内閣府・日立・日本IBMなど、「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」社会実装に向けたプロジェクトを開始

近年、医療が高度化、先進化、多様化、個別化されたことにより、医療関係者と患者や家族間だけでなく、先端研究者と医療関係者間においても、知識と情報格差が生じている。また最先端の診断や治療法を医療現場へ普及するにあたり、技術の標準化やデータ解釈などについて厳格な規定が必要となっている。検査結果の解釈などのミスは患者の健康被害につながる恐れがあり、高度化に伴う医療従事者の過度な負担増という社会問題も発生している。

このほど公益社団法人日本医師会、日本ユニシス株式会社、株式会社日立製作所、日本アイ・ビー・エム株式会社は、「内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期で採択された「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」の構築および2022年の社会実装にむけたプロジェクトを開始する。このプロジェクトにはソフトバンク株式会社と三井物産株式会社も、協力参加機関として加わる。

SIPは、日本の科学技術イノベーション実現のために創設された国家プロジェクト。内閣府の諮問機関の一つである総合科学技術イノベーション会議が司令塔となり、基礎研究から実用化・事業化に至るまでを見据えた取り組みを推進することを目的としている。

今回発足するのは、医療機関だけでなく、民間の健診センターや保険会社などが利用できるプラットフォームである。医療現場で簡単に活用できる、画像診断や問診、治療方針提案などの医師支援を行う、さまざまなAIを提供し、医療の質確保や医療関係者の負担の軽減を目指す。

なお、「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」は、SIPの評価委員会で、以下の評価を受けている。

  • 超高齢化社会における医療の質の確保や医療従事者の負担軽減など、AIを駆使した先進的な診断・治療システムの確立が喫緊の課題となっている現在、時宜を得たものとして高く評価できる
  • 診断または治療分野におけるAIなどを活用した新たなシステムやビジネスの創出は黎明期を迎え、グローバル競争も激化している
  • 迅速な成果の社会実装に向けた出口戦略・ビジネス戦略の構築を研究開発と同時並行で進めることを期待する

各社の役割

日本ユニシス

医療AIプラットフォームのサービス事業基盤の設計・構築を担当し、2020年秋より開始を予定しているモデル事業の実行を支援。また、プラットフォーム上での提供サービス企画や開発を実施。

日立製作所

医療AIプラットフォームのサービス事業基盤の設計、プラットフォ-ム上で提供するサービスの企画・開発および提供。また、外部サ-ビスベンダ-の調査やスクリーニングを実施。

日本アイ・ビー・エム

医療支援AI開発における技術提供・グローバル知見提供を通してのサービス基盤拡充支援、およびプラットフォーム上に公開する医療従事者の業務支援AIアプリ開発を担当。

ソフトバンク

医療AIプラットフォームの基盤となる、5Gをはじめとする通信ネットワークやユーザー認証機能の提供・検証を予定。

三井物産

アジア病院事業を含む海外のネットワークを活かし、データ・デジタル技術の社会実装及びAIホスピタルの国際化に向けた検証を支援。

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