発電所や変電所等の電力インフラの現場では、点検のためのメーターが数多く設置されているが、データ転送機能のないものが大半だ。そのため、メーターの指示値を読み取るには、作業者が現場で確認するか、監視カメラを利用して読み取る必要があり、点検に多くの人手を要している。一方、人手不足や熟練技術者の高齢化・退職に伴い、現場における業務負荷が増大し、保守点検業務やインフラ維持・更新の効率化が喫緊の課題となっている。
そこで、日本電気株式会社(以下、NEC)と一般財団法人電力中央研究所(以下、電中研)は、変電所や工場での実証実験を交えながら、各種メーターのメーター値・指示値の自動読み取りとデジタル化・自動収集に向けた画像認識技術を共同開発し、NECがこの技術を中核にした新製品「NECメーター監視ソリューション」の提供を7月31日から開始する。
同ソリューションは、モバイル端末や固定カメラでメーター画像を撮影し、読み取ったメーター値・指示値をデジタル化したうえで、セキュアなクラウド環境(※1)に収集する。収集したデータはグラフ化され、当該機器の状態変化の傾向を見える化するとともに、その中に通常とは異なる値があれば、これを検知しユーザーへ通知する。
これにより、業務の効率化に加え、入力ミス防止などにつながることが期待され、デジタル化・可視化されたデータによって、現場状況の定量的把握、異常・変化の早期検知を可能にする。
また、メーターの画像から指示値を読み取る際は、NECが保有する約60年間に及ぶ郵便区分機(※2)の開発で培った認識技術を応用しており、針式メーターの読み取りでは、電気事業者や鉄道事業者で採用実績のある電中研開発の認識エンジンを採用し、指針値を高精度・高速にデジタル化する。
メーター画像の撮影手段は、モバイル端末と固定カメラから選択することができ、現在の業務の流れを大きく変えずに現場に応じたソリューションを提供する。例えば、作業者が巡回監視を行っている現場ではモバイル端末を使って測定値を取得し、作業者が定期的に巡回することが難しい遠方の現場や、常時監視が必要な現場のメーターには、固定カメラを設置し、定期的にメーター指示値を取得する。
※1 クラウドサービスからスタートし、今後オンプレミスサービスに順次対応予定。
※2 郵便物に記載されている郵便番号や住所などの文字情報を識別し、仕分けを行う機器。
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