STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、省電力広域ネットワーク(LPWAN)無線通信技術であるLoRa(TM)に対応したIoT機器の試作を可能にする、低価格の開発キットを発表した。この開発キットは、STの32bitマイクロコントローラ(マイコン)であるSTM32の開発エコシステムを活用している。
40ドルの開発キットであるP-NUCLEO-LRWAN1は、超低消費電力マイコンのSTM32L073を搭載したNucleo(NUCLEO-L073RZ)ボードと、Semtech社の実績あるLoRaトランシーバICのSX1272を搭載したRF拡張ボード(I-NUCLEO-SX1272D)で構成されている。
STM32L073は、電力効率に優れたARM(R) Cortex(R)-M0+プロセッサとST独自の低消費電力技術を採用しており、公共料金メータ、警報システム、測位機器、追跡装置、リモート・センサなどのホスト・マイコンとして使うことが出来る。さらに、モーション・センサと温湿度センサを搭載したX-NUCLEO-IKS01A1など、各種拡張ボードを追加して機能を拡張することも可能だ。
長距離通信が可能なLoRaは、従来のセルラー通信方式よりも低消費電力、低コストなどのメリットがあり、多重通信モード、屋内外での高精度な位置認識、AES-128セキュリティなどの機能を搭載している。
新しい開発キットは、LoRaWAN(TM)バージョン1.0.1に準拠し、クラスA / Cプロトコルに対応する双方向通信機器の開発に必要な要素を含んでいる。これらの双方向通信機器は、Over-The-Air Activation(OTAA)またはActivation-By-Personalization(ABP)で作動させることができる。
この開発キットは、LoRaWAN規格認証試験の認証を取得しており証明書も同梱されている。
STM32の開発エコシステムは、STM32Cubeのツールやソフトウェア・パッケージ(サンプル・コード、ハードウェア抽象化レイヤ(HAL)など)を含む充実した開発リソースを提供しており、これらの開発リソースは、性能・消費電力・パッケージ・価格に関して幅広い選択肢を持ったSTM32ファミリのすべてのマイコン(約700品種)に移植することができ、短期間かつ低コストなシステム構築をを可能にするという。また、使い慣れた統合開発環境やARM mbed™オンライン・ツールの利用も可能だ。
【関連リンク】
・エス・ティー(ST)
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コンサルタント兼IoT/AIライター 人工知能エンジン事業の業務支援に従事するかたわら
一見わかりにくいAIの仕組みをわかりやすく説明するため研究中