NTTとNTTデータ、止まらないビッグデータ分析で渋滞予測・信号制御の信頼性を向上

日本電信電話株式会社(以下 NTT)は、新サーバアーキテクチャ「MAGONIA(マゴニア)」の分散処理技術を適用することにより、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下 NTTデータ)が研究開発する渋滞予測・信号制御システムの故障耐性を向上させるとともに、処理を止めずにサーバ台数を増減することを可能にした。

今回、共同実験を通じて渋滞予測・信号制御のような空間分析系処理へのMAGONIAの適用方法を確立し、MAGONIAが幅広いアプリケーションに有効であることを実証した。これにより今後、信頼性やスケーラビリティが求められるより多くのサービスへMAGONIAの価値が提供できると期待される。

今後NTTは、交通系以外のさまざまな分野へのMAGONIA適用を推進し、信頼性やスケーラビリティを必要とするサービス事業者を支援していく。

 

NTTは将来の通信ネットワークの技術開発コンセプトNetroSphere構想*1の一環として、新たなサーバアーキテクチャMAGONIAの研究開発に取り組んでいる。

MAGONIAの中核を担う分散処理基盤(ミドルウェア)は大量のデータを高速に処理することや、いかなる時にもサービスを止めないこと、需要に応じて処理能力や機能を柔軟に拡張することを可能にする。

これらは、さまざまなサービスに共通のニーズであり、通信系以外の分野でもMAGONIAが貢献できると考え、幅広い分野への展開を検討しているという。同基盤上でサービスを開発することで、サービス事業者はサービスロジックの開発のみに集中し、迅速かつ低コストに信頼性の高いサービスを提供することが可能になる。

これまで、賛同を得たパートナー企業と共同で、ETSI*2 NFV ISG*3認定のコンセプト実証*4や、映像配信サービスをユースケースとしたフィールド実験等、通信分野への適用を進めてきた。今回、新たに通信分野以外のシステムへも対象を広げ、適用技術の確立に取組んだ。

 

共同実験の概要と成果

NTTデータが研究開発している渋滞予測・信号制御技術*5は、図1に示すように、リアルタイムに収集した大量のセンサデータを利用して、対象エリアにおける交通傾向を分析し(以下 交通シミュレーション)、この結果に基づいて信号機をコントロールする。交通シミュレーションは計算量が多いうえ、交通量の変化にともない計算量が時々刻々と変わるため、システムには高いスケーラビリティが求められる。また、決められた制限時間内に確実に分析結果を信号機へフィードバックしなければならないため、システムにはリアルタイム性高い信頼性(耐障害性)が求められる。

そこで、システムの実用化にむけて、システムの信頼性やスケーラビリティの向上を目的に、2015年9月から2社で共同実験を行い、MAGONIAの分散処理基盤の適用手法の確立、及び適用後のシステムの信頼性の評価等を行った。

今回の実験では、交通シミュレーションの分析処理部を、既存のアプリケーションロジックはそのままにMAGONIAの分散処理基盤上に搭載することに成功し、これによりスケーラビリティや信頼性、リアルタイム性を向上できることが確認でき、MAGONIAが幅広いアプリケーションに有効であることを実証できた。このように、アプリケーションロジックへの影響なく、スケーラビリティや信頼性、リアルタイム性に関するシステム設計開発及び保守運用をMAGONIAの分散処理基盤が担うことで、アプリケーションの開発規模や保守運用稼働の削減によるコスト削減が期待される。

NTTとNTTデータ、止まらないビッグデータ分析で渋滞予測・信号制御の信頼性を向上
図1.渋滞予測・信号制御へのMAGONIA分散処理基盤の適用

今後の展望

NTTは、NTTデータの渋滞予測・信号制御システムの実用化をはじめ、大量のデータを高速に処理することやいかなる時にもサービスを止めないこと、需要に応じて処理能力や機能を柔軟に拡張することが求められるさまざまなサービスの事業者に、パートナーとしてMAGONIAの価値を提供し、サービス事業者の課題解決やサービスの信頼性向上に貢献していく。

 

*1 NetroSphere構想:将来の通信ネットワークの技術開発に関するコンセプトとして提唱
*2 ETSI(European Telecommunications Standards Institute):ヨーロッパ圏の電気通信における標準仕様を策定するために設立された標準化団体
*3 NFV ISG(Network Functions Virtualisation Industry Specification Group):2012年12月世界のキャリアが中心となり、ETSI内に設立したキャリア主導のネットワーク仮想化技術に関する検討を推進するグループ
*4 ETSI NFV ISGコンセプト実証:サービスアプリケーションが求める信頼性・拡張性に応えるプラットフォーム技術がETSIのコンセプト実証として認定
*5 NTTデータ渋滞予測・信号制御技術:NTTデータが研究開発中の技術で、中国吉林市において渋滞緩和効果を確認するなど実証実験を実施

 

【関連リンク】
NTT
NTTデータ(NTT DATA)

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