英ARMは、IoTに対応する新しいレベルのセキュリティ、効率性、低消費電力接続、デバイスライフサイクル管理のすべてを提供可能な極めて包括的な製品スイートを発表した。新しいプロセッサ、無線技術、サブシステム、エンドツーエンドのセキュリティ、クラウドベースのサービスプラットフォームにより、ARMはIoTの世界的普及を促進する。
ARMの執行副社長兼プロダクトグループ社長であるPete Hutton氏は、次のように述べている。「IoTテクノロジーが普及した現在、センサーからサービスまでデータのセキュリティを確保する包括的なソリューションが求められています。ARMパートナーによる昨年のチップ出荷数は150億個を記録し、その多くはスマート組み込みアプリケーション向けでした。ARMはすでにIoTで多く採用されていますが、今後は規模の拡大を目標としており、シームレスに協調するように設計された独自の包括的なテクノロジー/サービスセットによって実現していきます。」
ARMのエコシステムは1,000社以上で構成されたIoTパートナーシップ。ARM最新のテクノロジースイートは、チップから任意のクラウドにおけるデバイス管理まで、最速かつ最も効率的なルートでIoTアプリケーションのセキュリティを確保し、このエコシステムをさらに強化すると期待される。
実証されたTrustZoneをCortex-Mプロセッサに導入
ARM Cortex-M23とCortex-M33は、ARMv8-Mアーキテクチャをベースとした初の組み込みプロセッサであり、最も制約の厳しいIoTノードにARM TrustZoneという実証済みのセキュリティ基盤を提供する。MCUサプライヤー世界トップ10の過半数は、すでにこのいずれかのプロセッサのライセンスを取得している。リードパートナーには、Analog Devices、Microchip、Nuvoton、NXP、ルネサスエレクトロニクス、Silicon Labs、STマイクロエレクトロニクスが含まれる。
- 汎用性の高いCortex-M33は、コプロセッサインタフェース、DSP、浮動小数点演算などの構成オプションを備え、Cortex-M3、Cortex-M4より高い性能と効率性を提供
- Cortex-M23は、極小フットプリント、超低消費電力のCortex-M0+マイクロプロセッサが確立した基準を踏まえ、極めて制約の厳しいデバイスのセキュリティに対応
- 新しいCortex-Mプロセッサは、ARMv6-M、ARMv7-Mアーキテクチャとの後方互換性により、短時間での直接移植に対応し、製品開発をスピードアップ
- TrustZone CryptoCell-312は、高度なセキュリティ機能群でSoCを強化し、コードとデータの信頼性、完全性、機密性を強化
ARMv8-MベースのSoCを最短時間、最低リスクで市場化
最新のCortex-Mプロセッサに最適化した新しいARMシステムIP群により、シリコン設計において、複数のIoTアプリケーションをターゲットとした製品開発期間の短縮が可能となる。
- ARM CoreLink SIE-200は、すでにARMシリコンパートナー各社によってライセンスを取得され、TrustZoneをシステムに適用するインタコネクトやコントローラを提供
- ARM CoreLink SSE-200 IoTサブシステムは、Cortex-M33、CryptoCell、Cordio無線接続IPに加え、ソフトウェアドライバー、セキュアライブラリ、プロトコルスタック、mbed OSを統合することにより、製品開発期間を6~12カ月短縮
無制限のIoT接続
接続機能を強化する次世代のARM Cordio無線接続IPは、Bluetooth 5および802.15.4ベースのZigBee、Thread規格に対応している。これらは、IoTアプリケーションにおいて最も広く利用されている超低消費電力の無線接続規格。開発者は、複数のファウンドリが生産する各種プロセスノードの標準無線実装を選択できる。CordioアーキテクチャはARMとサードパーティのRFをサポートしている。
- 次世代のBluetooth 5は、既存の超消費電力の範囲内でデータ速度を高め、通信距離を延長
- 802.15.4は、拡大しつつあるZigBee/Thread機器市場内での互換性を確保
- Bluetoothと802.15.4ベースの規格は、単独でもコンボでも実装可能
- RFからスタックまで、ARMプロセッサやシステムIPと併せて設計され、条件を満たした包括的なシングルソースソリューション
セキュアなIoTデバイス管理を可能にするARM初のクラウドベースSaaS
ARM mbed IoTデバイスプラットフォームに、セキュアなIoTデバイス管理に対応する新しい規格/クラウドベースのSaaSソリューション、mbed Cloudが追加された。mbed Cloudにより、OEM機器メーカーは以下が可能となる。
- 複雑なネットワーク上でのデバイスの接続、プロビジョニング、更新、セキュリティ確保の簡素化
- 迅速なスケーリング、生産性向上、製品化の短縮を実現し、開発者は任意のデバイスを任意のクラウドで使用可能
- グローバルで20万人の開発者のサポートと、1ヶ月に100万台以上生産される機器向けに開発されたmbed OS 5によるデバイス側の機能向上
IoT POPによりTSMC 40ULPプロセスでの実装が容易
最新のCortex-MプロセッサをベースとするSoCの開発と実装は、このたびTSMC 40ULPプロセステクノロジーに対応したArtisan IoT POP IPによってスピードアップが可能。ARM Artisan IoT POP IPは、以下により、低消費電力設計の実現とIoTアプリケーション向けの最適化に不可欠だ。
- 実装面積と動的消費電力を最小化し、性能を最大化する革新的なロジック/メモリアーキテクチャ機能
- Cortex-M33とシームレスに協調するシリコン実証済みのフィジカルIP
- 低消費電力設計の実装を容易にするCoreLink SSE-200 IoTサブシステムとのシームレスな統合
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