ボッシュは、世界最大級のモーターショーIAA 2017で、2019年には自動運転技術で20億ユーロの売上高を目指すと発表した。また、その事業戦略についてあわせて説明した。
2017年の世界の自動車生産の伸び率は2.8%程度と予想されているなか、ボッシュのモビリティ ソリューションズ事業の売上高は前年比7%増、約470億ユーロに達する見込みだ。
なかでも力強い成長を続けているのがドライバー アシスタンス システムの事業だ。同市場の成長率は25%に達し、ボッシュは市場より高い成長率で売り上げを伸ばしている。早ければ2019年にもドライバー アシスタンス システムで20億ユーロの売上高を達成できる見通しだという。
Accident-free(事故ゼロ)、Stress-free(ストレスゼロ)、Emission-free(排出ゼロ)な道路交通を実現するためのボッシュのソリューション
ボッシュは、大都市圏の大気環境の改善を最重要課題として据えている。それに対し、内燃機関の改良とeモビリティの両方への投資強化を通じてこの問題の解決に寄与するという方針だ。
内燃機関車の走行禁止が議論される中、ボッシュは内燃機関のエミッションとイミッションは合成燃料によって大きな改善を達成できるとみている。
合成燃料が再生可能エネルギーを使って製造されれば、内燃機関がカーボンニュートラルになる。さらに、合成燃料なら燃焼時の煤(すす)の発生を事実上ゼロに抑えることができるため、排出ガス後処理コストを圧縮するというのだ。
一方、eモビリティの普及は加速度を増している。ボッシュの新しいeAxleは、パワートレインの電動化の効率アップとコストパフォーマンスの向上に寄与するものだ。また、小型電気自動車アプリケーション向けには48 Vパワートレインシステムを開発した。これは、ドイツポスト傘下のStreetScootersに納入されている。
自動運転へとつながるドライバーレスパーキング(無人駐車)
ボッシュは、2020年代初めに、ダイムラーと共同で高度自動運転車両フリートを用いた都市圏内でのシェアリングサービスを開始する。
また、2018年初めにはシュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ ミュージアムの駐車場で、車両が自分で駐車スペースを探し、駐車するシステムが稼働を始める。これはドライバーのストレスを減らすとともに、駐車スペースの有効利用を可能にする。ドアの開け閉めを考慮する必要がないため、同じ広さのスペースに、これまでより20%多い車両を収容できるという。
スマートフォン並みの使いやすさ:ボッシュのクラウドからソフトウェアを更新
向こう5年間に、コネクテッドモビリティ市場は年率25%近いペースで成長する見通しだ。また、世界の市場規模は470億ユーロから1,400億ユーロに拡大すると予想されている(出典:PwC)。
現在、150万台の車両がボッシュのIoTソフトウェアを使ってネットワーク化されている。車両のネットワーク化は数々の新しいモビリティサービスを可能にするため重要だ。
ボッシュの目指すOTA(Over-the-air:無線接続)によるソフトウェア更新では、現在スマートフォンで使われているのと同様の方法で、車両に関するデータを安全に、かつ高い信頼性で書き換えることができる。それだけでなく、駐車スペースを探すためのアプリなどの追加機能をダウンロードすることも可能だ。そして、将来はソフトウェアのOTA更新によってドライバーはクルマを購入した後も好きなように再構築できるという。
【関連リンク】
・ボッシュ(Bosch)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。