シュナイダーエレクトリックのグローバルイベント、デジタルサミットのレポート第三弾は、シュナイダーの持つ、EcoStruxure Machine(エコストラクチャ・マシン)という製造業向けソリューションを利用した事例について、日本の大森機械工業社の執行役員福井謙二氏と、Nanjing HuaChang Packaging Machinery社のShiyao Kong氏に、シュナイダーエレクトリックのバイスプレジデントであるAli Haj Fraj氏がインタビューした模様をレポートする。
登壇者:
大森機械工業株式会社 執行役員 福井健二氏
Nanjing HuaChang Packaing Machinery Co. Shiyao Kong氏
Senior Vice President Machine Solutions Schneider Electric Ali Haj Fram氏
Kong:2006年から食品・飲料の分野の包装機械を提供している中国の企業で、CTOをしています。現在は、デジタルシステムプラットフォームの開発に注力しています。福井: 食品をパッケージングする大森機械工業株式会社の執行役員です。
福井:食品や医薬品などを包装するシステムラインを設計・製造する大森機械工業株式会社の執行役員です。
Ali: デジタル化はどう重要でしょうか?
Kong: デジタル化は、「チャンレンジ」だと思います。顧客の中にはデジタル製品ラインが必要というお客様がいるので、OEM(機械セットメーカー)として応えていこうと思っております。
福井: IoTでリアルタイムに機械のコンディションデータが取得できることで予知保全などにつながる情報が取れるようになります。データをいかにうまく使うかが重要で、これは、経験から提案に結びつけていこうとしています。
包装機械の中でのデジタル化は非常に重要です。当社はデジタル化を通して、アジアからグローバルにでて、世界市場でマーケットリーダーとなりたいと考えています。
Ali: シュナイダーエレクトリックは、どうサポートできると思いますか?
福井: 今取り組みをはじめたところですが、エコストラクチャーを使うことで、様々な機器から情報を吸い上げ、エッジで分析、可視化ができています。
マシンアドバイザー(エコストラクチャーのクラウドレイヤーでのサービス)を使うことで、世界の機械の状態をリアルタイムで見ることができるようになる、ということに期待をしています。
Ali: 福井さんの話を伺っていると、シュナイダーエレクトリックがなぜマシンアドバイザーをつくったかがわかりますね。Kongさんは、デジタル化をする時にどういうトピックに取り組んでいらっしゃいますか?
Kong: デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。自動化したものをまとめていく、情報の透明化、データの多様性、品質の高い管理、マスプロダクションとカスタマイゼーションを両立するということが重要だと考えて居ります。
Ali: シュナイダーを選んだ基準はなんでしょうか。
Kong: 包括的なポートフォリオをもっていることです。セールス、テクニカルはパートナーとして助けてくれているし、それによって競争力をつけることができます。
デジタルトランスフォーメーションにおいて、マシンアドバイザーは、TRACK、MONITORING、FIX、といった機能によって、マシン稼働状態を直接か確認することができ、リモートでの問題解決に使えることができるところが気に入ってます。
Ali: 福井さんはなぜ、シュナイダーエレクトリックを選んだのですか?メリットは?
福井: 世界各地で安定的に機器を購入でき、さらに各国でサポートを受けられることが重要でした。特に、ヨーロッパ地域で、シュナイダーエレクトリックの製品をつかった包装ラインがかなり多いことを独自調査ででていました。
こういったことは、グローバルで展開する上で重要だと思います。世界のあらゆる場所で機械を監視して、止めない、ここに期待をしております。
Ali: そう言ってもらえると誇りに思えます。安心してパートナーになってもらえてうれしいです。
ところで、「デジタライゼーションが重要で、メリットがある」という話をしてきましたが、難しい点はなにかありますか?
福井: デジタル化を進めるにあたって、自社の技術力を高めるのが必要だが、自社だけでは解決できない場合、他の企業とのコラボレーションも重要だと考えています。また、入手したデータをどう活用していくか、ビジネスチャンスに変えていくかは、ユーザ企業も、当社も、試行錯誤の途中です。
取得したデータをどう使うかについては、ユーザも悩んでいて、この要求に全部対応するのは難しいので、今後やるべきことだと思っております。
Ali: まだ不確実なこともありますからね。
Kong: 一番大事なのは、エンジニアの変革で、コンセプトも変えていくことだと思います。デジタル化は、エンジニアにとって、ITとOTの両方のスキルが必要なのですが、今のエンジニアとカスタマーは、デジタル化について十分な理解をしていないと思われます。
Ali: そういう問題については、どういうことをやって克服してきたのですか?
Kong: ITとOTの両方をセットアップして、若いエンジニアがマネジメントに来ることで、デジタル化をもっとうまくやらないといけないと考えています。
オーディエンスからの質問: 顧客がマシンから抜いたデータの使用について懸念は聞かれたことはありますか?
福井: 日本のユーザはデータが外にでることで、生産効率などが他者に知れることを嫌っています。その結果、IoTが思ったように進んでいません。また、まだデータをどう活用するかは検討段階で、広がっていっていないと思います。
Kong: 私もそう思います。
Ali: とても大事なトピックでした。時間がかかるかもしれないですが、信頼をえていくのには、2つの面があると思います。
「技術的なサイバーセキュリティの問題」と、「感情的な信頼関係、メリットがあるのか」です。
「サイバーセキュリティ」については、エコストラクチャーがすでにそれを実現しております。
もう一方の「信頼関係やベネフィット」については、まだ時間がかかると思いますが、メリットがあることがわかれば、オープンになっていくのではないかと思います。
オーディエンスからの質問: デジタルトランスフォーメーションはどういう影響がありますか?
Kong: デジタル化によって、製造機器は、ソフト、ハードの両面を将来に向けて使っていく必要が出てきます。
福井: デジタル化の技術力を高めることが重要で、継続、発展させることも重要です。IoTに関して、能力の高い社員を育てるために、これまでとは異なる人材採用計画が必要となるとおもいます。
そこで、質の高い教育に時間をかけることが重要になるとおもいます。
Ali: ありがとうございました。製造業にとって、デジタル化がいかに重要かという話をしてきました。このアプローチを設計、からオペレーションまですべてに提供することが重要で、メリットを最大限に受けるべきだと思います。
参考:
シュナイダーエレクトリック
大森機械工業株式会社
Nanjing HuaChang Packaing Machinery Co.
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。