日本ナショナルインスツルメンツ株式会社は、2016年11月16日、ナショナルインスツルメンツ(NI)が無線通信チャネルのエミュレーション用テストベッドを実現するための開発プラットフォームを提供すべく、米国防高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)と協業する旨を発表した。「Colosseum(コロシアム)」と呼ばれるこのテストベッドは、DARPAが主催する技術コンテスト「Spectrum Collaboration Challenge(スペクトルコラボレーションチャレンジ)」において中心的な役割を果たすものだという。
NIが提供するのは、ソフトウェア無線(SDR:Software Defined Radio)アーキテクチャの無線機「NI USRP(Universal Software Radio Peripheral)」を中心とした製品群。USRPは、「GNU Radio」、「RFNoC(RF Network on Chip)」、などのオープンソース開発ツール、ならびに、システム開発ソフトウェア「NI LabVIEW」などのプロプライエタリ開発ツールに対応している。
ColosseumはUSRPを基本要素とし、FPGAを活用した信号処理を駆使することで、チャネルエミュレーションをリアルタイム処理の下で実行できる。チャネル当たり最大80 MHzの瞬時帯域幅で、最大256×256のMIMOチャネルのエミュレーションが可能。このテストベッドは、「USRP X310」とATCA(Advanced Telecommunications Computing Architecture)向けFPGAモジュール「NI ATCA-3671」をベースとしている。Colosseumは米メリーランド州ローレルにあるジョンズホプキンス大学応用物理研究所に設置され、次世代ワイヤレスに関する研究に活用できるよう、リモートアクセスが可能になる予定だ。Spectrum Collaboration Challengeでは、DARPAからの総額375万米ドル(約4億円)の賞金をかけて3年間にわたって勝敗が競われる。Colosseumは、このコンテストに使われる公平な場を提供する。
NI 技術理事(Distinguished Engineer)/Ettus Research社 創設者 Matt Ettusは以下のように述べた。
「DARPAのSpectrum Collaboration Challengeには、コグニティブ無線やマシンラーニングの分野で最高の知性を持つ研究者が参集します。各研究者は、都市部や防衛環境など、厳しい条件が課せられる無線環境において、より信頼性の高い通信を実現することを目指しています。Colosseumを活用することにより、そうした目標に向けて各研究者が設計したシステムの性能を評価することが可能になります。」
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