2019年9月11日、インテルは東京2020オリンピックに向けた取り組みについて記者会見を行った。会見ではインテルの共創パートナーも登壇し、提供するソリューションについての説明があった。
映像解析による観戦、VRによる会場管理者トレーニング
インテル・セールス&マーケティング総括本部・副社長兼オリンピック・プログラム・オフィス本部長のリック・エチュバリア氏によれば、インテルは3つの重点分野について、パートナー企業と東京2020オリンピックに向けてテクノロジーを提供していくという。

1つは「CONNECT(ネット接続)」。これについてはシスコのネットワークを新国立競技場を含む42の競技会場や、選手村や放送施設といった競技場以外の施設に用いるという。シスコのネットワークには、インテルの提供するXeonプロセッサー、SoC(System on a chip)、SSD(Solid State Drive)といった技術が使われている。
2つ目にエチュバリア氏が挙げたのは「コンピューティング(演算)」。この分野については2つのソリューションを用意しているという。
まず1つはオリンピック放送機構(OBS)とのパートナーシップによって取り組んでいる「3Dアスリート・トラッキング(3DAT)」。これは4台のモバイル・パンチルトカメラ(レンズが上下左右に動き、望遠・広角機能があるカメラ)を利用して選手のフォームや動きを取り込み、その後、インテルXeonプロセッサーに最適化された姿勢推定アルゴリズムを適用して、選手の動きを分析するというもの。競技中でのほぼリアルタイムでのインサイトの把握など、視聴体験の向上につなげるのが目的だそうだ。
もう1つは「VRトレーニング」。競技会場をデジタル化して仮想会場を作り、VRのコンテンツとして競技会場の管理を担当するマネージャーたちの学習に利用するという。これについてはIOCとの協力で取り組んでいるとのこと。
顔認証による入場管理
重点分野の3つ目は「エクスペリエンス(体験)」。これについてはNECとの共創で提供する顔認証システム「NeoFace」が紹介された。

これは会場と宿泊施設の入り口に設置された「NeoFace」がカメラで選手、ボランティア、報道関係者、スタッフなどの顔画像を取得し、顔の特徴を識別する。そして識別された情報をクラウドに上げて、予め登録されている個人の顔画像との照合を行い、入場の可否を判定するという。NECの顔認証技術とインテルのAIソリューションを掛け合わせたものが「NeoFace」だそうだ。
登壇したNEC・執行役員CMOの榎本亮氏は「オリンピックに顔認証システムが使われるのは初めてのことだ。今回の東京2020オリンピックでは全ての入退場のコントールに使う予定である」と語った。
「エクスペリエンス」の分野については、平昌オリンピックでも使われたバーチャル・リアリティ観戦のソリューション「インテルTrue VRテクノロジー」や、インテルのAIソリューションを利用してオリンピック・パラリンピックの公式ビートを作曲するプロジェクト「#2020beat」が紹介された。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。