなかったから、ドローンの登場から10年も経たずに市場を席巻する企業が登場したのだ。

IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。
