過去数十年のあいだに、VRエクスペリエンスは、サイエンス フィクションの世界を抜け出し、研究ラボを経て、家庭やオフィスにまで到達している。しかし、現在最先端のVRエクスペリエンスでも、完全に没入する域には到達していない。
NVIDIAの新しいTuring GPU は、そのレベルへの大躍進を実現するものだ。SIGGRAPH 2018およびGamescom 2018で発表されたように、Turing による、リアルタイムのレイ トレーシング、AI、最新のレンダリング テクノロジの組み合わせは、VRの没入感およびリアリズムを新たなレベルに引き上げる。
リアルタイム レイ トレーシング
Turingには RTコアが搭載されているため、本物のような視覚の忠実度が得られる。RTコアは、環境内でレイとオブジェクトが交差する場所の演算を加速させる役割を果たし、ゲームとアプリケーションでのレイ トレーシングを初めて可能にする。
これらの光学計算によって、光の振る舞いが再現され、圧倒的にリアルなイメージが作成されるようになる。これにより、VR開発者たちは、現実世界の環境のよりリアルなシミュレーションを作成できるようになるだろう。
Turingの RTコアでは、NVIDIA VRWorks Audio SDK を使って、音声シミュレーションも行える。今日の VRエクスペリエンスでは、位置を正確に伝えるオーディオ品質は確立されている。しかし、環境の規模や形状、ならびに物質的な特性に合わせて、とりわけ動的に反映させたいという要望に応えるまでには至っていない。
NVIDIA Holodeck VRWorks Audio
VRWorks Audio は、RTXプラットフォームによって、前世代の6倍の速度を実現する。このレイ トレーシング オーディオ テクノロジにより、仮想環境内で物理的にリアルな聴覚イメージの作成が可能になる。
SIGGRAPHにおいて、NVIDIAは、NVIDIA HolodeckにVRWorks Audioを統合させることで、テクノロジによってよりリアルなオーディオを作成する方法、ならびに複雑な仮想環境を開発するときにオーディオのワークフローをスピードアップする方法を紹介した。
AIの活用による、よりリアルなVR環境の構築
GPUでAIを加速させる手法であるディープラーニングは、VRのビジュアル上および知覚上の最大の課題のいくつかに対処できる可能性を秘めている。グラフィックスを向上させることも、ポジショナル トラッキング (位置追跡) とアイ トラッキング (視線追跡) を改良することも、キャラクター アニメーションをより現実に近づけることも可能となるのだ。
TuringアーキテクチャのTensorコアは、1 秒間に最大500兆回のテンソル演算を行って推論を加速させ、先進的なレンダリング手法での AIの使用を可能にし、仮想環境をよりリアリスティックなものにすることができる。
先進的なVRレンダリング テクノロジ
Turingは、VRの性能とビジュアル品質を向上させる、新しいレンダリング手法も数多く備えている。
Variable Rate Shading (VRS) では、シーンの詳細な部分のシェーディング処理を増やし、詳細な部分を知覚しにくいシーンでは処理能力を落とすことで、レンダリングを最適化する。
この手法では、ユーザーが目の焦点を合わせることがあまりない、シーン周辺部分のシェーディング レートを減らすフォビエイテッド (foveated) レンダリングで使用することができ、とりわけアイ トラッキングが開始されたときに効果を発揮する。
Multi-View Renderingは、ウルトラワイドな視野と斜め型のディスプレイを備え、またユーザーがベゼルなしで仮想世界だけを観ることができる、次世代ハンドセットの実現に寄与する。
Single Pass Stereo の次世代バージョンであるMulti-View Renderingでは、1つのレンダリング パスのプロジェクション ビューの数が倍の4つになる。
さらに、4つすべての位置を独立に、あらゆる軸に沿って移動させることができる。4つのプロジェクション ビューをレンダリングすることにより、極めて広い視野を持つ、斜め型の (同一平面上にない) ヘッドマウント ディスプレイの登場が促進される。
簡単になったVRとの接続
Turingは、USB Type-Cとともに、単一の軽量USB-Cケーブルを通じて次世代のヘッドセットに電力を供給するための新しいオープン業界標準 VirtualLink をハードウェア サポートするように設計された、NVIDIA初のGPUだ。
現在のVRヘッドセットは、複数のケーブルがかさばり、設定が複雑になることがある。VirtualLink により、1 本のケーブルで電力、ディスプレイおよびデータを提供できるため、VR設定を簡略化できる。
さらにVirtualLinkは、将来のヘッドセットの要件に対応できる十分な帯域幅を確保している。また、接続が1つで済むため、単一の、より小さなフットプリントのUSB-Cコネクタしか持たない、軽量の薄型ノートブックのような小型デバイスでもVRを楽しむことができる。
発売予定
VRWorks Variable Rate Shading、Multi-View RenderingおよびAudio SDK は、9 月にVRWorks SDKにアップデートすることで開発者に向けて提供される。
NVIDIA TuringベースのQuadro RTXは、主なワークステーションOEMメーカー、ならびにシステム ビルダー、正式販売パートナーを通じて、今秋より入手できる。GeForce RTX GPUは、8月28日よりAmazonサイトにて予約販売を開始する。
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