2020年2月21日、ソラコムは海外旅行者・出張者に向けた、iPhone・iPad向けeSIMデータ通信サービス「Soracom Mobile」の提供を開始した。
「Soracom Mobile」は、iOSアプリを利用して、プリペイドのデータ通信プランを購入し、iPhone・iPadに内蔵されているeSIM(※)にプランをインストールする事が出来るサービスだ。物理的なSIMカードの差し替えをする必要が無く、データ通信プランの購入からインストールまでの手続きを、アプリの操作で済ませる事が出来る。
ソラコムがコンシューマー向けに通信サービスを提供する事は、今回の「Soracom Mobile」が初である。
データ通信プランの購入からインストールを一括で行う
「Soracom Mobile」のサービスを利用できる端末は、eSIMを内蔵したiPhone・iPadである。サービスの利用方法は以下の通りだ。

まずユーザーは、app storeからアプリ「Soracom Mobile」をダウンロードする。次にアプリを立ち上げ、データ通信プランを選択する。プランは「北米プラン」「ヨーロッパプラン」「オセアニアプラン」の3種類がある。
上記のプランを選択し、Apple IDによるアカウント登録を行った後、ユーザーは支払い方法を選ぶ。支払い方法は「Apple Pay」と、クレジットカード決済の2種類がある。
支払いが完了した後、アプリの画面に「eSIMをインストールする」と書かれたアイコンが表示される。このアイコンをタッチすると、利用しているiPhone・iPadに内蔵されたeSIMに通信プランがインストールされる。
アプリ1つで、海外旅行者・出張者の悩みを解消する
今回の「Soracom Mobile」は、海外旅行もしくは出張を行うユーザーを対象に、プリペイドの通信プランを購入する際の悩みを解消する、という狙いがあるという。
ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏(トップ画像)は、海外におけるWi-Fiルーターの持ち歩きや、空港におけるSIMカード購入の行列といった、海外渡航時の通信サービスにおける不便な点を挙げた。
その上で玉川氏は「「Soracom Mobile」を利用すれば、アプリ1つで簡単に通信プランを購入できる」と述べた。
eSIM内蔵デバイスの増加を見込んだ、新規事業としての位置づけ
ソラコムが、コンシューマー向けのeSIMデータ通信サービスの提供に取り組む背景には、eSIM内蔵デバイスの増加が見込まれている事があるという。
ソラコム 玉川氏は「eSIMを内蔵したデバイスの台数は、2018年においては3億6千万台だった。それが2025年には20億台まで伸びる、と予測したレポートがある」と述べた。
そのような背景をもとに、ソラコムでは「Soracom Mobile」を新規事業として位置づけ、新たなマーケットの拡大に取り組んでいくという。
ソラコム 玉川氏は「現時点において、最新のiPhoneを使ってeSIMのサービスを利用する顧客はイノベーターであり、アーリーアダプターである。そのような顧客に向けて「Soracom Mobile」を提供する事によって、eSIMのサービスにおいて何が必要なのか、といった事をより一層理解していきたい」と語った。
※eSIM:端末に組み込まれたSIMのこと。物理的な抜き差しが出来るSIMと、eSIMを利用することで、2つの通信プランを同時に利用することができる。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。