近年、経済のグローバル化により世界的な航空需要の高まりや、乗り継ぎを含めたネットワーク拡大などが進んでおり、航空会社では、緻密な運航ダイヤの立案と計画に即したオペレーションが求められている。
全日本空輸株式会社(以下、ANA)では、悪天候や機材メンテナンス、空港・空路の混雑などでダイヤの乱れが発生した際、従来はダイヤ調整を行う熟練者が経験とノウハウに基づいて、顧客の予約数や乗り継ぎ便、機材の使用状況、運航に関わるオペレーションの実施状況、空港の運用時間や駐機場など複雑な条件を考慮して、運航ダイヤを人手で修正していた。
しかし、修正ダイヤを短時間で立案するには高度なスキルを要すること、人手で考慮できる条件には限界があること、また熟練者の養成に長期間を要することから、デジタルイノベーションが求められていた。
このような中、ANAと株式会社日立製作所(以下、日立)は、株式会社日立コンサルティングとともに、先進のデジタル技術を活用して、日常的に発生する航空機の運航ダイヤ修正を高速・最適に自動立案する技術の実証実験を2019年から実施していると発表した。
同技術は、日立独自の最適化モデルを複数組み合わせたデジタル技術を活用し、短時間で高精度に複数の運航ダイヤ修正を自動立案する。同実験を通じて、1日当たり国内線約800便と国際線約200便の運航便に対し、従来熟練者が人手で行っていた運航ダイヤ修正業務をシステムに置き換えることの実現性と技術の有効性を検証している。
現段階では、熟練者と同等の速度・精度での運航ダイヤ修正と、人手では困難な複数の同時立案を実現できる見込みで、両社は今後、より多面的で複雑な実例への適応性を確認するため、運航ダイヤ修正時間のさらなる短縮と精度向上を目指すとした。
日立は今後、同技術を汎用化し、Lumadaの航空会社向けのサービスとして国内外で展開していく予定だ。
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