製造業向けのIoTやAI(人工知能)、ロボットを活用した自動化、省人化技術などを扱う専門展「第7回スマート工場EXPO」(主催・RX Japan)が、東京ビッグサイトで1月25日~27日まで開催されている。
「スマート工場EXPO」は、同時に開催しているスマート物流EXPOなどと合わせて1420社が出展。会場は今回はコロナ禍でありながらも、本格的な対面での展示会とあって、出展社の多くが新規よりも既存製品やサービスのアピールに力を入れていた。
その中で、今回は、リコージャパンが展示していたAGV(無人搬送車)「M2」を紹介する。事務機器メーカーの同社がAGVを手掛ける理由などを聞いた。
「M2」は、工場内の部品や資材納入、製造ラインへの部品補充の作業で利用に絞ったAVGだ。床に貼ったテープの走路ルートをAGVが認識して動くガイド方式を採用。市販の黒いビニールテープを張るだけで走路を設定できる。また、黒色であればマジックやペンキにも対応する。また、テープを貼りかえればルートをすぐに変更できる。こうした導入のしやすさと運用のたやすさが特長だ。
また、導入する企業に合わせ、カスタマイズモデルを提供。例えば、けん引台車に後ろから近づき自動で接続し、任意の場所でけん引物をAGVから切り離すといった運用に対応できる。
「M2」は「もともとは、自社の複合機の製造ライン向けに開発した。実機を見た社外の企業などからの引き合いがあったことから市販に踏み切った」(ブース担当者)という。そのため「M2」は設計や性能などでリコーの生産現場で使用してきたノウハウが生かされていると説明する。
「当社のAGVは台車の中にAGVが潜り込み狭い通路でも走行できるようしている。また、非常に小回りが利きくように設計してあるので、狭い製造ラインでもスムーズに運用できる。こうした性能は実際の環境で運用してきたからこそ、実現できた性能で、他のAGVメーカーにはない強みだと思っている」(同)という。
実際、リコーの埼玉工場では、複合機組み立てラインの部品・製品運搬で19台を導入したところ、人の仕事量を70%も削減したとしている。
「M2」が、もう1つの強みとしているのが価格だ。一般的にAGVの価格は500万円程度といわれる中、リコーは150万円で提供する。「製造コストはもちろん、ビニールテープをマーカーで使う仕様や、屋内のみでの荷物の運搬に利用範囲を限定したことで実現した」(同)。
同社は、製造業全般をターゲットに販売を広げていく考え。価格面もあって自動車部品製造や精密機器製造の中小企業の導入やニーズが多いという。一方で、大手自動車メーカーも導入しており、「企業規模にかかわらず売り込みを図っていきたい」(同)としている。
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