株式会社ジョイ・ワールド・パシフィック(以下、jwp)は、京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)が提供するグローバルIoTネットワーク「Sigfox」を活用し、ビニールハウス内の温度・湿度などのデータを取得・解析・最適化することで、農産物の安定した品質・収量の確保を目的とするビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験を本日より開始する。
今回通信に利用するSigfoxネットワークは、IoTに特化して開発・普及が進んでいるLPWAネットワークのひとつで、低コスト・低消費電力・長距離伝送を特長としている。
同実験は、地方独立行政法人 青森県産業技術センター本部 工業総合研究所(以下、工総研)および農林総合研究所(以下、農総研)の協力を受け実施。Sigfoxを活用した青森県内初のビニールハウス環境管理ソリューションの実証実験となり、青森県内におけるモデルケースの確立と、県内外への普及展開を目指す。
同実験で対象とするトマト栽培では、高温の影響により花芽の落下および裂果、玉伸び不足が発生しており、施設園芸において安定した品質・収量を確保するためには、温度・湿度・二酸化炭素濃度・日射量等のハウス環境の計測・管理が不可欠と言われている。
一方、従来の「人による巡回」では多くの人的工数がかかり、大規模圃場になるほど作業者の負担も大きくなる。特に近年の日本においては、就農人口の減少や高齢化などの問題が深刻であり、作業効率の向上や省力化が望まれている。
このような中、近年では農業の環境計測においても3G・4G(LTE)などのモバイル回線、Wi-Fi・920MHz帯特定小電力無線などの無線技術を活用したIoT/ICT技術の導入が進んでいるが、導入・運用コストなどの費用対効果や通信距離の問題など今後の普及にあたっては様々な課題がある。
こうした背景から、jwpではSigfoxネットワークを利用することでこれらの課題を改善し、設置場所を選ばず、低消費電力かつランニングコストを抑えたワイヤレス・センサを開発するとともに、実際に課題を抱えている農家に利用してもらいながら課題解決に取り組み、実用化を目指すとしている。
実験では、Sigfoxセンサデバイスからビニールハウス内の温度・湿度・日射量・二酸化炭素濃度などのデータを取得し、アプリケーション(jwp IoT Platform)との連携によりデータの蓄積・可視化、AI学習・予測・アラートなどの検証を行う。
同実験を通じて、計測データを活用したドライミスト等の最適運転制御による高温時の花芽の落下および裂果の防止、玉伸び不足の解消による収量/可販収量を環境管理しない場合と比較し30%向上、巡回等に要する人的工数の削減、機器の導入・運用コストの削減を目指す。
【関連リンク】
・ジョイ・ワールド・パシフィック(jwp)
・京セラコミュニケーションシステム(KCCS)
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