震災から八年がたつ。毎年3.11になると、その頃の話題を取り上げ、未来に向かう議論をしようとする。
そんな中、株式会社NTTデータ経営研究所は、「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」の調査を行なった。(非公開型インターネットアンケート、クローズド調査)
災害時のビジネス継続プラン(Business continuity planning)は、自然災害の多い日本だからこそ、必ず計画をしておかなければならないものだと言える。
そういった社会要請もあってか、トップ画像にあるように、BCP策定状況の経年変化については年々向上しているといえる。
現在のBCPにおいて想定しているリスク

現状BCPにおいて想定しているリスクは、グラフの通り地震や風水害に関するものが多い。自社設備の障害に対応していないのが意外だともいえる。
また、業界別の対応状況を見てみると、予想通り金融、公共といったところの取り組みが進んでいる。

<業種別>
その一方で、取り組みのフェーズを見ていくと、初期段階に関するBCPは検討されているものの、応急、復旧段階での対応内容については、まだまだ対応が必要な状況だ。
東日本大震災以降のBCPの機能状況

東日本大震災と比較して、西日本豪雨および北海道胆振東部地震では、被害内容や規模、影響範囲が異なるため単純に比較することはできないものの、東日本大震災で得られた教訓が生かされ、事業継続への取り組みが進んだ結果が表れていると考えられる。

「BCPは概ね機能したが、問題となる部分もあった」または「BCPはまったく機能しなかった」とした回答者に対して、具体的に何が機能しなかったかを尋ねたところ、西日本豪雨と北海道胆振東部地震でその内容に差が見られたという。
西日本豪雨では「災害・事故等発生時の体制設置」や「災害・事故等が発生したことを想定した、訓練・教育の実施」について問題があったとする企業が多かった。
その一方で、北海道胆振東部地震では、「対策本部立上げ判断基準の設定」「社員の安否確認方法」「優先して復旧すべき業務・事業の選定」について問題があったとする企業が多かった。
その理由として、NTT経営研究所では、それぞれの被害内容の違いが影響しているのではないかと推察している。
(参考:東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回))
高まる災害対策と、そもそものBCP
ここまでの調査結果を見てきて、災害時の対策に関しては徐々に意識が高まり、具体的なアクションにも繋がってきているといえる。一方で、通常運転時の自社都合での課題に対するBCPがまだ十分でない企業が多いのは根本的におかしい。
おそらく、災害時の対策が話題に上りそこだけ場当たり的にBCPを検討してしまっているのだろう。
本来、顧客サービスに影響を及ぼさないためのBCP。
自社設備の不具合などの通常時の課題に対してももっと取り組むべきだ。

IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。
