日本の多くの離島地域では、地理的な制約によって指導者の数やスポーツ教育の教材資源が不足し、子どもたちが受けられる教育の質や運動環境の選択肢が限られている。部活動に参加する生徒たちは、各競技の専門的な指導を受ける機会が少ないという課題がある。
そこで、国立大学法人鹿屋体育大学とソフトバンク株式会社は、ICTを活用した部活動支援の試験運用を、鹿児島県奄美群島に属する徳之島で12月17日より開始し、2020年3月末まで行う。
鹿屋体育大学では、スポーツ現場の実践知を科学的エビデンスとして創出・蓄積し、活動の場へ還元する「スポーツパフォーマンス研究」を推進しており、国際社会で活躍できる人材や指導者を養成することを目標としている。
鹿屋体育大学は、多くの離島を有する鹿児島県に設立された国立大学として、高大連携によりこのような課題を解決するために、ソフトバンクが貸与するタブレットと、全国の部活動支援で使われているオンラインレッスンサービス「スマートコーチ」を活用して、野球部員がコーチとして、徳之島で唯一の公立高校である鹿児島県立徳之島高等学校の野球部に遠隔指導を行うことを試験的に実施する。
同システムにより、生徒が送る動画をテキストや音声で添削することが可能となり、生徒たちは専門的な指導を受けることができ、高等学校の顧問教職員の負担を軽減することができる。同時にスポーツの専門家や指導者の道を志す鹿屋体育大学の学生は、遠隔でのコーチング技術を学ぶ機会にもなる。
今回の試験運用を通して、鹿屋体育大学とソフトバンクは、地理的に制約を受けやすい離島でも「スマートコーチ」を活用して、専門家からの質の高い運動指導を提供できるかどうかを検証し、今後は徳之島の中学校や鹿児島県内の他の離島での活用を検討するとした。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。