IDC Japan 株式会社は、国内産業分野別 企業規模別 IT市場の2019年~2023年の予測を発表した。これによると、2019年の国内IT市場は、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴うPCの更新需要に加えて、2019年10月に実施された「消費税増税/軽減税率制度」への対応を目的にした関連システムの刷新、改修が見込まれるため、市場規模は17兆9,394億円で前年比4.0%とプラス成長を予測している。
2019年の国内経済は、米国での保護主義的な施策の影響によって、国内の主力産業である製造業を中心に業績への影響が出始めている。しかし、働き方改革による生産性向上や、製造業を中心としたサプライチェーンのグローバル化、デジタル技術を活用した新たなビジネス創出に向けた取り組みは継続しており、引き続き積極的なIT支出が継続している。
PC市場では、2020年1月のWindows 7のサポート終了によるWindows 10への買い替え需要の増大によって、法人向けや教育分野を中心に高い成長率を示している。また、「東京オリンピック/パラリンピック」に向けた通信インフラ整備、既存システムの刷新、「働き方改革」を契機に業務効率化を目的とした新規システム開発などによる、インフラストラクチャ分野が成長を牽引している。
2020年は、前年の反動によって全業種で低い成長かマイナス成長となるが、2021年以降は、既存システム刷新、業務効率化、企業変革を目的としたIT支出が大企業を中心に継続することから、全産業分野(消費者を除く)はプラス成長で推移し、2018年~2023年の年間平均成長率は1.9%と予測している。
2019年は、産業分野別では、スマートフォンの需要が一巡したことで落ち込みを見せる消費者を除いて、一般企業および官公庁の全業種、全従業員規模ではプラス成長を予測している。特に、99人以下の小企業/小規模企業では、PC置き換えによる成長が高くなるとした。年商規模別でも、2019年はPC置き換えや駆け込み需要、および「消費税増税/軽減税率」対応を目的とした会計システムなどが拡大し、各年商規模の企業でプラス成長を見込んでいる。
国内IT市場は、IaaSをはじめとするインフラストラクチャや、ソフトウェアは安定的な成長を予測している一方で、2021年以降はサーバー市場全体がマイナス成長に転じると予測しており、従来からのオンプレミス向けのハードウェアやパッケージ提供を基軸とした、付帯サービス(工事、保守)までを販売するビジネスモデル自体が、安定的ではなくなりつつあることを示している。
また、ユーザー企業自身もサブスクリプション型など、将来のビジネスモデル変革を模索しており、ユーザー企業のビジョン作りや経営の方向性を共に検討するビジネスサービスも高い成長が続くと予測している。
IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーである村西 明氏は「ITサプライヤーは、産業分野/企業規模/年商規模の全領域で始まるビジネスモデルの変化に則して、ユーザー企業を上流工程からIT構築/運用までを支援する体制に変革することが急務である」と述べた。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。